教授の戯言

手品のお話とかね。

レア手品映像鑑賞

先日の記載の通り、458maさん収集の映像の数々、その一部の蔵出し上映会@錦糸町。マニアイベントここに極まれり。若い人が3割くらいであとはやはり年配の方が多かったでしょうかね。無論私は場違い組ですけれど!菅原さんが来ていると、あらかじめ知っていればなあ。

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▼前半は天花とかあの辺の往年の大御所系のが。フィルムや撮影の状況もあって、水芸っぽいけれど水が出てるのか出てないのかよくわからないw 水が見えない水芸はなんか中途半端な舞踊を見ているようでなんとなくいたたまれなかった。シャドー手品。
予告されていたとはいえ、やはりサイレントベースを黙々と見るというのは空気が重いw 元の映像が粗く、何をやってるのか分からないものもあるが、往時の雰囲気はなんとなく感じられました。
幾つかの現象を見ていて、「今と比べて、なんだか4・50年前もやっている事かわりばえしないなあ」とか思ってしまいました。



▼故マーカ・テンドーさんの若かりし頃のステージ映像。まあこう言っては何だけれど、運足の雑さにびっくり。多少なりと演劇かマイム・武道に関わった人間には信じられないであろうレベルだなあと思った。
学生マジックをしていた時分にステージカードもやっていたのですが、ファンを開いたりなどの、"手品的にはどうでもいいこと"に関して、あれは「綺麗にカードを扱えるんだよ」というアピールではあるが、別に拍手をもらうためのものではないし、延々とやるものではないと習ったのですね。その私には、ダブルS字ファンなどで拍手を貰おうと止まるのは理解できません。あとは今日気づいたのはあれです。自分は当時、深い考察も対応もしませんでしたが、1枚出しとかミリオンファンやってるときのマジシャンの左手って、ぶっちゃけ変ですよね。右手がばんばん動くのに縫い付けられたかのように脇腹辺りに固定。いや、そうせざるを得ない、こっちの都合ってものもあるのは重々分かってるんですが、あれは客観的に見ると、変なヒーローポーズっぽい気がw まあ何はともあれ、手品というか勢いに乗せたジャグリングっぽかった。
そこから10年以上後の映像はさすがに落ち着いた動きで、なぜだか安心しました。いや、でも別に手品的に不思議ではないとは思うんですけれど。…ふう。…もう最近、自分のセンスというか不思議というものの感覚が理解できなくなっているので、あれは世間一般の皆様には普通に不思議なのかもしれないのですが、私には不思議じゃなかったってだけです。お忘れください。



▼何かのCM。お歳暮とかでしたか。シルクハットから何も出てこず「あれー?でないなー?」的に困っている女の子マジシャンの後ろでカードやらなんやらをプロダクションしつつ登場の、若かりしマーカテンドー&もう一人のヒゲのマジシャン。そしてカメラ引いて出てくる字幕。「本当に大切な真心は、手品では出せません」(というような意味合いの)。 いや、軽い気持ちなんだろうけど。…重いなあ。ずしりと響く言葉。いいですか皆さん、「本当に大切なものは、手品では出せない」のですよ。もう、酉乃に聞かせてやりたいよ。魔法なら…魔法なら何とかしてくれる…!かも。それにしてもひどい言い草です。…事実ですけどw ディズニー的な明るさもいいけれど、手品はやはり冥い闇を持っているべきだと思うので、常にこういう醒めた目線は必要というアレな持論。



▼後半。島田晴夫さんステージ。さすがにうまい。二十歳頃の四つ玉はテクニックの安定ぶりを含めて、今でもお手本になるのも分かる気がする。ダブプロも遅滞無く。帰朝公演の映像は堂々としているというか貫禄がありました。しかし1枚消しを手元アップで撮られるとさすがにきつい。というか彼の1枚消しは渡したその位置で消しているので、あの映像見たらバレバレなのではないだろうか。
なお島田晴夫さんのGENIの表紙写真が何かに似ているというこのもやもや、今日ようやく気付いたんですけど、「シグルイ」の岩本虎眼先生に似てませんかね。実写版やるとしたら島田さんしか、とか思ってしまったw 「出来ておる喃!フリューイン!」 まあ総髪で眼ヂカラたっぷりな東洋人ってだけかもしれないですがw



▼CMシリーズ。15秒CMとかではなく、広告すべき商品を使ってやる手品、な感じですが。マギー信沢さんのはこれがまたどうもヌガーのCMらしく、帽子から次々とヌガーが出てきていました(ヌガーっていうのはなんかこう、アレです、スニッカーズみたいな甘くてねっとりしたそういうアメリカンな感じのやつ。口の中が気持ち悪くなるので私はあまり食べないですけれど、遭難の可能性があるところに行くときには持っていくといい、高カロリーで吸収早そうなアレ)。すみません、凄く不思議でした。メリケンハットやっていた先輩よりもロードには自信があったのですが、ロードタイミングが分かりません。無編集だったとしたら方法を学びたいレベル。



▼後半ラスト、なんとポロックのダブプロルーティーン(「ヨーロッパの夜」とはまた別の映像)と、ヴァーノンの(司会者とウサギさん人形相手の)カップアンドボールと3カードモンテ。この二つは実に良かった。
ポロックはカラーだったとかそういうのを差っぴいても他のと格が違った。ぶっちゃけ今日見た中では、マギー信沢メリケンハットと先述のCM、上記ヴァーノン、それからこれだけで十分でした。なんというかあのルーティーンとポロックは、大げさでなくダブプロという演目として、エレガントなマジシャン像として「完成している」気がする。あれを見てなお、同じ方向性でダブプロをやろうとするのなら、その人の心情は私にはおそらく共感できない。「俺はポロックよりうまいぜ!」という意気自体はガッツがあっていいことと思いますけど。なお今日見た映像で、手元に置いて何度も鑑賞したいのは断然ポロックのこれ。
ヴァーノンもまた、何度か見たニアデスな頃ではなく、もっと若い時の、髪もまだ半白髪の頃だったのですが、今まで見た彼の映像の中では一番動きに切れがあった気がしました。モンテのハイプは普通に綺麗でしたが、例の折り目を無くす辺りとか、さすがの名人芸。あのレベルまで出来るなら私も人前でもう少しモンテをやるんですけれどねえ…。



▼帰宅後TVつけていたら「ヨーロッパの夜」でポロックがダブプロやるときに流れる音楽(曲名知らず)が流れてきて、「うおっ!?なんてタイムリー!」となって画面を見たらINAXのトイレCMだったという愕然。しかもなんか頻繁に放送していますね、これw

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4月下旬に菅原さん創作奇術講座第3回(やるのは嬉しいですけど題材続くのかな…)、5月にスピリット百瀬さんのレクチャーがある様子。近くなったら多分また森山さんから案内が来る気がしますが、あるらしいよ、ってことで。百瀬さんのレクチャーはちょっと興味があるけれど、スライハンド修練よりギミック使用に走りつつある(注:逃げ)私には荷が勝ちすぎている気がしなくも無いw あと、ああいうものは普段練習をして素地が出来ていないときつそう。悩むなあ。