教授の戯言

手品のお話とかね。

LN 「きょうじゅで遊ぼう」

「まあ若気の至りって言葉もありますし、いいじゃないですか、体裁整えてそのメモとか出しちゃえば」「えー、じゃあ出しちゃおうかなー♪」という、版元の人との酔った勢いでのバカ話が、何が何やらしている間に転がり、5月にレクチャーノートなぞを出すことになってしまいました。レクチャーというか作品(改案・アイディア)集に近いですけれど。…誰が読みたいんだこんなの。ていうか5部とかしか売れないとそれはそれで泣きそうだから今からでもやめたい。

「カードマジックとかもういいよ、飽きたよ」と言いつつ、やってることはカードばっかりだったというこの矛盾。原本はPDF仕様ですが、写真のは記念にちょっと印刷・ファイリングしてみたもの。レクチャーノート史上初(多分)の"提案書"形式。読み手をお客様呼ばわりw この形式にした理由は、Wordとかで打つの嫌いな上、手元にいじりやすいリアルな提案書pptフォーマットがあったため。お金を頂いて良いような代物ではないのですけどねえ…。
ちなみに扱っている手品自体は大体まともなやつばかりと思っています。ここではあえてアレなものを挙げてはいますがw 大体は技法的にも見た目的にも無理な箇所は無いはずです。多少効果が弱くなっても、観客に疑念を抱かせる箇所の払拭を徹底したつもりです。一応ちょっとだけ難しいけどこういうのもいいかも、というのも、補記としては記載しています(それでも私が出来る程度の技法です。クリップシフトとかは使わないのでご安心をw)。

大体各章こんな感じです。

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<内容抜粋>
3. 「誰も知らない」
演者は、なぜかデックを持っている観客からデックを借り、てきとーにシャッフルしたあと裏向きのまま1枚ずつ配っていく。適当にストップをかけてもらったところのカードのバックにシールを貼り、残りのデックを重ねて観客に表向きにシャッフルしてもらう(誰も表は見ていない)。返してもらい、表向きにスプレッド。演者は指をスライドさせ、観客に好きなところでストップといってもらうことを繰り返して、都合3枚のカードを抜き出す。そこから最終的に1枚のカードを選んでもらって脇によけておく。それ以外のカードの裏を見ていくがシールは無い。最後に、観客の選んだ1枚のカードを裏向きにすると…。

Notes:二川さんに習ったものを珍しくまともに改案。裸でも出来ますが、裸でやらないことを推奨。人として。カードマジックの根本的な部分の盲点をついていますね、このトリックの心臓部は。正直排したい手順が一箇所あるのですが、これが無いとあまりに直接的だし、というジレンマを抱えたままの提示。誰か最適解をください。



4. 「ちょっとだけテクニカル」
3名の観客にそれぞれカードを選んでもらい、まとめて裏向きに卓上に置いておく。脇のパケットケースからカードを取り出し4枚のQであることを示して脇においておく。卓上のカードをデックにばらばらに戻した後シャッフルしてもらい、演者に向かって放り投げてもらうが、演者がそれをファンにした4Qで薙ぐと4Qの間にそれぞれ裏向きのカードが挟まっている。表にすると観客のカードである。



Notes:カッコ良く示した後で、散らかしたカードをいかにカッコ悪くかき集めるのがポイント。それが面倒な方は卓上で、デックを左手だけでリフルし、その中にファンを差し入れてつかまえくるという、これまたオリジナリティの欠片も無い手法でも実現できます。

体裁上"手順"にしてありますが、これでやりたかったのは"4枚のカードにセレクテッドの3枚を挟むのを、カウントだけで行う"、ということだけです。なので別にこんな手品にしなくても問題ありません。むしろコントロールが使える方は、コントロール後にこれをやると、4Qを示す動作でコレクターワークが出来るよ、とそれだけ。
ちなみに「マルチプルリフトとカウントの順列組み合わせで"改案"とか言ってるおとこのひとって…」が普段の私の物言いなのですが、自分のことは棚に上げました。炎尾先生も「それはそれ!これはこれ!」と仰っておられたし。でもまあアマチュアの私は棚にあげ、プロの手順書ではもう禁止にしていいと思います、順列組み合わせ手品は。
なお見せてみた二川さんからも「んー誰かは分からないですけど、間違いなくありがちな手法ですよねえ」といわれてしまうくらい、びっくりするほど普通の解法なので過度に期待しないでくださいね。
カードのすり替えはベベルの手法を使いますが、長年別手品でやってきた割に、ベベル本人のようなディセプティブさが足りない。それは仕方のないことなのよ。



7. 「Anniversary Waltz -Broken-」
傑作、アニバーサリーワルツの駄改造。男性 Aと女性Bのカードが背中合わせに1枚になったー、という次の瞬間、ぺりっとはがれる2枚のカード。「ああ、やっぱ貼り合わせてたんじゃん」「ええ、それ故に関係も剥がれやすいんですよ」 マジシャンが男性Aのカードを裏返すと、別の女性C(日頃から男性Aとの関係が怪しまれている、同会場にいる女性)のサインが!「これは、正真正銘の1枚。…剥がれませんよ。んっふ。」 続いて女性Bのカードを裏返すとこれまた日頃から関係の怪しさを指摘されている同会場にいる男性Dのサイン。 サインドカードを女性2人にプレゼントしつつ、「今後も"変わらぬ"素敵な未来をということで!4人に盛大な拍手を!」 と、場を凍らせて終わります。

Notes:二川さんとの雑談に出てきた、アニバーサリーワルツの夢の無い改案。私のお手軽な方と、二川さんのとても空気を重くする案の両方を収録。後者はできればやらないことを推奨します。



8. 「エンドレスエイト
演者は7枚のカードを使ったマジックを見せると言い、デックから出したカードから適当な枚数を取る。数えてみると1枚多いので山に戻して続けるが、何度数えても8枚になる。それが延々と繰り返され、8回目には…。そして先ほどまでノーマルスポットカードだったものがなんと全て著作権的に不安なカードに!

Notes:タイトル先行で思いつきました。

さあおまえら、ヲタ手品の時間だ。「ミルクとクルミと…」に続き、名作「シックスカード・リピート」をこれまたきょうじゅがあほ改悪。最初は延々と8のカードが出てくるマジックにするつもりが、劇場版も近づいているし、両方網羅した手順にしようとこんな形に(2009年末に思いつく)。カップスの「5カードトリック」に物凄く憧れているんですが、憧れた結果がこれかという辺りは、関係各所に本当に申し訳ない。



…信じてないでしょ。ホントに作りましたからね。作った専用カードはここに晒すわ!ホラネー。













「…個人利用。著作権には目をつぶって欲しい」(CV:ながもん)。
なお処理用のスポットカードは、厚みを出さないため、3 層のカードをはがして分解、中の台紙を抜いてから再度フェイスとバックを直に貼り付けた、通常のほぼ半分の厚さのカードを作っています、わざわざ。何気にこだわりの一品。薄いカードはジョシュア・ジェイの「Vegas Visit」を着想にしました。いわゆる「シックス・カード・リピート」の最後は、もう一個ハッキリした現象が欲しいなあということで、最終的には全部のカードが変わっているという形態に落ち着くのは自然の流れだったのかも。なおノートには印刷済みカード&薄いカードはおろか、画像元データもつきません。著作権とか色々あるんですよ。元画像URLはご希望あればお伝えできますけれども。

あとこれだけは言っておきたい。
「ネットにキョンの絵が少なすぎる」。
主役だろー(狂言回しかもしれないけど)。古泉とのBLの絵は結構あったですけどトリミングめんどくさいんだよう!候補用に全キャラで100枚くらいの画像を集めてきましたが、キョンの絵、特にカードの印刷に適したような背景のゆるい絵が本当に無い。Google先生キョンの画像ヒットしないように検閲かけてるんじゃないのかと思うくらいでした。もうどうしようもなかったら「トランプに印刷したいので、それを踏まえた形のキョンの画像ください」とかスレ立てしようかと思ったさ。「クソスレ立てんな」「まずはお前が貼れ」とかレス受けそうですけど。結論が"DVDジャケット画像"というのはリアル挫折なんですよ、しくしく。

古泉・消失・デフォルメ長門なども作りましたが、作った後で、「あ、今回の手順、キャラカードは7枚あればいいんだった…」と気付きました。無計画。…いや、拡張パックだと思おう。ちなみにカードプレス(初)大活躍。私、工作は好きなんですけど、演じるのは別に好きじゃない事に薄々気付きかけた…。




ついでに。

↑おまけカード


↑見た感じよく分からないけれど薄いカード



↑ノートイメージ



9. 「例の彼女の消失」
上記で出した何枚かのカードを表向きに並べて「ああ、この演者、やっぱり変態なんだ…」という観客のザンネンな表情を見たあと、「例の彼女の消失、見た?これが消失版のハルヒね。ちなみに私は朝倉さんが好き」などと言いつつ他のカードと一緒に重ねていく。指を鳴らしてスプレッドするとハルヒだけが"消失"している。
テンヨー「不思議ながくぶち」を使う場合
フォトスタンドに何も挟まっていないことを示した後、ハルヒカードを中に入れ後ろの蓋を閉じ、ギミックを作動させてカードを消す。「(この世界には)ハルヒが…いないだと…?」と杉田ボイスで現象を終える(考案者本人はここが出来ません)。
Notes:タイトル先行。実はこっちを先に思いつきました。

アイディア先行、タイトル先行だと後半が手抜きになるという極めて分かりやすい実例。私、消失長門っていう単語は前から見ていたんですが、長門が消えるもんだと思っていましたよ(アニメ2期分と映画のみ視聴。小説未読)。



他、コインを使ったコンゲーム(駄洒落)、去年の撮影用に作ったミクルフィギュアをプロダクションしてくるギミックや、色々仕掛けのあるテーブル設計図などを含む15チャプター全56p。しかし手品数年やってきてこれだものね。てへ。私も浅田さんとか大原さんみたいな極めてまっとうな手品をする子になりたかった。もーおーもーどれーなーいー♪