教授の戯言

手品のお話とかね。

高木重朗マジック全集 Vol.03

メインのお仕事が諸々あったり、宮尾岳並木橋通りアオバ自転車店」に感化されてロードレーサーを買ったりしており、手品的には"物買って放置"、という素敵状況が続く昨今。あと夏休みとってないのでどこか遠くへ行きたい。手品だけでも十分にアレだったのに、昨今ますます「幸せな生活」(たぶん現世には無いんだと思う)から離れていく不思議。早く結婚→引退したい。が、まあ資料整理的な意味合いも込めて年内に高木重朗シリーズの振り返りは完遂したい。なにより、見れば見るで面白いんだよなあ。高木先生の選球眼の良さをあらためて感じる。

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■高木重朗マジック全集 Vol.03所収内容 03-a:不思議な紐 03-b:ジャンボカード 03-c:ジャンボカード技法 03-d:コインマジック(ステージ用) 03-e:カードの移動 03-f:クローズアップ 03-g:スポンジボール 03-h:コップの中で消えるダイス 03-i:カップエンドボール 03-j:ライジングカード(スライハンド)他 以上53分(演目名パッケージまま。通し番号はこちらで整理の都合上付記)。

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<ステージ編>
03-a:不思議な紐  
一本のロープを示し、端と真ん中の数量関係が変化していく。続いて、振っていくと一気に6つの結び玉が出来、軽く揉んで引っ張ると結び目が全部消える。

またしても「古い手品を多少手直しした」シリーズ。分離しているのを示す際の手が中々説得力がある。見せ方の一考として、結び目が出来ていくところはロープが回転する動きに入っており、回転(振り)が一段落すると結び目が完成しているのが不思議。「ここで作っちゃうんです」というフォールスノット部分がいまいちよく分からないw 「フランスのマジシャンに見せてもらいまして〜」ってのはパベルとかだろうか。



03-b:ジャンボカード 
ジャンボカードで、1枚ずつ4種のスートのJを見せていくが、「順番覚えていますか?」と聞いて表向きにしたと思うと、すべて"9"に変わっている。

「これもドイツの奇術師に見せてもらったんですがね」と来て、なんか動きがグライドっぽかったから、「ああモンテが始まるのかな」と思ったら全部変わって伊右衛門Espresso噴いた。最後に、観客3人に抜かせているところもニクい。



03-c:ジャンボカード技法 
4枚の赤裏Jと1枚の青裏3Dを見せ、青裏3Dをポケットにしまうが、何度も戻ってきてしまう。/3枚の青裏カードと、1枚の赤裏カードがあって、3枚の内1枚は赤裏と同じ表だという。4枚の表を見せていくが、どうもAHがその重複するカードのように見える。今一番後ろにあるカードを覚えていますか、ということで出してくるとJで、それを胸ポケットに表向きに挿した後、2枚あったカードについてを観客に聞くが、AHという観客の回答に反して、2枚あったのはJ。

英国の友人、ウィリアム・ジェイビス氏の研究について。スタンドアップ状態で、エルムズレイ・ハーマン・ヨルダン、各カウントを行えるようにした工夫。ステージだと卓が使えないから、ということでステージでのカードを敬遠している方へ、こういう工夫もありますよ、という感じでした。
二個目のトリックはロイ・ウォルトンの"カレイドスコープ"というマジックらしいのですが、最初、「なんかたどたどしいエルムズレイカウントだなー」とか思ってたら、完全に引っかかりました。しくしく。エルムズレイとヨルダンを駆使。

ハーマンカウントについても説明していたのですが、映像が古いせいか、赤と青の区別がほぼつかないのですw

「こういうので、ライジングカードも面白いのがあるのですが」と来てわくわくしていたら「私まだそれきちんと練習できていないので、今日はやりませんがね」と来てちょっとガッカリーン!



03-d:コインマジック(ステージ用) 
ウォンドをしごくとコインが出てくる。ウォンドで押し出し、卓上のコップに入れていく。4枚。続いて、ハンカチを袋状にして中にコインを入れていくが一瞬で消失。ハンカチから左右交互に1枚ずつコインが現れるが、4枚で終わりと思いきや最後にジャラジャラと大量のコインが出てくる。

海外の友人シリーズ・ハワード・シュオルツマン編。このハンカチでのコインの消し方、美しいなあ。この一連のルーティーン、綺麗。ロードの図々しさがたまらない。完全に見逃した。どこがシュオルツマンの工夫部分なのだろうか。原案はもっと難しいらしい。



03-e:カードの移動
カードアクロス。助手Aの20枚のうち、半分を助手Bに渡すが、数え直すと2枚飛行している。今度は逆方向に飛行。
パームは一回!10枚を8枚に数えるバックルカウントだけで調整ができていて素敵。お客さんの手の上に置いていくのだけど、垂直方向に立ててフェイスを見せながらでも良さそうな気がする。というかバックルの瞬間の複数枚を観客の手の上に乗せるのは、何らかの違和感を生ぜないだろうか、という風に思ったが如何に。もっとも当該助手はさておき、舞台に上がっていない大多数の観客には分からないとは思うのだけれど。



<クローズアップ編>
03-f:スポンジボール 
スポンジボールが観客の手に移動→テンカウント→ツーインザハンドワンインザポケット

出してくる時の手の形、分裂のさせ方、卓上ではなく観客の手の上に置く工夫、自分が「ゆっくりと開くことで、観客にもゆっくり開かせる(スポンジが飛んでいかない)。



03-g:コップの中で消えるダイス
透明カップを伏せ、コップの中にダイスを入れるが一瞬で消失。

またまたでました、昔からあるシリーズ!w 演技も解説も一瞬。なお、これと同様の原理を使ってコインを消すことを昔考えたのですが、二川さんに「ああ、ありますよね、そういうの」とか言われたので、原作を調べる間もなく「もうそれがしにはオリジナルとか無理でやんす」と悟った大学時代。



03-h:カップエンドボール
千円札を借り、それを丸めたボールと、コーヒーカップ3つを使ったカップと玉。

やはり巧い。サラリとファイナルロード3つ。追えるけれど、いかにも即席という感じ。「何千円もするカップでやることが多いですが、こっちのほうがウケます。そして易しく出来るんです」というコメントがちょっと面白かった。「さっきのスポンジも「奇術会報」か「奇術研究」に出す予定ですという」コメントがあったが、流石にその辺のマニアック古典雑誌は持ってないのです…。「こういうの覚えるとどこでもできるんです」というコメントだが、どこでやるんだろうw そしてうっかりすると3千円儲かる手品。



03-i:ライジングカード(スライハンド)他
観客の選んだカードをデック中程に戻すが、ぐるぐる回していると上がってくる。/パドルマジック

ライジングはスライハンドの小指で上げるやつ。MMLでゆうきさんもやっていた気がする。パドルは4・5段あるところに小銭が挟まっててそれが移動するもの。後ろで「あと5分でーす」という台詞があったりするので、時間間際にサラっとやった感じでした。