教授の戯言

手品のお話とかね。

『ホール・ソート・デックの作り方』

皆さんはホール・ソート・デックというのをご存知でしょうか。私は知りませんでした。というか私の造語です(たぶん)。

コンピューターが無かった頃、役所や学究機関(のごく一部)にはたくさんの書類カードを物理的にソート、整理する仕掛けがありました。書類の縁に穴がたくさん開いていて、いわゆる穴になっているものもあれば、外周まで繋がっているものもあります。そこに順番通りに棒を差し入れて引き上げ、上がったもの(外周には繋がっていない、独立した穴のところですね)を手前に寄せる、今度はさっきの隣の穴に棒を入れる…と繰り返していくと、直前がどんな並びになっていようが最終的には最初に設定しておいた並び順になる、というものです。Hand sorted punched card ですとか、Edge notched card と呼ばれていたそうですが、1920 年代にケルン大学で考案された、CAIRN Punched Cards が有名になるきっかけだったそうで。

それを見たときに思ったのです。「これ、前からほしいと思っていた『メモライズド・デックの並びを機械的に戻せる仕組み』そのものじゃないか」、と。「こんな素晴らしい仕組み、スタックト・デック使いたい人の練習がめっちゃ捗るやつじゃないか。なぜ研究した奴、ノート出した奴がいないんだ。しょうがない、私が書くか」ということで出来たのが本書です。

背景や仕組み、材料、作成用の道具、作業用の並び表(NDO、タマリッツ、アロンソン、あと自分で書きこめる空白表+自分でいじれるExcelファイルへのリンク付き)を一冊にまとめました。

11/18(土)のマジックマーケットでは、なぜかTANISHImagicさんのところで扱っていただけそうです。こっちで操作するとNDOに、こっちで操作するとネモニカになるという、私が試作したアホみたいなやつも実演用にお持ちしようかと思います。

メモライズド・デックやスタックト・デックの練習を効率よく高頻度でやりたいという方、謎の仕組みで並びが整っていくおもちゃを作ってみたい方、ちょっと薄手の鍋敷きがほしいんだよなあ、といった方、あとここ読んでいる方などはぜひお買い求めください。

magic.theshop.jp