教授の戯言

手品のお話とかね。

Paul Gertner S&S Vol.1


■ Paul Gertner 「Steel and Silver DVD Vol.1」

色々なショップでコンテンツ内タイトル列挙しているのですが、どこのを見ても以下の順番なのでコピペ活用しています(実際の演技順番はちょっと違います)。



・Triple Die-lemma
黒い帽子と細い金属棒(ウォンド)、そして赤いダイス3つを使ったマジック。


これが見たかったのです。Vol.2のBonusで収録されていた「Second Apperrance on The Tonight Show」でやっていたダイストリック。見たことない人には本当に見て欲しい。畳み掛けるように、しかもでっかいものがでてくるのが好き、という子供じみた趣向の私としてはもううはうはでございます。「私もこういうのをやりたい」と思えた素敵マジックでした。カップとボールが帽子とダイスになるだけで結構目新しい感じに見えたのはちょっと意外。


小さなダイス3つとウォンド(細い鉄パイプ)、そして薄手の帽子による演技です。


・左手に握ったダイスがウォンドで軽く叩く度に消失し、帽子の下へ。
・左手に二つ入れ、残った一つをポケットに入れる、いわゆるツーインザハンド・ワンインザポケットを二回。三回目には全消失。
・消えたダイスは今迄通り帽子の下にあるのか・・・?そして2連続クライマックス


カップアンドボール同様、少し大きさのある物体のバニッシュは多少なりとスピードというかテンポでカバーするのは否めないのですが(これはガートナーといえども例外ではありません。クリックパスの部分などは単体で観客を欺くのは難しそう)、疑念を差し挟む前にポンポンとクライマックスが連続で来るので小気味いいです。



ガートナーのサイトでダイスセットも買いました。なお購入したときに書いたものでは、「クライマックスでは二つ出してたのに、このセットの巨大ダイスは一つだけ」とか書きましたけど、このDVDの演技ではファイナルロードの巨大ダイスは一つでした。あれ(二つ出すやつ)はThe Tonight Showでやった限定ルーティーンだったみたいです。こちらは立っていて、あちらでは座っていてと、演者の演技条件の差が出たんですかね。立ってるときにあの巨大ダイスを二つ保持するのはおそらく無理ですし、よしんば保持できたとしても二つ目がスムーズにロードできないというのも多分理由の一つでしょう。


ちなみに普通のよりワンランク大きいダイスでも一辺が携帯電話を立てた時の幅くらいで、特大にいたっては私の握りこぶし二個分くらいの、殴ったら人を殺せそうな大きさ&重さでした。帽子はこの演技ためだけに買うのはちょっとなあと思ったので、ついでにハットジャグリング用の帽子を買いました。最近ちょっとジャグリングにも興味が出てまいりまして。ただ、ハットジャグ用のは少々大きいのと、何でまたダイスが赤いのにも関わらず帽子も赤いのをを選んじゃうのかは謎です。でもなんか派手な帽子の方がジャグる時には良さそうだったんですもの。ということで当初の買った前提はともかく、このルーティーン用にどこかでやっすい黒めの帽子でも買おうかなと思いました。昨日実験してみたのですが、ラストの巨大ダイスはともかく、その前のコブシくらいのサイズをジャグリングハットの分厚いフェルト越しに保持するのはきつい。



・A Familiar Ring
ringといいつつ、実態はコインズアクロス。デビッド・ロスのSCを使う手順をモチーフにしているのですが、そのせいか昔どこかで見た感じです。ラストにコインが観客から借りた指輪に変わってしまい、観客が3枚握っていたと思ったものが4枚になる、という流れなのですが、これがどうもしっくりこないというか、確かにオチにはなってるんですけど、何故だろう、釈然としないのはw ただ、コインマジックにしては演者の負担も少ない気もします。

で、ちょっとやってみようかなとリバティのSCセットを探していたのですがどこにいったのかが分からなくなり、深夜三時過ぎまで探して見つからず。ホントどこやったかな・・・。




・The Vanishing Card Stab
観客の選んでもらったカードをデックに戻し、シャッフルした後で卓上にごちゃごちゃに広げ、目隠しをした演者がナイフでテーブルをぐさり。刃先に一枚刺さっているカードはお客様の選んだカードでした、拍手〜というのが(乱暴ですが)カードスタブの見た目。


ガートナーのカードスタブはそれとは少し違い、セレクテットカードがナイフによって刺されるところは一緒ですが、シルクによって隠されたそれ以外のカードが、いつの間にやら消えている、というひねりが一つ加わっています。テーブルないしは敷板が不要という点では簡便さは上がっていますし、デックバニッシュという現象も加わっている点は非常に良いと思います。ただ、原案の骨太さというか、ラストにテーブルを傾けて雑多カードを全部床に落とし、テーブルに突き刺さったままのナイフにセレクテットカードがある、というあの「絵」の方が私の好みには合います。


カードスタブは現象がはっきりしているという点では大好きですが、一度も演じたことはありません。カードを確実に損壊するのが気に入らないのと準備(やる場所)の面倒さなどがその原因です。そういう観点では片付けの手間のない彼のルーティンはクレバーなのは間違いありません。なんですが、やはりあのナイフを卓に突き立てるというインパクトには敵わないかな、というのが正直な所です。いい改案なんですけどね。



・Bill in the Cigarette
観客から借りた一ドル札の端を破り、小さな方を持っていてもらう。残りの方を折りたたんでいくと消失。観客より煙草を借り二つに折る。卓上の無惨な煙草を観客にちぎっていってもらうと、中から端の欠けた札が!そして番号も一致、というもの。


TPを使ったコーナースイッチなのですが、これについては特筆すべき点はないかなと。強いて言えばギミックの部分を卓上に落とす手の動きがやや不自然ですが、そこ以降は「これやられたらめちゃくちゃ不思議だよなあ」というものです。


・Photo Copy
見えないパームの話。人の目には見えないけど、写真に撮るとあら不思議、ちゃんと写ってるんですよ、ちゃんとほら、折りたたんだ手のひらの写真コピーの手には、QDが飛行してるでしょという、冗談なんだかまじめストーリーなんだかよくわかりませんが、



・Salt Shaker Surprise
(手品をかじった人には)おなじみその1、"コインの上に、ナプキンで包んだ塩のビンを載せると消えるんだよ!・・・ビンがね。ちょ、アンタ、インチキとは何だ!コインが消えるなんて一言も言ってないだろ!あーいーとも!出るとこ出ようや!"です。かなりオーソドックスにやっていました。ナプキン型をお客さんに叩かせる辺りの流れは好きです。至極まっとうな手順でした。


彼はやっていませんがたまに見かける、"潰すのと同時にビンを床に落として、「ビンが貫通しちゃった」"というのは果たして面白いのかどうか。え?ええ。私は好きですw なお以前思いついたのですが、ナプキンに密かに両面テープを付けておいて、塩のビン消失と共にコインもぐしゃぐしゃナプキンにくっつけて回収してしまうとかどうでしょうか。完全消失。ちなみに「・・・ダメだな」という自己完結で終わった思い出があります。実際やってみたのですが、両面テープをナプキン潰す際まで維持するのが厳しかったのです・・・。今ならできるだろうか・・・。




・Ring Thing
おなじみその2、"左親指が取れちゃう例のアレ"をまじめに解説していますw 一点、観客から借りた指輪を左手の親指に付け、その上でなお親指取れちゃう、という現象に仕立てていますが、正直これはちょっとどうなのでしょうか。おなじみネタにマジシャンがひとスパイス振りかけてみました、という印象。が、やはりこれ単体ではいかんともしがたいのではないでしょうか・・・。




・Thumb Tip Corner Switch.
タイトルまんまですけど。・Bill in the Cigarette の時の技法を細かく解説。ユーティリティースイッチというだけあって、色々な事に応用できそうです。私がやりそうな手品としては一部のみ適用可能かなと思いますが・・・。



・DVD Bonus, Paul's first appearance on the Tonight Show with commentary.
やはりタイトルのまま。やっていたのもは3つで、ビルチェンジ→That's Ridiculous →Cups and Steel Balls でした。


ビルチェンジは1ドル札が1000ドル札になるもので、最初見たとき1000ドル札ってジョークグッズだと思ってたのですが、Wikipediaで調べてみたら実在したんですね。コメンタリをよく聞いていなかったのですが、ガートナーはアンティークお札をだした、ということなのか。Wiki「なお、かつては500、1,000、5,000、10,000ドル紙幣が流通し、主に銀行間の決済などに使われていたが、1934年(シリーズ1934)を最後にこれらの高額紙幣の製造は中止され、電子的な決済システムの出現で必要性がなくなったため、1969年に流通停止となった。」


That's Ridiculous はコインアセンブリかと思ったら、ラストに怒涛のプロダクション。Vol.2で解説があります。


Cups and Steel Ballsも同様。Vol.2にて解説。上記の That's Ridiculousもそうですが、TVということで少し緊張している感じがします。レクチャーDVDの時などは流れるような手捌きなのですが、こっちだと少しぎこちない。