教授の戯言

手品のお話とかね。

テンヨー手品

先日、粋なお友達の計らいで、テンヨーフェスティバルに参加してまいりました。いや、もちろん演者としてではなく見る側で、ですが。で、場の空気に呑まれまして、いつもは知り合いに見せてもらってから「これやってみたい」と思うものだけ買ったりしていたのですが、気付いたら新商品4つセット(「必勝アミダくじ」「サイコグラビティ」「伝説のパズル」「魔法の鏡」)と、メンタルマジックシリーズの「ドリームサイコメトラー」「奇跡の魔方陣」を購入していました。なにを言ってるかわからねーと思うが俺にもわからねー。

テンフェス参加は初めてだったのですが、何故かは分からないけれど、三越の中で「あ、このひとテンヨーフェスティバル参加者だな」「このひとはデパートに来たお客様だな」が分かるあの不思議。スタンド使いは引かれあう、みたいな感じでしょうか(多分違う)。

2階席から双眼鏡を使って観ていたのですが、双眼鏡は手品師の敵だなと思いました。シェルの段差やジャリすら視認出来るのね。ヘクター・マンチャはやはり凄かったです。保持方法まではさておき、どのタイミングでロードしているのかまったく分かりません。まわりからもため息ばかりあがっていました。DVDではなく、生で見ていて「まじですか。。。」ってなることも昨今少ないと思うのですが、それが何度も起きますからね。FISMでのアクトももちろん、幕間のピックポケットショーは大変楽しかったです。素晴らしい演技でした。あと、四つ玉の方と和妻の方も印象的でしたね。あとフィンガー・パフォーマンスというのを初めて拝見したのですが、かっこ良かったです。指をピシッと見せる、とかでもかっこいいですが、ああやって複数人で一糸乱れぬ動きをすると美しいのだなあと。マスゲーム大好き。来年も参加出来たらしてみたいですね。

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10月に入り、二川滋夫さん主催の「二川会強化合宿」(最近手品力なのか飲酒力なのか観光力なのか分からなくなってきております)に行きまして、そこで誘ってくださった人とともにテンヨーグッズを広げ(彼はESPカードも買っていたのでこれでほぼコンプみたいな感じです)、みんなに実演してもらったり色々見たりしました。以下雑感を記します。
もっと早くにご紹介できていればよかったのですが、ことテンヨー製品については、「ていうかホントはテンヨーの中の人なんじゃあないのか」といつも思っているHey PrestoのAmanoさんとかいらっしゃるし(大体検索かけると毎年テンヨー関連のサイトじゃなくてAmanoさんのページがヒットするしw)、写真や詳細な説明をいち早く見ようという方はそちらをご覧になっていると思うので、こちらはテキトーに(悪い意味で)。


▼必勝アミダくじ:みんな大好き、佐藤総さんの新作。5 to 5のあみだくじっぽいシートに賞金をセット、5項目のうち4項目を観客が選び、残りの1つを演者のものとする。シートを開くと中には何もない。別途出してくるカード(色々複雑に絡まった線が描いてある)4枚を観客に渡してシャッフルさせ、好きな順、好きな向きで並べてもらう。このフェアな条件で賞金はマジシャンのものになる。
ホント佐藤さんって頭いい上にセンスもいいのな、と思う(としか思えない)逸品。敢えていうなら、テンヨーの手品道具というより、頭とセンスのいいマジシャンが出す一品トリック、という感じがしますが、まあなんにせよ凄いです。よく出来ています。佐藤さんのツイートで「名前がダサいとか、あみだくじじゃないよねコレ、というのは分かった上です。というかこういうよく分からないゲーム、しかも海外にも出すにはそういう判断も求められるのです」的なことを書かれていて、「そういやこれ、言われてみればいわゆるアミダくじではないんですね」ということに初めて気付く位のぽんこつ具合なわたくし。さておきその昔見た赤松さんのあみだくじもそうなのですが、リアルあみだくじで必勝を期せる方法っていうのはないんでしょうか。私、気になります!
あとTLの限定的な情報だけから、本作の原理をほぼ看破したゆうゆうさん(「心の中で」「偽算木」などを作られた方)は凄いと思いました。「こういうのは原理現象を考える方が凄いのであって、仕組みを突き止めるのは別に何も偉くないです」とは仰るものの、見る人が見ると、こんな追いようのない作品でも(限られた情報だけから)たどり着けるのだなあと感慨。そういえば某"Vivaldiを"私ならこう作ります"というのを教えて頂きましたが、原作で考慮せねばならないところもさっぱり解決されてて笑った想い出。


▼伝説のパズル:枠にぴったり入ったパズルを取り出してくる。枠から取り出して、そこに小さなピースを1つ加えて組みなおすが、なぜか同じ形になり、枠にもはまる。さらに先ほどの倍はあろうかというピースも加えて組み直すがやはり同じ形になり、枠にもぴたりとはまって終わる。
マーリーンズスーパーブロックとかそんな名前であった気がしますが、この間部屋を片付けていたら確か3000円くらいで買った厚手のやつも発見しました。エクストラを加えているのになぜか同じものが出来る、バナッハ・タルスキのアレみたいな(多分違う)。テンヨーの本品はそれに一工夫加えてあって、「同じ形・同じ大きさ」であることをより強く確信させる仕組みになっています。
なおテキトーな思い付きでしたが、「計上を忘れていた費用を加えても、なぜか予算枠に収まる」みたいな流れを、こざわさんとの会話で思いつきました。やってみようかと思います。食費・水道光熱費・通信料 みたいなのを書いて。"伝説"のパズルがいきなり俗っぽいな感じにw




▼サイコグラビティ:選択肢を4つ書いたアクリルの薄い板、このうち1つを観客に選んでもらって、その上に印を描いてもらいますが、誰からも見えないように黒い覆いをかけてしまいます。振り返ったマジシャンは妙な黒い円柱を取り出し、傾斜をつけたアクリル板の上に置きますが円柱はそのまま転がっていかずに変な動きをし、観客の選んだ選択肢のところでぴたりと止まる。
や、コレはwww 仕掛け自体はなんとなく動きを見れば想像はつく感じなのですが、「止まるのか……?おお、まだいく!」みたいな感じで、見ている側が無駄に盛り上がります。やっている側もどきどきしながら見ていますw 実演を見るまではそんなにピンときてなかったのですが、やっても見てもコレは面白い。どうやって覆いがあるのに観客が付けた印の箇所を知るのかとか、手品的な面白さももちろんあるのですが、遊んでて楽しいグッズです。扱い自体は少し注意がいるというか、今年の4つの中では実は一番難しそうな気がしますが、あの止まりそうでいて、また思い出したようにふっと動くのがたまりません。



▼魔法の鏡:観客が選んだカードが、容器の底に浮かび上がり、そしてまた消えていく。
見る前より見たあとのほうが良かったですね。「うわ、じわじわ出てきた!」「また消えていく!」のような。これ、真正面というか直上から見ている人には完璧に消えたように見えていても、横の人にはまだ残ってるように見えちゃったりする気がするんですが、角度というか見せるポジションに結構工夫が要るのかなと思いました。



▼ドリームサイコメトラー:14種の品物から1つを憶えてもらい、4枚のカードを1枚ずつ見せていって、そこにあるのかないのかだけ教えてもらうが、観客が心に思っただけの品物が何か当てられる。
古典的な仕組みですが、いい具合に演じやすくまとまったなという感じです。いままで、正直なところ「あるかないかを教えてください」って言うのは不思議なんだろうか、と思っていたのですが、やってみるとあまり気にならなかったです。マスターの"憶えてもらうための全部印刷されているカード"は、正直面積4倍くらいの大きなシートだったらベターかなと思いました。あの大きさに細々描いてあると、ご老体には厳しそうでした。



▼奇跡の魔方陣:ばらばらの2桁の数字がたくさんかかれたカードがあり、思った数字のところに丸をつけてもらう。演者は見ない。書いて、観客のみんながどの数字か分かったらティッシュで拭き取り消してしまう。演者は別のボードにたくさんの数字を書いていくが、その縦横斜めほか、各4つのポーションの合計がすべて、観客が思った数になっている。
実は魔方陣モノ大好きだったのですが、魔方陣って手品というか速算術スキルのショーなんじゃないのかなと思っていたのです。齋藤修三郎さんの演技を見るまでは。いや凄く受けるんですよねえ。齋藤さんの演技の組み方や演じ方が上手いせいもあるんでしょうけれど。私は見ていないので存じ上げないのですが、最近テレビでもマジシャンの方が魔方陣演じて大盛り上がりがあったとか。それについては、「観客が心に思っただけの数」になっているというものらしく、それはめちゃくちゃ不思議なのですが、本作はその「観客の思った数」を知るところが面白い、というのが感想でした。魔方陣はぶっちゃけていえば原理は大体どの商品も同じようなものなのでそこには感銘は受けなかったのですが(それ以外に作りようがないという噂)、これはそれを憶える必要すらなくしており、演じやすくなっています(これまたぶっちゃけ、クロースアップでじっくり見せない限り、演者が書き込むボードには薄くないし小さく書き込むべき数字をメモっておけばそれでいいんですけれども)。手順書読んで5分で間違いなく演じられたので、サロンレベルでも出来そうないいアイテムだなと思いました。