教授の戯言

手品のお話とかね。

2006年最後の浪費活動報告!そのに

■The Juan Tamariz 2nd Lecture
タマリッツが現代マジック界の天才ということに異論はないんです。無いんですけど、現象起こるまでに時間がかかりまくるのと、かなり騒がしい演技スタイルが好きじゃないんです。無いんですが(同型文章再展開)、行く掲示板やサイトがこぞってタマリッツのオイル&ウォーターがもうスゲエスゲエ言うのでつい見たくなって買いました。レクチャーと称してトリック解説そのものはその中の一部しかされないという、マジシャンの姿勢としては正しい(と思える)DVDです。だが…ちょっとストレスフルだな!



「The Juan Tamariz 2nd Lecture」(1998)(フレンチドロップさんの紹介を抜粋利用)


・Four Card Prediction(演技のみ)
>デックを4つのパケットに分けます。
>各パケット、先に予言を書いて見せ、
>後から観客が1枚選びます。4つとも予言が的中します。

いきなり不思議(以下各項目、ボキャブラリがかなり貧困になります)。とはいえ「ほらあたったー」という時の彼のハイテンションぶりについていけないのも事実w


・Same Trick Twice
>観客にカードを選んでもらい、残りをカードケースにいれます。
>その中に選んだカードを差し込んでもらい、フタをしめてもらいます。
>そして、カードケースを摘んで持ってもらいます。
>マジシャンがカードケースを上からはたくと、カードケースが落ち、観客のカードのみが指先に残ります。
>同じ事を繰り返しますが、今度はうまくいきません。
>テーブルに出している財布の中を見てもらうと、そこに観客の選んだカードが入っています。

いい手品です。難度はそこまで高くはないのですが持って行く方法がいい。初回と同様に行くのかな、と思わせての流れ、まああの財布を置きだす辺りから嫌な予感はしていたのですが、案の定w


・Oil & Water(演技のみ)
>3段からなるオイル&ウォーター。だんだん不思議さが増していきます。最後はほんとうにありえない。

これが見たくて買ったんです。いや本当に。


☆第一段:
助手を一人呼び、両手の間でスプレッドしてフェイス面を見せる。赤と黒が4枚ずつ固まってある。FDしてテーブルに置く。助手に卓上でカードをスプレッドしてもらい、上4枚(赤)を右に、残り(黒)を左に置く。それぞれのパケットのトップカードを一枚ずつ交互に真ん中に積み重ねていく。水と油のたとえを出して助手に山のトップからめくらせると赤と黒が分離している。

これは以前二川さんに教えて頂いていた。なかなか公明正大っぽい。ただ、少ない枚数での例の技法がちょっと苦手ではあります。もっとカルく出来るようになりたいですね(駄洒落)。


☆第二段:
お客さん側から演者方向に、赤黒の順で縦にFUで交互に並べる。お客さん側の4枚をまとめて取り、左側に置く。右手BGにとり、左手DPに一枚ずつラン赤黒赤黒。その上に右側のパケットを縦4枚に広がったまま重ねる。右手に重ねたパケットを取り直し、それを使って左手のカードをフリップダウン。さらにその上に右手のパケット(赤黒赤黒)をFD。直後そのパケットを表に返すと赤4枚に。残った左手のも黒4枚に。

以前二川さんがやってらしたそうだが記憶にない。不思議。多分エキストラが潜んでいるはずなのだが・・・。ラスト、時間にして1秒くらいの間に、赤黒だったのが赤一色になる様がすごく綺麗。


☆第三段:
両手の間で表向きにスプレッドしていき、赤と黒がそれぞれ4枚ずつ固まっていることを示す。揃えて、FDして、4枚の赤のファンの間と上に黒のカードを裏向きにさしていく。揃えてFU。一枚ずつ赤黒混ざっていることを示して閉じて開くと全部赤4枚と黒4枚に分かれる。

これは不思議。不思議なのだが手が結構もにょもにょしているのが玉に瑕。最後の「混ざってるよ」閉じる→開く「分離してるよ」が物凄く綺麗。この辺りのバランスが難しそうではあります。ブレイク・・・というかバーノンナントカというスプレッド技法を使っていそうなのですが、イマイチ追いきれません・・・。

総じて、まあみんなが褒める理由も分かったというか、かなり巧妙な構成の3段です。薄いがハードカバーのタマリッツOWレクチャー本もあるらしいのですが結局見つけられず、その旨を言ったらサークルの大先輩が「もしかしたらそれあるかも。あったら貸してあげられるんだけど」、ということでした。「僕、彼の演技好きじゃないんだよね」とはその先輩の言でしたがw


・Estimation ESP(演技のみ)
>よく混ぜたデックを、観客に裏と表をバラバラに混ぜ合わせてもらいます。
>さらに混ぜたら、観客に適当な枚数をデックの上から取って隠してもらいます。
>マジシャンはそのパケットの枚数、裏と表の割合、最後には全てのカードの
>数字とスートを言い当ててしまいます。

セルフワーキングの傑作に、”表裏をごちゃ混ぜにしてスプレッドし、裏向きのカードの枚数やその内訳、最終的に残るカードを予言する”という、かなり素敵なものがあるのですが、現象としてはそれに似ています。ただ、このマジックがその原理を使っているかは甚だ疑問で、特に観客に切らせたり取らせたりしているのが説明がつかず。枚数のチェックも入れたやつがコロンビーニだったか誰かの作品であったのですが、それ系統の方法とメモライズデック系なのであろうか。こういうのを想像しているときが無性に楽しい。


・Hypnotic Cards(演技のみ)
>3人の観客にカードを選んで覚えてもらいます。尋ねると、全員「ハートのエース」と言います。
>もう一度同じ事を繰り返すと、3人ともが「クラブの10」を選びます。
>デックを見ると、全部がクラブのJになっています。デックを閉じて再び広げると
>全てがハートのキングになっています。しかし、最後にこのデックは全てノーマルのカードに変わります。

序盤はまあ正直どうでもいいというかよくありがちです。覚えたての頃に何度かやりました。問題は後半です。上記の3行目まではまあ何とかできそうかなと思ったのですが、4行目となるとちょっと。いや、4行目の前半、KHにするとかまではいいのですが、ラストに一枚ずつ違うカードだよと見せていくのが。・・・あれ。もしかしたら・・・DFなのか。それにしても結構開いて見せていた時もあるし。ムム。混乱。つまり不思議だったってコトで。でも3人に引かせるのを二回やる以上、ちょっと演技時間は長いですけどね。


・The Three Coincidence Trick(演技のみ)
>赤と青のデックを2人の観客にシャフル&カットしてもらいます。
>済んだら、それぞれのデックの中から黒いスートのカードだけを抜き出します。
>青のパケットから1枚のカードを選んでもらうと、赤のパケットの同じ枚数目に同じカードがあります。
>次に、赤パケットと青パケットを混ぜ合わせます。そして、この中から選ばれる2枚が一致します。
>赤パケットと青パケットを分けて表を見ると、全て同じ順序で並んでいます。
>さらに、脇にどけた赤いスートの方も両方同じ順序になっています。

スミマセン、なんと言うか、長い。二人のお客さんに一つ一つ作業をしてもらうのですが、公平性を期する効果以上に煩わしい感じがしました。現象そのものは例に漏れず不思議です。これこそタマリッツのシステム使ってるんじゃないのかなあと思いましたけれども、アマチュアがこの長さをやるのは少し厳しいかなと。マジックマニアの集いではありですが、ごく一般的な手品愛好者が、その近隣の友人などに見せるにはちょっと重過ぎるかなというのが第一印象です。



・Thought on Comedy & Magic
マジックにおける笑いの効果。



・Follow the Leader
>赤いスートのカード10枚と黒いスートのカード10枚のパケットがあります。
>リーダーカードをそれぞれ出し、その位置を入れ替えると、合わせてパケットの方の色も入れ替わります。

氏のLesson in Magic Vol.1にて解説を見ました。リーダーを何度か入れ替えても、その度に移動現象が起こる非常に有名なお題の手品です。このタイトルで言われることも多いですし、「リーダーに続け!」というタイトルで呼ばれることもありますね。クラシックの一節(フォスターの「草競馬」か?)を口ずさみながらリーダー以外のカードが変わっていく様は、彼の風貌と相まって不思議以上にシュールでしたw


・More Thought on Comedy & Magic
笑いの理論パート2。