教授の戯言

手品のお話とかね。

Link Board

ディーンズ・ボックスを始め、世の中にはありえない状況で紐が繋がるとか、わっかが通ってしまうとかの商品があります。それ系の道具として私はディーンズ・ボックス2.0がずっとほしかったのですけど、結局手に入らず、ダンボールで自作しました。中に磁石とか色々入っておりますので、オリジナルよりギミック感満載。でも使ったことがない。見た目があまりにもAmazonの箱のまんまなので。見るたびに残念な気持ちになる代物です。

で、先日金沢のCULLさん(山崎真孝さん)が、Pop Magic2で載せていた、そういう手品に使う道具「Link Board」が単品で解説付きで発売になりまして、早速買ってみた所存。なお、「こういうのが出たんだよ。きょうじゅこういうの好きだろ?買ったらどうだい」と唆してきた悪の枢軸は、今回はトヒデルアルデヒドさんでした。珍しい。でも絶許。

ディルのボックスはなんだかんだ嵩張るのですが、金沢のCULLさんのやつは分解組み立て式のでがあるらしいよと聞き、それならそれがいいなと思っていたのですが、Pop Magic2の解説を見ますと、ちゃちの真逆をいく分厚い板とかスタンドを使っており、「ボックスより重いじゃん!www」と思った次第。想像していたよりは薄かったですが、スタンドが畳めないうえにでかいので、まあかさばるのは間違いないです。以前紹介したトライアングルホールなぞ、パウチッコしたA4用紙サイズですよ。

この作品のいいところはやはり3段目。この手の手順にありがちな、「なんか落ちがつきづらい」ところを解決しています。他のでもある、わっかが通っちゃう、でも十分だとは思うのですが、わっかが通るのみならず、ひもが演者のボタンホールを中継していて、かつ引っ張り出すとものすごく長くなっている、という見た目のわかりやすさ。"演者がおたおたする"という私の好きな演技スタイルにもとても相性がいい内容でした。

褒めてばっかりなので難点を2つ挙げておきます。1つは難点というか嵩張るので、もう少し分解収納できるようになっていればベターだったなと。特に台座部。あれが想像以上に大きい。しまうの大変。しっかりしているのはありがたいのですけれどね。
もう1つは解説のつくり。CULLさんが黒のタキシード着てて、ボードがこげ茶で、使っているロープが黒と深緋。そして撮影場が薄暗い。はい、もうお分かりですね。解説時の、特に手元のロープがまるでみえませんw 明度を上げまくらねば。添付の紙ものやPop Magic2を読めば分かるっちゃあ分かるのですが、もう少し解説時は白いロープを使うとか、どこをどう絡めての部分は固定カメラでアップにするとか、工夫の余地はあったろうに、ちょいともったいない、と思いました。

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絡んだり外れたりする、いわゆるロープ系トリック大好きでございまして(出来るとは言ってない)。ちょいと振り返ってみるとします。直近ではこのあたりで書きましたけど、この「トライアングルホール」も、上記のLink Boardとほぼ同じことは出来ます。というか2段目まで同じです。ドアノブみたいなのを使うか、CULLさんがバーで使われているような、ハリポタウォンドを挿して使うかの差しかありません。トライアングルホールのところでも書きましたが、箱なり板なりにスーパー・ギミックがあるわけではないので(壮大なネタバレ)、ある程度は似通って当然と思いますが。

そちらでもさらっとリンクだけ貼っていましたけど、ENCLAVOR and LIBERRATOR、これですね。これがいわゆる、「箱?ボード?使わぬわ。使うはこの、己が拳のみよ!」っていう漢らしいDVDでして。ここで使われているもので、この手のひも手品の原理は大体入っているので、あとは道具立てだけ考えて、大きな舞台でやるときは様々な道具を使い、10人くらいまで相手ならこういった細い紐と手だけで行う、のような感じで構成が組めます。凝った方法も他に色々あるにはあるのですが、ぶっちゃけあんまり懲りすぎるとまず動き自体が怪しくなり、分かりやすさが犠牲になることが多いように思います。観客の知性を侮ってはならない、ですが、手品師絶対殺すマンみたいな観客もそうはいませんので、「これ単純すぎかな?」ってレベルのものでも、演出をしっかりすればきちんと受けると思います。
手順に物足りなくなったら、リングとロープの手順などを見直すと、今度はひもだけではない、わっかだのなんだのと連携するようなものがいっぱいあるので、それを組み合わせるのが無駄がなさそうですね。デュラティのは、先日小川勝繁さんのレクチャーがあり、その際にその中の手順のひとつをやられていたのですが、やはり良い手順だなと思いました。ちょっと見直してまとめたいと思います。いつかね。