教授の戯言

手品のお話とかね。

TAKAHIRO&三品優太朗レクチャー


3月19日に東京は中板橋ちほーで行われました、TAKAHIRO&三品優太朗レクチャーに参加してまいりました。訳の人が。以下寄稿。

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Twitterで見た頭おかしいコインマジックする人がレクチャーをするらしいということで、そんなに遠くもないし、ちょっと遊びに行ってみようということで掲題イベントに参加。事前に二川さんに「これこれこういうレクチャーがあるそうで、行こうと思います。二川さんはその日は空いてらっしゃいますか?」とお伝えしたところ、「いやあ、千葉で用事がありましてね……」「そうですか。じゃあ後日どんなだったかお知らせしますね」「いや、誰も行かないとは言ってませんよ?」「え?」みたいな感じのやりとりが。なお本当に当日、千葉の用事のあと(開会には間に合っている)で参加されてて笑いました。



会が始まる前に、場所を提供されていた小野さんという方からさらっとくそ不思議なブックテストを見せられるという洗礼を受けまして。不思議なのに「発表予定?ないよ?」とか言われました。パフォーマンスオンリー、ダメ、絶対。会場は若い方が多く、中学生からとかいらっしゃって。あと数名程度は歳が近そうな方はいましたが、基本みんな若者ばかりでビビりました。で、みんなコイン持ったまま立ってるの。しかも不思議な手品とかしてるの。やだ怖い。



レクチャーはdaisuke yoshidaさんのファシリテート、小野さんのまぜっかえしのもと、TAKAHIROさんが演技して、三品さんが演技して、TAKAHIROさんが解説して、三品さんが解説して、あと2部屋にわかれてワークショップ等、のような感じで、半日手品地獄の様相を呈しておりました。私はそんなに手品のイベントに行くわけでもなく、実はTAKAHIROさんも三品さんも初めて生で見るという「ザ・にわかファン」筆頭みたいな感じでしたが、おふたりとも方向性が全く違う感じでとても良かったです。TAKAHIROさんは感覚派というか色々な質問や指摘に対して「おお!そこはあんま考えてなかったです」とは仰っていたものの、そこを抜群の嗅覚でかぎ分けて正解の選択肢を選ばれている感じがして、オープンな感じのマジックをされるという印象。一方の三品さんは極めて王道…というよりストイックなザ・カーディシャンといった風情で、とても緻密で繊細な印象でした。仕事量が多い感じ(なのでそのままなぞるのはちょっと難しいかも)。まじめな人がまじめにカードマジックを研鑽されている感じがしました。



TAKAHIROさんコーナー:
1.コインボックス手順
2.チンカチンク(諸行無常
3.influence
4.カーテントライアンフ
のっけから例のコインアセンブリ、"諸行無常"や"カーテントライアンフ"について「今日実演やります」というだけでなく「あ、全部ちゃんと解説しますよ」とか言い出してざわざわする。主に私が。え、なんかそういうのって明かしそうで明かさない、みたいな感じじゃないんですか、マジックの人って。とここまで思いましたが、周りであんまりトリック隠す知り合いもいないな、ということに気づく。しかしなんですね、諸行無常、ナマで見るとよりかっこいいです。目の前でばんばんコインが移動するのを見てワクワクしました。第一印象「な、生でも出来るんだ……」 カーテントライアンフは「もしこうじゃなかったら私まるで分からないんですけど」の「こう」ではあったのですが、まあいい具合に動きのにおいが消されていて、それはそれで大変良くできた構成の手品だなあと思いました。

諸行無常

いやあ、なんど見てもかっこいいですねえ。。。

カーテントライアンフ



三品さんコーナー:
1.オープナー
2.エレベーターカード
3.パームオフ的なあれ
4.ハンギングカード
5.カッティングジエーセス
6.コレクターズ
7.オイルアンドウォーター
8.カードスタブ

三品さんはさっきも書きましたが、仕事量がすごく多い。緻密に組まれている上に、それぞれ前もって準備をされていくので、ご本人の演技を見ているときは気にならないのですが、解説受けてメモを取ろうとすると地獄が見えます(笑)。「おいおい。そんなことしてたんですか」みたいな。帰り道二川さんと「三品さんの手品、手順メモは追いつきませんでしたよ」「ま、ぼくもそちらもレクチャーノート買ったので復習バッチリです」みたいな会話になりましたw あと全然関係ないですが、このノート、去年のマジケで売っていたのかな?

なお反省会のときに、「カードマジックは何から入られたんですか?」と伺ったところ「べベルです」ということで、「やったぜベベラーがいた!」とかちょっとうれしくなりました。大学時代にTVで見て以来、そして彼のリセットが大好きになって以来、べベルには私もかなり強い思い入れがございまして。べベルから"沼に入った"のであれば、あのカードの扱いもちょっと納得できる、と思いました。……なぜ同じところから入ったのに私はこんなに雑なんでしょうか。

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物販はTAKAHIROさんがレクチャーノート『influence』とカードスイッチギミック、三品さんがレクチャーノート『Paranoia』を扱われておりました。そりゃあ買います。ていうかこのイベント、こんなに盛り沢山なのに参加費2000円で、レクチャラーに少しでも金を落とさないとイカンだろう感がすごくします(笑)。



ワークショップはまあちょっと要考慮というか。あれはああいう形式にするのではなく、普通に若い人たちがお二人に見せたり、見せてもらったりする、ポストレクチャー会くらいの緩さにしておいたほうがみんな楽しめたんじゃないでしょうか。別に演技を批評してもらいたい人ばかりじゃないでしょうし。わたしとかね。yoshidaさんもまじめな熱弁振るっておりましたが、みんなまじめに手品考えてるんだなあと思いました(yoshidaさんは刃牙ネタに詳しい方なので、「使用<つか>ったらいい……カネでも、サクラでも…好きなだけ…」とか「君の手品には愛がある、悲しみもある…しかし、凌辱がないでしょッッッ」とか言ってくれると思っていたのに、「動作の一貫性が」みたいな話をされてて残念です。あ、うしろは『餓狼伝』だ)。
私は「色々考えることは無駄ではないし、考えてもおくべきだが、手品というのはつまるところ現象が不思議であるか、見ていて楽しいか、これに尽きる」という思想ですので、衆人環視の中でパスをやるとか、滑らかにカウントをするとかっていうのは正直どうでもいいのですよねえ。機械のような正確性が要求される場所もありますし、大事だとは思いますが、私みたいに「喋りのやりとりのほうが楽しくない?(自分的に)」っていう人間は、そっちにあんまり行かないのですよね。スミマセン。。。

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ワークショップというかダベリ的なところで教えて頂いた、白菜さんという方の「水と油と油と油」、OWというか、マッチングカード的な趣の手品で(通常は水と油という2種4枚ずつ、みたいな感じですが、これは4種2枚ずつ、みたいなものを混ぜたのにそれぞれのペアに分かれてしまうというもの)、ご本人は「成り立ちからしてもバカ手品でして」と仰ってたのですが、あの解決法とか、私はあれかなりネオクラシックの趣があると思うんですよね。そんなに色々いじれるものでもないとは思うのですが、ものの理屈を習うのにもいい、講習にもとても向いたトリックだと思います。

あと東北大の奇術部の方に見せて頂いたラブアダブダブバニッシュは本当に大変きれいでした。二川さんとキャッキャしながら見入ってしまいまして。あの技法、正直それなりの綺麗さがあればまあそういうもんだよねと納得するたぐいの技法だと思っていましたが、彼がやるともうホントに消えたようにしか見えなくて、目からうろこでした。あれとうなぎがあればご飯3杯いけますね。上手い人はいるもので。。。