教授の戯言

手品のお話とかね。

ポン太・ザ・スミスレクチャー

11/14(日)掲題イベントに参加。天丼ネタに弱い私としてはプリンだけでもう大笑いです。いざ書き出してみると、大量にやってらしたんだな、ポン太さん。2週間ちょっと前なので記憶が怪しいのですが。一つ一つが長くて1〜2分なのでこの種類になるんですかね。濃密な2時間ちょいでした。

変態的テクニックは言わずもがな、ただ、私コインはやれないんですけど、そんな私でも納得の理路整然とした理屈でした。かねがね、ポン太さんのバニッシュっていわゆるコインマジシャンにありがちな「消すよ、消えるよ、ほら消えたー」というんじゃなくて(それはそれで凄いとは思う)、かなり脱力というか自然に柔らかく消えるなあと思っていたのですが、今回の解説で左右の手の位置、消える場所、受け取る手の形、そして慣性など、様々な要素がを緻密に組み合わさってあれができているのだなあというのがよくわかりました。分かるのと出来るのとは全く別の話ですけど。

また、本の良さについて「DVDのように、こうやるんだよという、"もしかしたら考案者の理想に届いていないかもしれない実演"ではなく、"演者自身は出来ないかもしれないけど、その目指すところ、理想像"をそのまま描けるのがいいところです」というのは納得。今まで漠然と思っていたことがかなりクリアになった気分。

プリンの天丼ネタ→無限オレオ クッキー/肉まん→あんまん→ハンバーガー/ロープの紅白結び目の移動(アクロバティックノット?)/お財布ロープ/コインスルーグラス(これはコップならではの音の利用と、1枚の消失の仕方が素敵だった)/Aオープナー/Aアセンブリ(M4A)/コインアセンブリ・リバース x2/ベアハンドでの4枚コイン/イボコロリからのナットと紐/スライドする絵での人物の消失(気賀さんがよくこういうのをやられていた)/ババロアorプリン/チャイニーズステッキ小ネタ2つ(巻き巻きor鼻吸)/スペルバウンド

コインのアストラル体/受け取るほうの手のリアリティ/慣性による錯覚は始点終点ではなく中間点/右→左はパスだが左→右はテイク/手を最初から少し閉じ気味にして受け取る(リテンション)/ラムゼイサトルティの活用/手首先導の柔らかさ/渦巻きクッキー/コインスタックの傾斜と枚数誤認について/副次情報の活用/近づく物体の方が人間の視覚として優先される 等。 他、Aオープナー/ダン・フレッシュマンの1 ahead/ディーン・ディルのクリップスチール/マイク・ギャローのスパイダーバニュッシュ/チンカチンク 等。



終了後は別の場所にてとひさん・beeさん・齋藤修三郎さん(3人合わせてチームTBS) というマニア三傑衆に囲まれ遊んで頂き、美味しいお寿司に舌鼓。お寿司屋さんの後はカフェにてbeeさんにおしゃれな小品手品を、とひさんからも2週間のマジック功夫の成果を見せていただき、帰りの電車で齋藤さんにスタックの手法を習う。なんか一日中レクチャーな気がしたが気のせいだということにする。



こういうイベントで素敵なスライハンドを見るたびに、自分も練習してみようかなあとは思うんですけれど、結局せずじまいなことがほとんどです。日々の生活があるからやってる暇がないというのもありますけれども、時間なんてのは作り出すものなので単純にやる気の問題といえます。なお手品全般に言えるかもしれませんが、スライハンドが(本人の妄想ではなく)"きちんと通用する"には、相当なハイレベルぶりが要求されるものであり、人前に出せるまでの修練が果たして今から自分に積めるのかというと非常に怪しい。他の人のゆるいコインマジック実演を見るたびに「ああ、私はこういうのやってなくて良かった…」とか安堵するのは、(何かが間違っている気もするけれど)偽らざる本音だったりします。難しいですね、コインの、特にノンギミックのものは…。