教授の戯言

手品のお話とかね。

堀木智也レクチャー

ということで3月5日、堀木智也さんのレクチャー@東京に参加です。わたくし、数ある手品科目のうち、コインマジックというのは本当に関わってこなかったうえ、なんでそんな中でもよりによって「技法の極北」みたいな方のレクチャーにいったんだというお話ですが、……知るか!こっちが知りたい!なぜか参加していたのです。堀木さんとの接点というと、こっちもキルミーベイベーがそこそこ好き、くらいしかないのですが。あ、現場で「くそう!くそう!」っていうのを忘れました。どうする、折部やすな。

しかしまあ二川さんというコインマスターが近くにありながら、あまり真面目にナマのコインマジックを見たことがほとんどなかったのですが、なんですね、やっぱクソうまいですね。あと堀木さん、すごく感じの良い方ですよね。キルミーベイベー好きとか、ちょっと頭のネジが飛んでる人しかいないと思っていました。いや、そんな顔しても2期は来ませんよ!

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Air Coin
コインを扱っているようなパントマイム。いやこれが実に自然な両手の弄び動作から、いつの間にかコインが無くなってるんですよ。……ほらそこ、『お前何言ってんだよ』みたいな顔で見ない。これ最初だったんですが、いろんなことに応用がきく感じです。まあ書いたようにパントマイムなので、うまくなればなるほど、何もしてなくても勝手に観客が勘違いしてくれますので、そりゃユーティリティムーブだわ、と。



Air Coin Cut
カード当てですが、そこに至るまでに"見えない"コインが活躍します。最後に一瞬だけコインが見えるようになります。
うん、書いておいてなんですが、「なに言ってんだオメー」って感じですね。カードが当たる前後の、あると言い張っているコインが見えず、見えなくして終わったはずのコインは見えるという、なんかモヤモヤ感を残す……はっ、こざわ氏の仕業!?確かレクチャー内での名言シリーズの「だいたいこざわさんのせい」のひとつだった気がします。まったくもう。



Auto Vanish
両手の指先で摘んでいたコインが瞬間的に消えます。
最初「なにやってるんだろうこのひと」と思ったのですが、ほんとに空中に消えたように見えてびっくりしました。技法なのですがそれ単体で手品みたいです。会場の全員がコインを落としまくりです。



Finger Palm Position Pass
フィンガーパームあたりにあるコインを、親指で跳ね上げてというか滑らせるというかして飛ばす技法。
これがレクチャーで一番好きでした。私は以前ポン太・ザ・スミスさんが『SICK』でやられていた、"Winged Silver"の後段、あの音を活用した消失というか移動が大好きでして、堀木さんもこれと"False Sound Move"という技法を組み合わせておられて、またこれが自然な音がするのですよ。この技法、私はまあ片手くらいしか成功しなかったのですが、その10回か20回に一度だけ、すっと無音で飛ぶことがあり、「ああ、これは練習をすればマスターできるのだな」という気になれるのもまた良かったです。……うん、気がしただけで久々にやったらまるで見当違いの方向にしか飛びません。いやしかしこれは実に面白い技法です。



Vertical Thumb Palm Muscle Pass
サムパーム的な位置から、マッスルパスっぽい感じでコインを飛ばす技法。
ご本人が「ちと痛いですよ」というだけあって、普通に痛かったです。飛ばなくはないです。痛いのですぐに「もう、限界みてえだ……!」ってなりましたが。余談ですが、これの2週間後に別のレクチャーでお会いした二川さんが「あれは指の側面が痛いですよねえ」とか言いながらハーフダラー飛ばしていて大笑いしてしまいました。なに練習してるんでしょうか、あの人は。



Underload
4枚のカードを並べたあとでマジカルジェスチャー、下にコインが出現している。
この辺はもうヴァラリノとか昔からある感じですが、よくもまあ、音もさせないで複数枚のコインを扱えるものです。



Floating Production
カードを斜めに引っ張ってくると、その下に次々と、4枚のコインが出現している。
変な角度から見せて頂いても不思議なもので。微妙な力加減が求められますが、この出現はなにもしていない感じで凄くきれいでした。置かれてくる感じというか。



Before Matrix
コインを1枚ずつカードを使って消していき、最後消そうと思うとまた四隅にコインが出てくる。
バックファイヤー的な。コインよく知らないので表現がしづらいのですがw あとあのカードでコインをすくい上げてまた置くけど、実際はパームしていたやつとすり替えている、というのはよく見ますね。あの動作の動機がいまひとつよくわかっていないのですが。手でつまめばいいじゃないですか。かっこいいからかな。



Unexpected Assembly
コインを2箇所に分けて、それぞれカードで覆うが、理屈に合わない移動をしてしまう。
ルセロのマジックでこの現象があり、ホントになにやってるのか未だにわかっていないやつで大好きなのですが、それの堀木さんのバリエーション。個人的に他のに比べるとちょっと怪しさが出てるような気がします。ここまで綺麗にディスプレイしていたのに、諸々の都合で一部重ねた状態で置くシーンが気になったのかも。



その他、音をうまく活用する技法を数種紹介されておりましたが、"Fake Beat Move"や"4 to 1 Transpo"、特に後者が、複数枚のカシャっという音がしてとても良かったです。これとさっきのコイン飛ばすやーつを組み合わせると、解説聞いたあとでも脳が錯誤する感じ。「いや、いま技法行ったはずだけど、音がちゃんとしたし」みたいな。やはりコインマジックは小さくて見づらいので、こういう音が、それも私のやるクリックパスのような、明らかに違う音がしてしまわない音の技法は実にディセプティブでいて、それでいてあまりかっこよく使いこなしている人を見ないエリアかなと思います(※コインよく知らない個人の感想です)。



Standing Coin
コインが手のひらに垂直に立ちます。
できる、できるぞ!しかしこれは不思議ではない気がするw(不思議目的ではないのですが)



まあそんなこんなで、日本屈指のコインテクニシャンに、コインマジック新兵の私がレクチャーを受けるという豚に真珠もいいところなイベントでしたが、懇切丁寧に教えてくださり、とても楽しめました。コインもいいものですね。受けた内容としては、大体先日出たDVDと、その少しあとに出たレクチャーノートにかなり詳細に書いてくださっているので、そのへんの網羅性はかなりしっかりしていると思います。来年またレクチャーしようかなーということなので、なにかひとつくらいマスターして再チャレンジの所存です。コインを武器にスペインに殴り込んでこられるらしいのでそのへんのお土産話も楽しみです。


DVD『Sprout』


レクチャーノート Coinlang.1


初版自慢。


さておき、ブラウザの広告がもやしだらけのまま戻らないのですが、なんとかしてくださいグーグルさん。