教授の戯言

手品のお話とかね。

Paul Wilsonレクチャー 2012

2012年11月15日、グラスゴー出身のマジシャン、Paul Wilsonのレクチャーがあり参加してまいりました。DVD 「Knock'em Dead」くらいしか見たことがなく、クマみたいなでかい人、というイメージ(私調べ)だったのですが、そこまで巨大でもなく、なにより実に落ち着いた理知的な感じの方でした。日本では2002年に一度レクチャー・ツアーをやられているそうですが、私は参加出来ておりません。だって10年も前ですものねえ…。中学生だったし(棒)。総じて、頭おかしいレベルの技法は無い割に綺麗に騙されるという、プロの手順の妙味を見た思いです。特にエニエニが大変実用的だと思いました。色々沢山、詳細にやってくださり、気付いたら2時間半が平気で経過しておりました。

終わった後の懇親会で、先日マニアの方にWilsonさんのめちゃくちゃ不思議なトリックで引っ掛けられたこと、それを自分でも練習して別のマニアの方たちを引っ掛けたこと(※今年のたっぷりとクロースアップのあとで)をたどたどしく説明したら「よくやった、ハッハ」的な感じでちょっと嬉しかったですw

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1.The One True Ring
金属製の輪っかが、ハンガーのパンツ掛ける部分の棒に不可能な貫通をする。
「棒はウォンドではなく、ハンガーから、リングはホテルのシャワーカーテンの金具をちょいとね」と言うとウケが取れるらしいですw 持って来ちゃいかんだろう。棒の両端が塞がった状態でリングが入るのもいいんですが、フレンチドロップポジションのリングの前に棒をかざすと一瞬で入ってるのは、なんか空間が捩れてる風で気持ち悪かったです。棒をぎっちり握ってるのが、みんなに見せるために高く掲げる、という理屈が、なるほどと思いました。



2.The Killer Foursome
コップの下にスペードのA、上にスペードのキング、そしてその上に観客のカード入りのデックを載せるが、いつの間にかKがデックのトップから、コップの上にAが、そしてコップの下がいつの間にか観客のカードになっている。
この手のマジック、不思議なのですが、私位置関係を覚える感覚が弱いらしく、何がどこにあったかというのをすぐ忘れるんですよね。ただ、非手品人の方相手には位置の交換というのは大変アピールの強い現象とのこと。




3.YAMF ACAAN
Any Card at Any Number。
借りたデックで、スタック不要。大変コストパフォーマンスの良い絵にエニだと思います。ていうか何度かやってみました。AsherやJay(ジョシュアの方)も同様の原理を使ったコントロールはしていたのですが、エニエニに使うというのは盲点でした。



4.Cool Your Jets
3コインズアクロス。3枚のコインが1枚ずつ、演者の手から観客の手へと飛び移る。
ふじいあきらさんのJet Coinsを見て触発されたそうで、「おいおい、マッスルパスとか使うのか」と思いましたがそういうのはありませんでした。観客として上げて頂いたのですが、飛んでくると分かってても突然掌にぽてっとコインが落ちてくる感覚は怖いw




5.On your Metal
コインの移動。途中で指輪までが移動する。
指輪が呼び寄せる系は好き。たまに二川さんがやられているが(銅貨に引き寄せられたりとかも)、あんな感じで自然なハンピンチェンできたらやってもみたい感じ。なお、最後、「普通にさらっと指輪をはめ直すんだけど、それも現象みたいにして"ほら、いつの間にか指輪が戻ってる!"とかやると、大半の人は"今戻してたじゃん"ってなるけど、ごく一部の人は本気で驚くので、びっくりさせるチャンスは活かさないといけません」というのは大変勉強になりましたw(調子に乗って何でもないところでどや顔を連発しそう)




6.Royal Road Trip
4AプロダクションからのAアセンブリ
オーバーハンドシャッフルのたびに4Aが出てくるという地味なフェイズで無駄に驚く私。解説聞くと単純にトップのAを出しているだけなのですが(ひどいネタバレ)、見た感じ色んな場所から出てきたように見えまして。これの「いかさま師はホテルでずっと練習してるんですよ、こういうのを、毎日」というストーリーが地味に面白い。なんかホントに練習してそう。



7.Flash
ジョー・ポッパーの。ちょっとしたピックみたいのに紙片を4枚刺して焼き鳥状にしたあと、まとめて燃やすが復活する。
シガレットペーパー復活系の。あのギミックがちょっと高かったなあ。買っとけば良かったかなあ…。



8.Figureinのバリエーション
ストローの包み紙をむにむに弄っているが、いつの間にか先端に精巧な人形が折られている。
はい、知っているはずなのに素で驚きましたw ああいう"声をかけられるまで/気付かれるまで ひたすら待つ"という系の小ネタは大好きだ。最後まで友人にも気付かれず、ギミックをそっとポケットにしまう時など絶頂すら覚える!(CV:飛田展男



<後半>
9.ジェネラル・カードのバリエーション
3人に異なったカードを選んで持っていてもらう。その後、これではないかと別バックの1枚のカードをそれぞれに見せていくが違うと言う。しかしその1枚をもう1度見せていくと各々のカードになっている。しかもこれは本当に1枚で、かつ2番めの観客に観客の持っていた3枚が全部違うカードであることを確認させる。
ラショーモン・プリンシプルとかそういうアレかと思ったがちょっと違いました。ちょっと強引ですけどねw でもああいうカードは確かにレアというか、初めて見ました。



10.ConCam Monte
3カードモンテ。
えらい不思議じゃった。完全に幻惑されたと言っても過言ではないです。モンテ系、どれか一つもモノに出来ておりません。Ultimate Monteでしたっけ、R&Sの。あれ大好きで一時期やってたんですけど、パケット系はもう光の早さで忘れます。驚く程だよ…。



11.Uprising
レギュラーデックで行うライジング・カード。
上がり方がにゅるりという感じでキモい上に、方法教わってもあんなに綺麗に上がらないのは手の大きさの違いですか。



12.Through3
3枚のコインのコインスルーザテーブル。最後にまとめて貫通。
こういうのを見ると、やはりプロって分かりやすい現象を最短手順でやるなあ、と思います。



13.Luck VS Skill
Chad LongのShuffling Lessonのバリエーション。3人の観客と一緒に様々な操作をしていくが、演者を含む4人の手に最終的に残ったカードが同一のフォア・オブ・ア・カインド。
どこでどう揃えたのか全く分かりませんでしたが、あとで聞いたらこの時はたまたま最初の観客が選ぶカードが見えちゃったので黙って続けたそうで。そりゃ不思議だわw



14.Fan2C
5枚のバラバラのカードをひと撫でするとロイヤルフラッシュに。
beeさんのカチャマタ・フラッシュチェンジとか、ゴム膜使った特殊カードかと思いましたが、もっと斬新かつ直接的なギミックでしたw 「このカード、変化した奴そのまま渡せるんだよ」とか仰ってて、無理だろと思いましたが実際にやられてびっくりでした。

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レクチャー・ノートはツアー終わったらマジックハウス等で取り扱うのではないかと思います。黄色い表紙のThe Killer Forsomeに大体今回解説されたものが、もう1冊の青い表紙の13という方にも幾つかありますが、レクチャーではやらなかった作品が多いです。合わせてDVDも購入しましたが、ここではちょっと別のもの(実践的なダブルリフトの演技(大変に綺麗で自然でした)と解説や、ConCam Monteの解説など)が入っています。このツアー用DVDも売るのかな?続報出たらアップデートします。

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12/3(手品の日)追記:
マジックハウスで取り扱いを始めたのを発見。以下に転記します。


・The Killer Foursome +5 (ザ・キラー・フォアサム+5)


・13 (サーティーン)


・Paul Wilson Japan 2012 (ポール・ウィルソン・ジャパン 2012)


なおDVDは中にpdfやmp4形式での動画という形式で入っているので、注意書きの「※通常の再生用のDVDプレイヤーでは見られないことがあります。」は、"見られないことがあります"じゃなく、確実に"見られません"w 一応「そういうプレイヤーでも見られる形式に変換してくれ」とPCを持っていないお爺様に言われたので、個人的にそんな変換作業をしてはいますが。