教授の戯言

手品のお話とかね。

菅原茂おさらいレクチャー

というわけで参加してまいりました、菅原茂さんの会。今回は告知を転載するのを失念しておりまして、というか少し前に後輩から「いきます?」って言われて初めて気付いたという体たらく。しかも当日は起きたらもう本当にぎりぎりの時間で、久々に焦って走りました。
全部見終わって、なにより菅原さんのお人柄というか、空気が好いよなあと。安心して見られる感じといいますか。更にそんな空気をまとってらっしゃるのに、菅原さんの作品は本当に不思議なんだよなあ。「どうやったらそう言う発想が出てくるんですか?」という質問は本当にセンスがないと思うのですが、まさにそれが一番の謎です。発想にはやはり膨大な蓄積があってこそとは思うので、私が画期的なものを思いつかないのは、「情熱と蓄積がないから」ということでファイナルアンサー。

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01.シースルーカード:拝見済み。

02.リングエスケープ:拝見済み。

03.エイトペネトレーション(森山さん実演):拝見済み。 /"本当にカードに穴を開ける時は〜"という、前回の森山さんへのダメ出しがどうなったかな、とドキドキしながら拝見していたらちゃんと改善されてて、「森山さん、グッジョブ!」とか思って手品と関係ない部分で面白かった。

04.菅原茂のぐりぐりカード(日向さん実演):拝見済み。 /正味、タイトル通り"ぐりぐりする"のがあまり好みではなかったのですが、今日の日向さんの実演は巧かった。チェンジ態勢に入ってから、ほとんど動きなく、ソフトなぐりぐりのあと、本当に一瞬でカードが変わったように見えた。物を売る時、ディーラーの腕って重要だなと。

05.3本ロープ:拝見済み。

06.菅原茂のドーナッてんの!?:大小二つの輪っかのような紙の周上にそれぞれ沢山マークが印刷されていて、大小の一箇所共通するマークを合わすと他は全部合わない、という構造になっているものがある。小さい方の輪っかを裏返して(当然小さな輪っかのマークは見えなくなる)観客の指示で止め、そこで切ると唯一一致するマークのところでぴたりと切断されている。 /テンヨーの「フォーチュンドーナツ」、あれはあれでギミック含めてよく出来てるとは思うのですが、私はやりづらいなと思っていたのです。今日これを見てちょっと驚きました。物凄く演じやすそう。しかもかなり単純な原理なのですが、よく思いついたなという。ホント菅原さんは何をしてればこんなの思いつくんだろうか。前半の最後でしたが、凄くいい気持ちになりました。そして、もうこの上半期は手品グッズなんか買わないよ、と決めていたのですが、ついつい買ってしまいました。オウシット。

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07.菅原茂の穴不思木(大久保さん実演):ストラップのような、四角柱の片方に紐が通してある。紐を抜いたあとで穴をこすると反対側に移動するが、それもちゃんと紐が通る。もとに戻ったりする。 /これは凄かった。あとで現物を触らせてもらったけれど極めてよく出来てた。これは置いておいた素材を見て思いつかれたそうだが、毎度発想が尋常じゃない。あんなに滑らかに、一瞬にして穴が移動するのは初めて見たし、本当に魅力的。「これは買いだ」と思ったら速攻で売り切れており、そういえば「もうこの上半期は手品グッズなんか(略)」というのを思い出して己を慰める。

08.輪ゴム3種:拝見済み。 /前夜に「そういえばあれどうやったかしら」と思ったのですが、よく分からなくなっていました。現場で見たら思い出しました。ていうかタネ知ってて見てるのに、菅原さんがやられるとあの部分が全く見えないのは何でなのだ。あの指は特注品か。

09.(タイトル不詳):真ん中に穴がぽっかり開いたデックを取り出す。1枚選んでもらって、対照的な2枚のカードで挟み、その穴にお札を円柱状にまとめたものを差し込む。選ばれたカードがずらして挟まっているのだが、押し込んでいくと3枚ともピタリとはまってしまう。 /"貫通現象の菅原"の真骨頂のような面白い現象。あの選ばれたカードが挟まれた後、横からほんの少しちらっと見えてるのが本当にいやらしい(褒め言葉)。正直、演技時もそこには注目していましたw 一点言えば、現象は申し分ないのだけど、デック細工物だからしょうがないとはいえ、ちょっと高いかなと思った。一番面倒なのはデック全部に穴を開ける部分とは思うけど、あれは業務用の物があればイッパツな気がするので、個人的にはもう少し安いのが妥当だと思う。…言ってないで自作しようかな。

10.菅原茂のリングとリボン:拝見済み。 /しかし生で見ると相変わらずCGじゃないのかと思うくらい鮮やかな抜けっぷり。後輩が「昔ブログ読んで、"きょうじゅさんが何言ってんだか分かんないやー"って思ってましたけど、ホントにキモかったです、ていうか思わず"キモッ"て言っちゃいました」とか言ってて我が事のようにガッツポーズ。あの単純な仕組みでよくあそこまで鮮やかな現象が成り立つものだと驚愕するしか無い。 「通勤の時に吊革見ててですね、"コレ外れないかなー"って思ったんですよねー」という菅原さんのコメントを聞いて「まーた菅原さん始まったよw」とか思った。

ex.4カードからのコインプロダクション:カードをマトリックスに配置すると、下からコインが4枚出てくる。音がしたりとかそういう事を気にせずにやれる手法らしい。

宿題.輪ゴムの移動:今回やった輪ゴムと同じような流れで、今度は中指にかけた輪ゴムが人差し指に移動する。 /不思議だが、地味すぎてコメントに困るw もうワンステップやると完全に外れる、とかあればすわりも良さそうなもんですが、はてさて。



終わった後は飲み屋に連行されました。関係者じゃないよ、私w 大久保さんのDLHPが綺麗だなーとか、iPhone手品が不思議すぎて、何かもうトランプ手品とかやらなくていいじゃない、と思ったりとかしている中、菅原さんがカラーチェンジをやられてて、その見事さに一同驚く。「私スライハンドとか難しいの出来ないので、誰にでもできる易しいものを作っています」という、今までのお決まり発言の前半部分は嘘、ないしは、あの程度のスライハンドは彼の中では"難しい"とか"出来ている"というレベルではないのか、ということを知りました。この間の"クリスタルボックス"といい、菅原さんは何というか、「卑下されるけどどう考えてもやばい出来ですよそれ」というのが多くて…やはり謎の御仁ですw 私の場合はホントに出来ないんですけど、理想は「いやあ、全然出来ないんだよー」って言いながら、変態超絶テクをサラリと使いこなす人になりたかったんだよう。何でかって?そりゃカッコイイからですYO! 



今回は経緯等を省きがちな、純粋に"レクチャー"っぽい感じでした。あのクオリティ、あのバラエティの作品が10個とか続くレクチャーって尋常じゃないです。カードマジック10個やるのとはワケが違いますからね。とは言え、今回はハイライト集みたいなものなのであの分量で行けますが、次回以降のネタストックがどうなるかが、他人事ながら心配です。でも何とかしちゃうんだろうな、また「10日前に思いついたんですよ」とかいいながらw 次回は10月予定のご予定だそうです。手品イベント自重しようと思ってるのについ行ってしまう病気。