教授の戯言

手品のお話とかね。

小指が痛い

■ 浅田悠介 「Stella」

私、コインマジックに関しては「練習してます」とすらいえないレベルで、そんな者が色々書くのもおこがましいのですが、ご縁あってDVDを拝見させて頂く機会がございましたのでご紹介。コインマジックのDVDなんて久しぶりです(その直後にベルトリニとかマクリントックとかラニー・レイムントとか見ることになったりはしていたのですが)。 浅田さんまだ18歳とのことで、17歳である私よりは年上なんですが(←聞き流すところ)、今後の進化を楽しみにしております。

基本はノンギミック・ノンエクストラのチンカチンク(アセンブリ?)・元の位置に戻るバックファイア・いっぺんに集まるフラッシュがメインに解説され、Bonusとしてコインプロダクション・2coinsルーティーンが解説されています。変態テクが無いかというとあります。いや、変態というほどではないのか?コインレベルが低い私にはあのおはじきとかもう既に変態テクなんですけど、一般的コインマジック愛好家的にはどうなんでしょうか。

で、実はDVDやらショップの解説やらを読む以前にデモ映像だけは見ていて、「絶対シェルかなんか使ってる」と思っていたのですが、本当にノンギミック・ノンエキストラでした。ショック。まあ紹介文に嘘を書いてはいけないとは思いますが、実際コインと手の他は何も使っていませんでした。現象の裏側では1ステップずつ非常にロジカルに構成されており、解説を聞いてちょっと尊敬です。そのロジックというのも見た目の綺麗さ(幾何学的美)を損なわないもので、かつ観客の側に視覚的な錯覚を与えやすいように出来ています。



チンカチンクは、やはり1枚目の移動が個人的に凄く秀逸。解説聞いても不思議。3枚目のフェイクテイクは視覚的な誤認が楽しいです。2枚目は綺麗なんですがどうしても手が近づいている感は否めません。観客が正面の場合は多少手が離れていても良さそうですが、本作の目標である、「角度に強い」ということを前提に、サイドの観客の目を考慮するとあのくらいの接近は必要なのかもしれません。カラテの達人でもないので、第一関節だけで飛ばすのは無理でござるの巻。

バックファイアについては、ラストだけ入り身の動きが突然激しくなるので、そこは今までの流れ的にゆったりさせちゃあだめなのかな、と思ったりもしました。何よりテーブルでのコインマジックに大きい挙動は似合わない気がします。

フラッシュはラストの1枚の扱いが秀逸。観客として現象が完了したと思ったときには、実はまだ完了してないという、誤認を誘導する手法というかコンセプト、大好きなのです。その処理というかあの受け渡しは少なくとも練習の足りない私には出来ませんけど。



気になった点としては、スタンドアップのプロダクション時に顕著なんですが、現象の内容を説明しすぎのきらいがあるところ。真田さんのブログだったかで、「目を閉じていても、演者の喋りを聞いているだけで何が起こっているのかわかる演技」というような内容を読んだ直後だったからかもしれませんが、そのあたりはもっと現象だけを見せても良さそうです。生で演技される場合は逐一説明しないとは思うんで、DVD特有の現象かもしれないのですけどね。
(後日追記:発言は真田さんで正しかったようですが読んだのは銀次郎さんのブログでした。)



ご本人からは「ノンエクストラなんて明らかにマニア思考ですし、それはもうシェルとか使った方が絶対にクリーンですよ」というコメントを頂きましたが、4枚のコインだけでいかに錯覚を作り出すか、という浅田さんなりの試行実験結果といった趣の作品集でした。・・・いやしかしチンカチンクの1枚目の移動はきわめて不思議だ…(まだ言うか)。きっちり幻惑して頂きました。ありがとうございました。


なんか私もベタな「カード4枚とコイン4枚のアセンブリ」以外に出来るものとか増やしたほうがいいのだろうか。そうするとこの間ジョシュがやっていたギミックコイン2種でのコインバニッシュの方が簡単そうなんですけどねえ…(アレはアレでラスト1枚の処理が難しそうですが)。