教授の戯言

手品のお話とかね。

菅原茂創作奇術講座第6回

10月28日(日)、芭蕉会館にて。秋になると菅原さんにお会い出来るような感じになって参りました。この回お馴染み、「うわすげえ、何で!?」「という手品でした。余韻も無く、すぐ解説をします」は健在w 勿体無い反面、潔すぎて逆に面白いw

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1.「ノットファンタジー」
1986年の菅原さんの作品「ノットファンタジー」

当初は真ん中の2番のみに結び目が戻るという仕様だったそうですが、最終的に全部に結び目という、実にクライマックスであることが視覚的に伝わる形に。原案のモンキーバーは私大好きでして、その場でのお話でもでた”全部に魚がついてくる奴”ことAcrobatic Fishも素敵な作品です。なお、演技の際、高く持ち上げすぎると下が見えちゃうんだなというのは今回分かりました。金魚の方は構造上真下から見られても平気なんですが、本作はちょっと手首を手前にするとか、あんまり高く持ち上げないようにしないと危険ですね。



2.新作「疑惑の木枠」
木の板で作られたケースに窓が開いていて、公明正大に選んだのとは全然別のカードを差すが、抜き出す時に選んだカードに変化する。

今まで気づかなかったのがどうかしているのですが、菅原さんの作品って…駄洒落ネームが多くない?w これはなんかテンヨーっぽいというか、フォーシングがあるからダメなのかなあ。普通にテンヨー新製品として「疑惑のプラ枠」で出ても納得できるくらいビジュアル。あの、穴に指をさして最初見せるのが、予想通りとはいえいいあらためになっているなあと感激。また、「引いた"数"に注目させることで、堂々とまずいものを見せていてもまるで気づかれません」、というのは、完全に騙されていたので納得せざるを得ませんでした。



3.菅原さん作品集ラッシュ(カッコ内は演者)
エイトペネトレーション(森山さん)・穴不思議(大久保さん)・デックイリュージョン(日向さん)・エスケープリング(森山さん)・うきうきカード(大久保さん)・ぐりぐりカード(日向さん)・どーなってるの(森山さん)・筒抜けダイス木(大久保さん)・穴あきデック(日向さん)・リングとリボン(菅原さん)

怒涛の作品ラッシュであり、なんかグラディウスで今まで倒した中ボスがいっぱい出てくる感じw 今回、エスケープリングが無駄に不思議に見えました。あと筒抜けダイス木は自分でやってても面白かったですが、大久保さんが非常にうまくて嫉妬。ああ演じるんだあ、みたいな。


<休憩>



4.エンピツの浮揚
あらためさせたエンピツをテーブルに置き、演者が手を組んで上にかざすとふわりと浮き、むにむに動く。

その昔、アップルの某製品を使ったマジックで有名な方にギャグとして教えてもらっていたやつはあったのですが、それでは説明の付かない挙動をして驚く。まさかのアレを利用していましたが、手首方向までの動きを加えることで、かなり広範囲で浮揚しているように見えて凄かった。あと私は菅原さんの仰るところの「指の数をかぞえるタイプの人」でしたw てへぺろ。移動物体を目で追うこと、というのは基本だけど中々忘れがちなので気をつけようと思った。



5.輪ゴム数種
輪ゴムマジック数種。
一応憶えて、普段演じてなくて忘れて、菅原さんイベントの度に思い出す、というサイクルをここ2年ほど。菅原さんの輪ゴムマジックは指が筋肉痛になりますw あと、一応は出来ているっぽいのですが、ご本人のみたいに綺麗かつ不思議にいかないのはやっぱ指のせいか。もしくは人柄のせいか。



6.花の出現「花咲クリスタル」
透明なアクリル柱をあらため、手にも何も持っていないが、一瞬で毛花が中に登場する。4本登場して終わり。

リングとリボン以来の、"なんか空間が歪んだ"感。極めてビジュアルで美しい。元々サロン・ステージ用のものを至近距離で見せてくださっているので多少の怪しい部分はないこともなかったのですが、まず1本目の登場の鮮やかさに素で驚き、これが2本3本4本と出てきたらどうしようとか思ってたら本当に出てきて引いた。本当に操作らしい動き無しに、突然箱のなかに現れたような感じで、これはステージのスタンダードになりうる傑作ではなかろうかと本気で思った。解説を聞いて、リセットも楽だったし、何よりこれはステージだったら本当に怪しさがないはず。最初連結したジャリでも使っているのかと思ったくらいロードの動きがない。私はあまりステージで花やシルクをばっさばさ出すような演技はしませんが(そういう場もありませんし)、多少なりとステージをやる人はマストバイなんじゃなかろうか。2セット買っておけばかなり見栄えのいいプロダクションになりそう。極めてグーな作品だと思いました。ステージなどやらなくなって久しいですが、実に汎用性の高い取り出しモノだと思いました。どっかで売るんだろうか。サロン以上の規模で演技する可能性がある人は持っておくといいと思いました。


先約があったため、今年は懇親会にはお邪魔出来ませんでしたが、相変わらず素敵なマジックを考えられる回でした。次回第7回が楽しみです。…カードのすり替えに便利なグッズとか出ませんかね?(チラッ