教授の戯言

手品のお話とかね。

smart-ass

年末から無駄にBill Abbott熱が高まり、色々買ったりしておりました。一言でいうとこの人のショップの物は総じて高い(「うっわ、くそ高っ!」ではなく、「なんだろう、微妙に高い…」という)のですが、どれもパーラー以上の規模で非常に見栄えのする作品だなという印象を受けました。で、中で一番汎用性が高そうだと感じたのがこの「smart-ass」でした。

現象としては「演者は予言のジャンボカードを出して、ステージ上の椅子に裏向きのまま置く。観客にステージに上がっていただき、そのジャンボカードの上から座ってもらう(もう触れません)。演者はデックを取り出し、ばらばらであることを客席にも示した後シャッフル、観客も軽く混ぜる。観客の両手に半分ずつぐらいデックを分けて乗せ、"要らない"と思ったほうのパケットを後ろ側にばしゃっと投げ捨ててもらう。これを繰り返し、少なくなったところで一旦客席と上がってもらったお客様にまたばらばらであることを示し、1枚を触って選んでもらう。観客の尻の下にあるカードとこの選ばれたカードが一致する」というもの。

極めてよく出来ていると思います。現象は、"出しておいたカードが、無理目な篩にかけられた後に選ばれた1枚と一致する"だけなのですけど、演出がきちんとしていて。「え、これでなんで当たるんだろう」とか素直に不思議。たった一つのギミックを使っているだけなのだけれど、空間の使い方と効果のバランスが良く、演者や観客のコンディションや観客の多寡を問わない、というのは素敵。
現象から別の効果を考えれば、披露宴とかで予言カードと選ばれたカードが両方とも「ご結婚」「おめでとうございます」とか「新郎の名前」「新婦の名前」になっててもいいのか。男性の名前が色々書かれたカードで新婦さんにステージ観客をやらせて「かくの如く、これまで新婦は、数多の言い寄ってきた男を袖にしてきたわけでございます」とか無駄に昭和っぽいちょっとブラックなコメントを入れたり、と妄想は広がります。

そういえば2年位前にヒロサカイさんがやっていたマジックを生で拝見したんですが、多分これだった気がします。「まるで分からない。さすがプロ」とか思った記憶。あとそういえば折りたたみ式のあのボックス(「5 card opner」に付いてるもの。まあ普通に買えますけど)を使ってらっしゃった気もするし、もしやあの頃のヒロサカイさんにはBill Abbottブームが巻き起こっていたのだろうかw(多分偶然)

しかしセットアップの解説が10秒で終わったのには笑った。「予言のジャンボカードを内ポケットに、デックを胸ポケットに入れる。以上だ」 → 次チャプター"歩き回りながらの演じ方"開始 になったときは目を疑いましたw 「ちょ、ちょっと待って、何か忘れてない!?」→忘れていませんでした。ワオ。