まあぐたぐだ言っても始まらないので、とりあえず絶版になる前に買っておくんだ。話はそれからだ。手品本は読まずとも買って置いておくだけで、手品が上手く・深くなる未知の手品波動が出るという研究結果もございます(※私調べ)。相変わらず、この厚さにこの装丁この内容であの値段という、明らかに経済観念に乏しいというか、Tくんよりさらに"さんすうが弱そう"な岡田さんにつけ込むしかない。絶版といえば2020年に出て話題になったMajilさんの新訳『The Expert at the Card Table』、あれもう在庫払底とか聞いたけど、しかも追加で刷ったりスタンダード・エディションも別に出さなくていっかなーとか仰っているとか聞きましたがマジですか?手品本はよく絶版になりますが、マスの東京堂くらいなら2・3年は持つでしょうけど、個人出版の払底・絶版まではまじで早いですね。みんな気をつけて。今回のふろりん本と同じ訳者・出版者である岡田氏から出ていた名著こと"りおちゃん本"も確か払底してましたからね。「おい岡田、ちょっとそこでジャンプしてみろよ」とかやったらポケットから『Thinking the Impossible』が落ちたりしないかな。スタンダード・エディションとか早くしろよ感。あれもたまに読み返すといい手品がぎっしりでありますね。
記述が実演を超えられたとは全く思っておりませんが、本当に名著です。メモライズド・デックを主体としたトリック集で、本書を超えるものは今後もまず出ないでしょう。大げさですが、割と『Mnemonica』以降最高の、あるエリアにおける『時代』の目撃者的な思いです。SU☆GO☆SU☆GI. 訳もなんといいますか15周目以降は数えておりませんが少なくとも20周はしました。ていうか30周くらいはいっている気がしなくもないです。いつも真面目にやっているつもりですが、今回はかなりの本気です。ピットも原書もどちらもリスペクトしておりますので、装丁は極力踏襲するようにしました。ハードカバークロス装(布はちょっと汚れが落ちづらいので意図的にやめた)、メタリックデボス加工、本文フルカラー336ページ。印刷費だけで『Card College Light』トリロジー全部の製作費を軽く超えたのは内緒です(震えながら)。
まあ色々とお伝えしたいのですけどなかなか言葉にするのももどかしく。ピットの演技を生で見ていただいたらきっと、「これがメモライズド・スタックだからかなんなのかとかはもうよく分からんけど、超不思議で楽しい」と思われるでしょう。そしてそれらは幸か不幸か映像媒体の資料としてははほぼ出ていないわけです。ではあるものの本人の筆による大変素敵な本があります。そして、本書の訳者たる私は著者の大ファン。愛とリスペクトと妄執的な無駄訳注溢れる本書をDon’t miss it!です。家にこもる時間は、メモライズ系の定着を図るのにも良さそうですし。いや、いいに決まっています。
トーン・アンド・レストアード・カードという、要は4片に破いたカードを1片ずつくっつけていって復元するトリックがありますが、その彼のバージョンがかなり有名です。亜種もかなり出ました。それがきちんとできるようになりたくて、2010年頃、こざわまさゆきさん主催の洋書購読会の中で、本書のエピローグ、"The Reformation"を訳の対象に選んだのを思い出します。訳自体は、いま見直してもそこまで間違いはなかったのですが、まあとにかく練習が足りていなかったので、当日の実演ではもはや手品になっておりませんでした、という苦い思い出。その場にいた齋藤修三郎さんに「そこはこういう動きですよ」と教えていただいたという有様で(なおそのとき彼が訳していたのが『Card College Light』のトリックだったはず)。
タマリッツ・スタックの並び、組みかた、ダジャレによる暗記法、Move a Card に使える簡易ダジャレチェック法、メモライズド・デックを効果的に使うための安全策、オマケとしてピット・ハートリングとデニス・ベアによるカルテット(ベアはプロップ、と呼称しています)のダジャレ暗記法まで網羅した、手品そのものは一切載っていないB5サイズ34ページの薄い本だ!(ちゃんとオフセット仕様です) お祭りであるマジック・マーケット2019では500円で頒布予定!Baseのショップでも扱いますが、手数料&送料もかかるので、そっちの値付けは1000円とか1200円とかにしようかなと(ぶっちゃけ作者の実際の実入りはあんまり変わりません)。マジケで170冊売ると損益分岐を超えるぞ!荷物になるから40冊くらいしか送らないけど(作者は別用のため今年のマジケは不参加)。販売担当に「えー、小銭出るじゃん。面倒。1000円にすればいいじゃん」と言われましたが、ねえ。お祭りですし。いや、自分で書いたので、「この作者、バカだけどほんと最高に話が通じるな」というくらい全ページわかりみが深い上に、交友関係にクレジッターが多いことに怯え、さほど興味もないのに3ページ分くらいクレジット情報も入れてるしで、そこそこちゃんとした内容にはなっています。「ネモニカ憶えてみようかな」という人のとっかかりとしては十二分な内容は入っているはず。(※私調べ)
「ネモニカを憶える前の私は、何をしてもうまくいかない、典型的な“持っとらん子“でした。春先のある日、だまされたと思って、ということで暗記用リストを渡されました。仕事で100分ほど飛行機移動することがあったので、その際に、前日買って鞄に入れっぱなしだった『異世界おじさん 第2巻』を読んでから暗記に着手しました。降りる頃には憶えていたのですが、その日の夜に行ったスーパー銭湯の露天風呂で10周ほどしたところもうばっちりです。実質2時間だと思います。するとどうでしょう、驚くべきことに、ネモニカをマスターしてから物ごとが180°転換し始めたのです。ニコラス・ローレンス、桂川新平、碓氷貴光、MH、シェーン・コバルト、ピット・ハートリング、カーティス・カムなどそうそうたるマジシャンが来日(一部もともと日本)、ピットの『In Order To Amaze』日本語版の自分校正が進んでいないことなど、さしたる問題ではないようにすら思えてきたのです!あとガルパン最終章第2話も上映されたのです!これというのもネモニカを暗記できたおかげです。ありがとうネモニカ学習帳。この功績を引っさげて、今度アメリカ大統領選に打って出る所存です」(東京都在住:手品ブロガー、手品本の訳者)