教授の戯言

手品のお話とかね。

マイマイ新子と千年の魔法

昨日の続きであります。

▼朝から「マイマイ新子と千年の魔法」を見に行く。09:25くらいに上映場所である新宿ピカデリーに到着するが、チケット販売が長蛇の列で結構焦る。上映ホールのある最上階まで行き、座った時点で09:42。映画に予告編CMがあることを、生まれて初めて"いいこと"だと思いました。

本編は説明が難しいのですが、アニメ映画のシナリオ上の起伏(ご都合主義?)に慣れていた自分には、この後半ストーリーのあっさりさが妙にリアルに近く感じてしまいました。ラスト30分の急展開がまたいいのですが、展開したと思ったらすぐ終わってしまうのです。確かにみんな成長したし、別れってえてしてそういうもんだよな、と思いつつちょいと物足りなさは感じたのが正直なところ。
絵柄的にはターゲットになりそうなお子様には、本作のストーリーは間違いなく盛り上がらないと思います。・・・そういや本作の制作側のターゲットは何歳なんだろうか。
なお某所で読んだ記事によれば、昭和30年頃の再現ぶりは半端無いらしい(私は当然生まれていないので、「実に終戦後って感じだ!」くらいにしか思わないのですが)。そしてなにより、背景美術の美しさは戦慄する見事さ。なにあの香りがしてきそうな麦の海。生活臭漂う部屋の隅。きちんと種類ごとに描き分けられた花。極めつけは、夕焼けの時の赤と紫の空、あれには本当に感激した。ああいう色なんですよ、田舎の夏の夕暮れ。かっこいい動きを描けるアニメーターも凄いと思いますが、ああいう背景美術担当のスキルには素直に憧れます。背景に力を入れるアニメは大体そうなのですが、物凄く観客に現場の空気を与えてくれます。そして多分正直なところ、現実の自然より綺麗と言うか。もどかしいけれど、本当に背景美術の美しさが出色なんですよ。見れ。
作品全体に過度な盛り上がりは無い、と思うのですが(超能力だのなんだのと言うものもありませんし、どちらかというと尊敬・憧れの対象である大人もそれぞれイマイチな実態を背負ってたりしますし)、色々な意味で物凄く真摯に作られた作品だという印象。個々のガジェットやら音楽・背景が本当に空気のように自然。あとは人物の影のつけ方も凄く好みでしたね。あるべき状況よりかは少し明るく感じるというか、ちょっとリアル方向ではないんですが。