教授の戯言

手品のお話とかね。

P.A.N.

☆ KENJI 「P.A.N.」

「我輩は、えにえにが大好きなのであります!」(声:渡辺久美子) 

KENJIって書くと、条件反射でEDENのケンジ・アサイを思い出すきょうじゅでございます。

届いて、読んでみて、3,000円しないお値段でこれは結構お買い得かと思ったのが第一印象。必要なカード類もついてきますし、なにより冊子以外にもHPで見られる追加要素なども良かったです。手放し絶賛で革新的な原理で衝撃!…というわけではなかったのですが、仕込みの手間と実演時のバランスがいいと思いました。
解決手法にもセットデックや予言カードの工夫、枚数操作など、パターンによって違った要素が絡んでいるので、ACANをやったことがない方にとっては、勉強の一助にもなるのではないかと。冊子だけでも6種の方法が載っています。



他の類似トリックを熟知しているわけではないので、同様の原理を使っているものも探せばあるんだと思いますが、この作品の形態はというと、「予言しておいたカードを、任意の枚数目から出させる」というタイプです(「お客さんAの指定したカード」を「お客さんBの言った適当な枚数目から」出す、という形態ではありません)。まあ色々な所で書かれていますが、そこまでを要求するのは多分マニアの発想で、手品に深く関わっていない方、つまり一般的なお客様にとっては"どちらかだけでも十分不思議"というのが恐らく正鵠を射た意見だと思います。…しかしエニエニは、内容を書こうとすると本当にタネに直結しちゃいそうでどきどきですね。…だから、書きませんけどw



なお冊子中には様々なバリエーションが解説されていますが、やはり後でHPに掲載されたP.A.N.7が良いと思いました(計算しやすいから)。あとは予言のやり方も色々ありましたが、ユージン・バーガーのブラック・エンベロープの手法を使えば、私の嫌いな"DFでの予言"をしなくて済みそうです。

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と、色々書きながら思い出してみたのですが、何のかんの言いながら「Boomerang Trick」とか「One for the Money」というのは、厳密にはACANと呼べないのかもしれませんが、解決のダイレクトさ・鮮やかさが秀逸だなと、その良さを再認識した次第。

なおACANについては研究家の石田さんが詳細な内容を「TOY BOX Vol.9」にまとめておられますし、その概略はフレンチドロップのコラムでも読むことが出来ます。ご興味ある方は是非。てきとーに考えると、レギュラーデックで行なわれるものの場合は大体メモライズドスタック+コントロール、そうでない場合は大体サイクリックスタックを使うような気がしますが、どれがいいか、ってのが判断しづらいのがこのプロットの悩ましいところですね。実演する難度としてはサイクリックが妥当だと思うのですが、なんとなく引っかかるものを感じます。かといってメモライズドデックとコントロールの組み合わせは私には難しいのが。悩ましいですねえ…。