教授の戯言

手品のお話とかね。

Envelope Magic

これは面白かったです。コストパフォーマンスもかなり高い。準備もそこまで難しくなく、サロン向けのものを覚えたいなあと思っていた私にはとてもナイスなDVDでした。
ただ、コンセプト上仕方ないのですが、トランプと封筒ばかりが怒涛のように出てくるので、一気に見るとさすがに飽きますw 事典の一種として見たら良いのかもしれませんね。

ちなみに一番の不思議は海外で買うより安い所。2010年記念、というのはまあそうなのかもしれないのですが、安すぎでしょうw

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■ Mark Leveridge 「Magic Of Mark Leveridge Vol.2 Envelope Magic」

内容については「K-MAGIC」よりそのまま参照。

1. THE INVISIBLE DECK ROUTINE
観客に見えないデックから1枚のカードを(想像で)選んでもらいます。(フリーチョイス)演者は封筒の束から1枚の空の封筒を観客に渡し、その想像で選んだカードを封筒に入れてもらうふりをしてもらいます。そして、封筒にサインをしてもらいます。しかし、演者がパチンと指を鳴らすと、空だったはずの封筒から観客が自由に言ったカードが現れるのです。このマジックだけでこのDVDの値段の価値があります。

確かに「元が取れる価値ある」かも。えにえにの趣すらありますが、確かに空だと見せた封筒から、しかも観客が適当に言ったカードが出てくるのは極めて手品的。解決策がかなりベタな方法というか、準備の勝利なのですが、複雑性は排されているので演者の(演技時の)負担は少ないです。取出しについては手品っ子にはおなじみのあの方法ですが、あれって固有の名前あるのかな?



2. THREE-CARD TRICKY
スペードのQをダイヤとハートのAで挟み、封筒に入れて観客に持ってもらいます。演者は財布を取り出し、中に演者の名刺とお札が入っていることを示します。財布を閉じてテーブルに置きます。今から2枚のAに挟まれたQがお札と入れ替わると言います。封筒からカードを裏向きに取り出してみると、3枚のカードのままです。失敗したかと思われますが、Qと思われるカードの表は演者の名刺になっています。そして、財布を開いてみると、名刺がスペードのQに変わっています。


封筒というものの構造をうまく活用した一品。全くもって怪しい感じもせず自然です。しかし、一度視線から遮蔽した物って記憶から薄まる気がします。確かに最初に見せてはいるんですが、単に私の記憶力がアレなだけかもです。なおレバレッジさんが封筒をとじるときにノリ部分を舐める所作が私は嫌いです。勢い良すぎて。もう少しソフトに舐めてくださいw 



3. CREDIT TRANSFER
観客にクレジットカードを借りて、封筒に入れてテーブルに置きます。演者は2冊の本(AとBとする)を取り出します。本Aをパラパラとはじいてストップをかけてもらいます。ストップをかけてもらったページで、先ほどの封筒を本Aに差し込みます。もう1冊の本Bを取り出し、演者は「予めこの本にも封筒を差し込んでいました。」と言います。観客に確かめてもらうと、本Bの203ページに封筒が差し込まれています。先ほどの本Aも観客に調べてもらうと、やはり203ページに封筒が差し込まれています。(一種の予言)さらに、クレジットカードを入れたはずの封筒は空で、予め本Bに差し込んでおいた封筒からクレジットカードが出てきます。(クレジットカードの移動)非常に巧妙なトリックです。


解説聞いてから見ると結構大胆なことをしているのですが、初見ではまるで気づかず。この、ページ数が一致(予言?)されているというのと、観客のクレジットカードが移動している、というのは同時にやることによってちょっと効果が何割か減ってしまっているのではないかと思うのですがどうでしょうか。どっちかだけでも十分不思議な気がしました。
なおマジックとは全く関係ありませんが、ストップをかける男性(写真右上)がDoc Easonに似ていたりします。本人だったら笑うんですが多分別人。


4. PRE-VIEW
デックから1枚のカードを選んでもらい、表を見ないで封筒に入れます。さらにもう一枚のカードを選んでもらい、これは表を見ます。クラブの2だとします。デックをよく混ぜ、表向きに広げていきますが不思議とクラブの2は消えてありません。そこで、先ほどの封筒を開いてカードを取り出すと、そのカードがなんとクラブの2なのです。もちろん、封筒の中は空です。スイッチ用の封筒の作成方法が明らかになります。この封筒は応用が効きます。


私はまずこの2Cを消す例のギミックカードが大好きなのですが、それはさておき。この封筒の構造は凄いと思いました。だって本当に入れているのに消えるし、中見せられるし。ショップの紹介文の通り、この封筒はなんにでも応用が利きそうです。こういうギミックの複合トリックは実に私の好みでございます。あ、ちなみに封筒は別に消耗品ではないので、「観客の目の前で安全かつ堂々とカードを摩り替えられる手法、ないかなー」とか思われている方には非常にお勧め。



5. LOCATOR
観客に名刺の裏に1から52までの中で好きな数字を書いてもらいます。名刺を受け取りそれを封筒の中に入れます。今度は演者が演者は名刺の裏に予言を書いて同じ封筒に入れます。デックを取り出し、先ほどの数字の数だけカードを配り、枚数目のカードを観客に渡します。そのカードが演者が書いた予言と一致しています。


これ、すごくね!?いや、そりゃあえにえにの毎度の突っ込みとしては、この手の操作を一切しないで観客二人に数とカードを言ってもらって即配ったらいいじゃない、というのはあるのですが、これはなんかこう地味だけどいいです。これまたサトルティとしては非常に大胆というか目の前で堂々と仕事をしている感じです。先述の封筒使用ですが、結構趣の違う作品になっていますね。。



6. CUT AND RESTORED CARD
封筒にカードを入れた後、封筒をはさみで切ります。封筒は切れていますが、カードは切れていません。


封筒ぺろぺろしたあと面白い顔でこっち見んなwww それはさておき小学校の頃にこういうの見たなあと思いました。封筒の大きさはほぼカードと同じくらいで、逃げ場のないことが分かりやすいものです。なお、正確に書くなら、封筒の長い側からはさみを入れていき、真ん中あたりまで切ったところで今度はレターヘッドというか一番ハジを2?くらいの幅で切って口を作り、そこから無傷のカードを出してくる、といった感じです。



7. INTUITION
観客Aに自分の名前を名刺の裏に書いてもらいます。それを封筒に入れます。さらに名刺(何も書かれていない)が入った封筒を5枚追加して、よく混ぜます。そして、これら6枚の封筒をA以外の6人の観客に配ります。この状態で観客Aが名前の書いた封筒を誰が持っているかを当ててしまいます。即席でできるマジックです。


女性の直感ってのは怖いんだよー、というのが演出できますw 確かに準備…といっても、複数の封筒の中に名刺なり何なり入れておけばどんな状況でも出来ます。人数が10人以上くらいいるという状況が必要ですが。



8. INSTANT CARD FLIGHT
観客にカードを1枚選んでサインをしてもらいます。中央に四角の穴があいた封筒に、そのカードを入れます。穴を通してカードが入っていることを確かめることができます。フッと息を吹きかけると一瞬でカードは封筒から消えて、デックの中ほどから表向きで現れます。とても、ビジュアルな現象です。


「holly shit」とか意外と昔からある原理なのかなと思ったりしました。この「カードが目の前で消失する瞬間」は物凄いビジュアル。



9. DEVIL'S ISLAND
観客に6つの場所のどこかにお金を埋めてもらうという設定のマジック。どこに埋めたかを予言しています。非常に応用の効く手順です。封筒に入れたものをピークする方法や特定のカードを特定の封筒に入れる方法が学べます。バンクナイト系メンタルマジックとしても使えます。


この堂々たるピークぶり、堂々たる操作っぷりがたまりませんw スライハンドレバレッジさんも良かったですが、こういう目の前でやっちゃうやつも素晴らしいです。道具はコンパクトだけれどサロン系を覚えたくて、というのが今回の私の購買動機だったので、こういうのは非常にナイス。準備というか道具の作成はそこそこ面倒なんですけどね。病院とか幼稚園でやりたいなと思いつつ、ちょっと複雑なので、やはり私の場合はマニア会合向けになってしまうのだろうか。



10. EASY JUST CHANCE
3枚の封筒のうち1枚の中にお札を入れます。どの封筒にお札が入っているかを観客に当ててもらいますが、何回やっても当たりません。ここで使う封筒も応用が効きます。ぜひ、自作してみて下さい。


封筒の機構としてこれまた面白い。かなりやってみたいのですが、解説を聞いてなお私自身がどういう方向で操作するのかなどが怪しいという混乱ぶり。しかしこういうギャンブルデモ的なやつはいきなりスリーカードモンテとかやりだすよりも、こういった形の方がゲームっぽくて良いような気がします。作りますか…。