教授の戯言

手品のお話とかね。

Nicholas Lawrence クラフトワークショップ

Nicholas Lawrence クラフトワークショップ
 
 
2019年5月4日土曜、快晴、ニコラス・ローレンスのクラフトワークショップに参加しに、桂川新平さんの居城こと、名古屋のLa Campanellaに行ってまいりました。備忘がてら記すものなり。
 
 
ニコラス・ローレンスというと、私は"Reduction"しか知らず、これまた解説を見てみて、「なかなか難物だぜこれは」「ていうかどうなんだこれ」という感想であり、かつご本人がデカい、ヒゲ、めっちゃ入れ墨、怖そう、という感じで敬遠しておりまして。ただ、昨今話題のMHさんの心の師匠、みたいな感じと聞き、MHさんの秘密の一端に触れられるのではないか、あとGW予定入れないと絶対家で不毛なことしかしないし、のようなテキトーな理由で東京から名古屋まで行ってまいりました。日帰りで。速いぞ新幹線。結論から言ってめっちゃ良かったです。あとニコラスめっちゃ優しくて丁寧で、いらしていた手品家の将魔さんが「ニコラス、商売っ気なさすぎて逆にこっちが不安になる」というくらいの方でした。風体とのギャップ大きすぎ。
このレクチャーは、レクチャーではあるのですが、みんな教わったもの(ギミック)をその場でニコラスさんの直接指導の元で作る、という、私にとって初めての形式でした。La Campanellaにおいても初らしいです。大人数で工作するとか、中学の技術の授業以来じゃなかろうか。あとみんな出来に差があってそこも面白い。ニコラスのマジックは基本的にクイック&ビジュアルを地で行く感じなので、現象も長くて1分程度です。一部を除いては角度に強いものも多く、ストリートでの実践で実証されているのは伊達じゃないなと思いました。典型的な東海岸仕様のストリートマジックらしいです。
 
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01. Evolve
演者と観客が1枚ずつカードを選んで4つ折りにするが、位置が何度もビジュアルに入れ替わる。最後に普通に手渡して(!)終われる。
のっけからやばい。現場で見て目を疑いました。ていうかこれは工作がなかなかに難度が高かったですが、作ってみると自分でやっても笑えるくらいに変わる。テーブルに置いて、指でパシッと弾くともう青いカードが赤いカードに変わってるんですよ。おかしいですよカテジナさん。なんだこれ。正直コレやってるだけでもう楽しい。ご本人もこれはよくやる、と仰っているだけあって、目まぐるしく変わるのですが現象はごたつかず、やはりうまいものだなあと。ギミック単体としてはこれが一番好き。超楽しい。
 
 
02. Card Under Box
カードをスイッチするマシーン。
ラブアダブダブの動作で、消さないでスイッチできてしまうギミック。これはEvolveほどではないけどやっていて楽しいです。位置的にやっていることは見えなくもないのですが、これもひとりで「唐突に箱の下にカード1枚を挟んだり消失させたり」して楽しいです。
 
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Intermission_a:Typhoon Solve
Akioさんによるルービック・キューブのマジック。バラバラなのを示したキューブの対角を左手の親指と中指で保持し、それを右手でくるくると回すと揃っている。
いちアイディア、と仰っていましたが、アイディア時点できもい。手順として完成したら一体どうなってしまうのか。めっさ不思議。
 
 
Intermission_b:(タイトル未詳)
将魔さんによるルービック・キューブのマジック。バラバラなのを示したキューブを左手で持ち、左右に何度か振ると揃っている。
エンドクリーンで簡単らしい。……本当かな?「ぼくは本当には揃えられないので」まじか。同志がw いや、私は何度かできるようにはなったんですが、普段人前で手品、しかもルービック・キューブなどやらないので、解き方を覚えていられないのですよね。困った。
 
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03. Jumping Ink(Download 2.0?)
観客にサインしてもらったカードに演者もサインをし、デックに重ねて軽く振ると演者のサインだけが移り、観客のサインだけが残る。そこにまた演者のサインを戻す。
鮮やか。何より簡単なのと、ニコラスいわく、「めっちゃウケるのでトリにもいいよ」とのこと。自分のサインしたカードで現象がビジュアルに起こるので、確かにそうだな、と。これは正直、最初スライハンドでもできるのではないかと思ったのですが、ビジュアルさが段違いな気もしてきました。己の汚れきった手品観を痛感します。
 
 
04. Flap Card
ニコラス式フラップ・カードの作り方。
エラスティック・スレッドを使わない……だと……?現場で、同じ材料を使っているのですが、私のが振らないと戻らない出来なのに、MHさんのは放すと跳ね上がるくらいの勢いで変わってて草。加えて、1チェンジでこの大変さなのですが、MHさんって動画拝見する限り5回チェンジとかやるじゃないですか。どうなってるんですかねホント。あれは別の作り方なのか?あ、書くの遅くなりましたが、MHさんが現場に来られており、ティーチング・アシスタントみたいな感じでした。「MHさんの動画のトリックはCG、なんならMHさん本人も実在しないCGキャラクター」説を掲げていたのですが、なんと実在しており、なおかつ現場で高クオリティのものを作り上げており、演技までされていて「ホンモノはやっぱ違うわ」と思いました。なお、同じ材料を使っているのになぜここまでの差が出るのかw ニコラスに、「改善するかは分からないけどちょっと貸して」と言われ、1分くらいで戻してもらったら、かなりきれいに変わるようになっていてニコラスSUGEEEEE!&おれYOEEEEE!な感じでした。なぜなのか。というかあれはギミックというか、ニコラスのテクがうまいせいではないのか。ないのか。。。
 
 
05. Vanishing Card(タイトル未詳)
左手でカードを1枚立てて持つじゃろ?右手でカードをの前を下から上になで上げるじゃろ?何も起こんない、そりゃそうよ。でももう1回やるじゃろ?そうすると消えていくんだよ、カードが、下から、徐々に。で最後何も無くなる。
やばい。なんだこれ。きもい。レクチャーDVDでの動画を見直すとやっぱきもい。動画で見たらCGだろとしか思わないのですが、生で見てしまった上に自分でもギミックを作り、下手くそながらも途中まではかなり消えているのを見ると信じざるを得ない。
 
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おまけ_a:Unboxing
デックが箱ごとカラチェンする。変わったあとのデックを箱ごと渡せる。
当然ギミックを使うのですが、処理が見事でした。デックを渡せるところに驚いてしまい、まるで気づきませんでした。
 
 
おまけ_b
お札を借りて破るが繋がる。ちゃんと返せる。
現場で見て目を疑いました。ギミックの作り方を聞いて、これはちょっと高額紙幣ではきついぜ、と思ってしまいましたw しかしめっちゃクリーンに、かつビジュアルに繋がります。1000円札でなら作ってもいいか。アメリカは1ドル札があるのがいいよなあ。
 
 
おまけ_c:Blade
カード3枚でやる美女の胴体切り。
これは生で見ると現象のクリアさが凄かったです。最後に全部渡してしまうところもびっくり。家帰って、買った商品の解説DVDを見て、あー賢いなーと思いました。現象のわかりやすさ、仕組みの巧妙さ、処理のしやすさなど、大変いいトリックだと思います。自分でもやろうっと。
 
 
おまけ_d:On/Off Revisited
指輪のマジック。指輪が指から指に飛び移ったり指が取れたりする。何を言ってるか分からねーと思うが(ry
不思議すぎてしゅごい。角度が厳しいらしいのですが、少なくとも私が見たポジションからだと不思議しかなかった。解説をDVDで見たのですが、私あのかたちに指を保てない気がする。練習でなんとかなるのか、あれ。
 
 
Intermission_e:The Rising
デックの横に挿したカードが振るだけで上がってくる。それから両手で1枚と残りとのトランスポジションが起こる。
現場で見て目を疑いました。どういうギミックかと思いましたが、これは参加者に借りたレギュラー・デックで行われており、帰宅後DVDの解説を見てため息が出ました。まじか。知っている原理というか手法なのに、まったく気づきませんでした。いや、知ってるけど、あんな風にはできませんし、ギャグにしか使えないと思っていました。Oh...
 
将魔さんのコメント通り、クリエイターズライブ(2015)はレクチャー不慣れ感が可愛いw
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通訳はホストの桂川さん自らが行われていましたが、途中途中で「ちょっと待って、え、なんでなんで」「いま変わったよね?瞬きとかしてなかったよね!?」「はー、賢いわ……」とか、素で感想を述べるマン(しかも日本語)になってて笑ってしまいましたw 「桂川―、仕事仕事ー!w」
 
私はDVDでしか見たことがなかった碓氷貴光さんがいらっしゃって、名前呼ばれてちょっとビビる。「すみません!現在自力でルービックキューブが解けない上に、この2年、ヘックラウの"Easy Cube"しかやってなくてすみません!」(CV:加賀愛) Penguin Lecture出てるとかかっこよすぎます。
 
世界の真田豊実がいましたよ!なんか面白いおっちゃんがいるなー、どっかで見た感じはするけど、とか思っていたら真田さんでした。「本、買いましたよ」とか言われて「あ、ありがとうございます!」と震えましたが、何を、までは聞いていないので『ASIS』でないことを祈るばかり。なお当方も、ゴジンダボックス等を買わせて頂いたことがあります。さておき、ニコラスのカードが1枚スーッと消えるやつ、あれサナダギミックとの相性抜群だと思うんですよね。もしくはガスタフェローが"Solo"で使っていたあれとか。消えた後に完全に両手のひらをあらためるとかできちゃうですよ。Wow!
 
通訳サポート?でフレンチドロップのベンさんもいらっしゃいました。「東邦さんとベンさんのクラシックフォースのレクチャーは買いましたよ!まだ見てないですけどね!」と言ったところ、カードを1枚引いてテーブルに置かされ、右手で1枚、左手で1枚それぞれ引かされ、最後に口で1枚挟むように言われて言われるままにそうしましたが、表にしたら全部エースでやんの。なんだこれは!悪夢か!もしくは新手のスタンド攻撃を受けているのか。
 
 
夕食会の味噌煮込みうどん屋さんに同行はしたのですが、新幹線の終電の都合があり、お土産に味噌煮込みうどん2つだけ買ってお暇いたしました(味噌単体の味が強いのかと思いきや、かつおのだしがきいていてとても美味しかったです)。日帰りでの名古屋でしたが、素敵な方たちにいっぱい会えた上に、手品も総じて不思議で、大変充実した週末となりました。実際にギミック作るまで帰れないレクチャーとかも面白いですね。