教授の戯言

手品のお話とかね。

US #4 LV

 
■11/21(日)■ 朝からスカイダイビングへ。車に乗り込みジーン空港へ。朝日が昇り始めて雲間から漏れる光が荒野を照らし、菅野よう子メドレーが盛り上がる。「荒野のヒース」とかすごく合う。「曲と風景はともかく、ホントに合ってるのかな、道」と心配になった頃にようやく、荒野にぽつんと飛行場的なものが見えて安心。空腹だが食料が無かったので近くのスタンドに入ってドーナツとオレンジジュースを購入、腹ごしらえをしてから空港オフィスへ(小さな、セスナ用の飛行場、とお考えください)。しまった、今にして思えばドーナツときたらコーヒーかコーラですよね、ハリウッドにありがちなダメ警官的には。なおハワイの時は私服でそのまま飛んだ気がするがここはダイビングスーツと手袋着用だった。まあ私服の上から着るだけなんですけど。で、セスナで飛び立ちはしたんですが、風が強く敢え無く中止に。日本から来られていた4人のご家族は「うわあ、何も予定入れてなかった。どうしよう」とかなっておられた。こういう時車持ちは強いのです。

とりあえず食料その他を朝のスタンドで色々購入して中心街へ戻る。店員のおばちゃんに「あれ、また来たの」とか言われて苦笑い。午後に備えてホテル・パーキング・劇場の位置を確認する旅に出る。

アッシャーに紹介されたマジックショップその2「Denny and Lee's Magic Shop」へ。ぶっちゃけ倉庫じゃねーのかと言う殺風景ぶり。なんでもちょっと前に対面の事務所から向かいのこっちに引っ越してきたばかりらしく雑然としていた。最初、本来の住所のところに貼ってある殴り書きの「101から905に引っ越した」的なものを遠目で見ながらきょろきょろしてたら、後ろのショップから太ったおっさんが「こっちだ!」とか顔出してきていてホイホイ入る。今にして思うと、あの店員その1は何で私がその手品ショップに来た客だと分かったのだろうか。不思議だ。 店員1が出かけたタイミングで店員2が来たが(最初客かと思った)、一瞬タマリッツかと思う似っぷりで変な意味で驚く。依頼品はここで見つけたので購入。無駄に「Gypsy Curse」(3つ目)とか「Out to Dinner」なども買ってみる。Simon Lovellの「How to Cheat at Everything」と言う500ページくらいありそうなペーパーバックが欲しかったのだけれど、荷物になるよなあ、と思って断念。日本から来たと言ったら「日本か、日本といえばポン太をEMCのネット中継でも見たけどやっぱすげーな」的なことを言われて、やはりあの「SICK」以降のコインマジック界への衝撃は凄かったのだなあと再確認。「生で見せてもらったことありますよ!スペルバウンドも練習はしたよ!できないけどね」と言ったら「だよな、あのコインバニッシュ(リテンションから親指滑らせるアレ)とか、おかしいだろw」とか盛り上がりました。あれはやっぱどうかしてるらしい。



夜、満を持してペン&テラー。正直どっちがPennでどっちがTellerなのかがいまだに微妙なのだけれど、でかい方がPennでいいのかな?開演前にはジャズピアニストの方が30分くらい演奏をされていてカッコイイ雰囲気。舞台上に自由に上がって良くて、なんか子供なら入れそうな大きな木箱(正面側に蓋が開くようになっていて、開かれている)が置いてあり、ついたてには大きな封筒が張ってあって、そこになんか皆が名前を書いていた。何をしているのかよく分からなかったがとりあえず着席。隣の席に家族連れが来て、パパが超ノリノリだった。早口で話しかけられて何を言っているのかよく分からなかったけれど「少年、あの封筒にはちゃんと名前を書いたか?いやあ、楽しみだよなあ」的なことを言っていた気がする。最後まで舞台上にいたお調子者のおっさんがステージを降りる際に、階段横にいる係員に「お手をどうぞ」的なことをやっていて笑える。






<以降ショーの内容を含むので、行く可能性のある人は読まない方が良いかもです>

















開演。さっきまで空だった木箱からテラー登場。見逃した、一瞬だったんだけど、気がついたらテラー来た。あいつホントはtellerじゃなくてterrorじゃないのか。ここでペンが物凄くノリのいいトークをするのですが、私の英語力では微妙に分からず。とりあえずムービー記録できる携帯持ってる人を助手としてステージにあげるみたいで、メガネの女性がステージに。ペンって体格的には伊集院みたいなもんだろうか。女性と並ぶとやはりでかい。iPhone使って、証拠にーとか言いつつステージ上でムービーを撮影。女性の後ろでは上からバケツが下ろされる。ペンが喋りつつ「Paper Ball over the Head」の要領で女性のiPhoneが宙を舞い、黙々とキャッチするテラーが笑いを誘うw ステージ上から電話をかけると客席の真ん中あたりで着信音。座席の下からスチロールケースが。ステージ上であけると氷で冷やされた魚(魚の名前を言っていたが知らない単語だった…)。なんか中から着信音がしていやな予感がする。テラーがステージ上のまな板の上で魚を捌く。捌くと中からビニールパックされたiPhoneが。取り出して再生すると先ほどのムービーも映っている。大体どこで何をしたかは分かるような気がするが、宙から下りてくるバケツとか「Paper Ball over the Head」とかで完全に誘導される。

空港の金属探知機のセットが組まれてSTAの話をする。スーツから火のついた皿だの消火器だのシャベルだのが出てきて爆笑。助手っぽいおねーさんの服からは迫撃砲が出てきて噴いた。

テラーが黙々とシガレットと4つ玉(と言っても二つくらいだった気がするけど)をやる。続いてまったく同じことを別の角度からさせて、横からペンが解説していく。完全に種明かしショーなのだが、客席はかなり沸いていた。最後の最後、タバコが完全に消失する部分だけが手品になっていたが、こういうショーの場合、一箇所完全なガス抜きがあるほうが確かに観客のストレスはなさそうだなと思ったけれど、ここまでばっちり解説までしちゃうのはなあとちょっと複雑な気分にはなった。まああの程度のことはプロのショーで"手品として"やるようなもんでもないよ、と言うことなのか。

テラーひとり舞台。バランスボールのようなものとリングを使い、演者の意思に反して動いたり止まったりする。スレッドなのだろうけれど不思議。完全無言劇であり、ちょっとシュールですらある。観客として微妙に拍手のタイミングが分からないw 

ペン再登場。ジョーク集を使ったブックテスト。適当に開いたところにあるジョークを覚えてもらって、それをペンが当てていくのだが、ここほど英語力の無さが痛感できたポイントは無かった。手品としてなんで当たるのかさっぱりだけど、それ以前にここで指名されてたらその場でリストカットだったな、と思うくらいペンが物凄い勢いで喋り、聞き取れず、客席が爆笑。ああ、悔しいw 最後に、3人目の観客が覚えたジョークが、開演前からついたてに貼ってあった、大量の観客のサイン入り封筒の中から出てくる。

客席から指輪を3つ借りてそれが繋がる。サクラ&ヒンバーとしか考えられないが結局どうなのだろうか。

美女の胴体切り。うっかりホントにサークルソーを落としてしまい、胴体泣き別れになる。血が飛び散って腸がでろんと。しかしそこで暗転は無いだろw

テラー登場。テラーって「からくりサーカス」に出てきそう。あと、目が怖いことに関しては日本人マジシャンの…書くとまずいかw 「彼」に似ている気がする。女性を舞台に上げて椅子に座らせ、テーブル上の水槽を示す。何も入っていないがそこから次々とコインが出てくる。最後にはじゃらじゃらなプロダクションで、それだけでも結構「おおっ」とかなっていたのですが、最後両手を水槽に差し入れてひとゆすりすると大量の金魚が登場してかなりビビる。

ペンも再登場。映像を使ったマジックをすると説明して、観客の一人を卓上のセットへ。書割のような牧場のついたてがあって、その手前にテーブル、向かい合ってペンと観客が座る。youtubeとかにあるタイプと言うか、上のモニターに観客の持っているミニカメラ(リアルタイムで彼の見ているものが映る)の映像が流れる。牧場にちなんでペンが牛の人形を示したりして、それを観客目線のカメラが映し出しているのだが、そのフレーム外、ついたて裏からテラーがひょいひょいと牛の人形を追加したりしていく。客席は何が起こっているか一目瞭然なので爆笑であるが、上がった観客はカメラ越しに見ているせいもあって全く気づかない。人形だけでなく、テーブルマットを取り去ったり、背景が夜になったりと、やりたい放題やった後、上がった観客がそれを見てびっくりするが、そのあとに驚愕のエンディングが。
もうね、凄いね。見事の一言です。手品見てあんなに驚いたの初めてなんじゃないかってくらい最後には驚きました。リアルで椅子からずり落ちるかと思った。寒気がしましたよ。手品って不思議です。


ペンひとり舞台。ステージ上には材木が台の上に置いてあり、釘打ちマシンを持って登場(引き金引くと圧縮空気で釘打てるあれ)。「釘入れた場所覚えているのさ」と、バスバス打っては何度か空砲的なところがあり、そこのタイミングで自分の左手に打つ(なので大丈夫)、と言うのを繰り返すが、だんだん早くなっていったり忘れかけたりしつつ打ち終える。40本くらいは打っていただろうけど、最後は左手に実弾打っちゃって終わるかと思ったら何事も無く終わって、逆に驚いたw


再度解説っぽい手品。シルクが筒を通すと銀チラになるあれ。種明かしって見ると意外に面白いですね。最後にはアメリカ国旗が消えて、横にあったポールにいつの間にか登場。「ビリーズブートキャンプ」もそうだけど、意外とアメリカの方って国旗掲揚と国家忠誠のやり取り、好きっぽいですね。観客の拍手がかなり盛り上がっていた。


テラーの影絵コーナー。影絵と言うか、テラーの指先の影が花瓶に差した花びらの影をつまむと、リアル花瓶のほうの花びらが落ちると言う。同様にナイフでやるが、最後に指が切れたっぽくなり、今まで影を映していたスクリーンに撫で付けるとその部分が真っ赤に。不思議と言うか、テラーの無言劇は怖いw


トリ。弾丸受け止め術。観客二人に上がってもらい、弾丸にサインしてもらう。銃に弾を込め、お互いの間にそれぞれ1枚ずつガラス板を置き発射。ガラスは砕け落ちるがペンとテラー双方の口の中からサインされた弾丸が。初めて生で見たけどガラスが割れるのはちゃんと玉が出てるよ、と言うアピール以上に音が良いですね。どうなってんのかよく分からないけど。まあステージなので弾のすり替えはどうとでも出来そうですが、とにかく見栄えのする演目でした。

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どれもこれも不思議。コレは家族で来ても凄く楽しめるだろうなあと思いました。特にカメラを使ったやつに完全に引っかかりまして。引っかかるというか、どのタイミングだったのか、むしろ最初からなのかすら分からないくらいなので、椅子からずり落ちんばかり。あんなに不思議なことが目の前で起こるとは。英語が堪能だったらジョークブックのブックテストはもっと笑えたはずなのですが、実に惜しい。でもコレはラスベガスに行ったのなら見ておいて損は無いと思いました。ご紹介くださいましたヤマギシルイさん、本当にありがとうございました。会場の都合もあるだろうけど、日本でこういうことできるマジシャン、いないんですかねえ…。マリックとかくらいなのかな。