教授の戯言

手品のお話とかね。

Pit Hartling『In Order To Amaze』

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撮影:青田和也様

富山でございます。ドイツのマジシャン、ピット・ハートリングの『In Order To Amaze』日本語版であります。ついに任務完了です!足掛け4年。長い戦いでございました。小学3年生だった人が、中学1年生になってしまうくらいの時間です。

 

2019年6月、20年ぶりくらいに来日&レクチャーを行ったピット。参加された方はお分かりというかご同意いただけると思いますが、まあね、震えるほど不思議な手品の数々でしたね。あそこで演じられたトリックがだいたい解説されているのが本書『IOTA』でございます。

kyouju.hateblo.jp

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記述が実演を超えられたとは全く思っておりませんが、本当に名著です。メモライズド・デックを主体としたトリック集で、本書を超えるものは今後もまず出ないでしょう。大げさですが、割と『Mnemonica』以降最高の、あるエリアにおける『時代』の目撃者的な思いです。SU☆GO☆SU☆GI.  訳もなんといいますか15周目以降は数えておりませんが少なくとも20周はしました。ていうか30周くらいはいっている気がしなくもないです。いつも真面目にやっているつもりですが、今回はかなりの本気です。ピットも原書もどちらもリスペクトしておりますので、装丁は極力踏襲するようにしました。ハードカバークロス装(布はちょっと汚れが落ちづらいので意図的にやめた)、メタリックデボス加工、本文フルカラー336ページ。印刷費だけで『Card College Light』トリロジー全部の製作費を軽く超えたのは内緒です(震えながら)。

 

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なお昔から、『遊び半分で作ってはいけない本の要素』というのがありまして(※私調べ)、『手品の本』二翻、『ハードカバー装』二翻、『メタリックデボス加工』一翻、『ページ数セットが印刷屋の通常メニューに載っていないレベルで多い』三翻、『フルカラー』二翻って感じなのですが、もう倍満ですよ、プロデューサーさん!うっちゃダメ、勝てない手品本バクチと白い粉。まあ勝とうとは思っていませんが、毎回負ける覚悟で刷ってるのもちょっとどうかしてる気もします。まあいいんです、趣味だし(自分に言い聞かせるための一言)。

 

 

原著に序文を寄せていたサイモン・アロンソンが今年2020年にお亡くなりになってしまいましたが、なぜかわたくし細々と、きょうじゅのアドを借りて、いまさらアロンソン勉強会などを開催しております。

 みんな普通の数理系トリックのほうを担当したがるので、必然アロンソン・スタック系はわたくしの仕事になったりしています。そんな流れもあり、いまの私は『過去に憶えたアロンソン・スタックの記憶が蘇りつつあって、それとネモニカがごっちゃになってきている』という最悪のパティーンです。あ、まあとにかく、著者本人も凄いし、推薦者もすごいぞ、と。本書には数は少ないですけど技法的な意味ではセルフワーキングといえる作品もありますし、別になにかスタックを記憶してなくても特定の配列にしておけばできる手品もございます。というか本書はネモニカ・ベースではあるのですが、21作品中17作品はアロンソン・スタックでもできます(というか、だいたいの場合において、この2つ以外でもできます)。残る4つはネモニカで、とはなっています。2 つは事実そうなのですが、1 つはタマリッツ・スタックでもアロンソン・スタックでもできるもの、そして残る1 つはタマリッツ・スタックからだとすぐセットが作れる並びを使っているものというだけで、なにか特定のスタックでなくても演じられる作品なのです。何が言いたいかというと、『いまネモニカ憶えてなくてもあんまり関係ないですよ』と。

 

まあ色々とお伝えしたいのですけどなかなか言葉にするのももどかしく。ピットの演技を生で見ていただいたらきっと、「これがメモライズド・スタックだからかなんなのかとかはもうよく分からんけど、超不思議で楽しい」と思われるでしょう。そしてそれらは幸か不幸か映像媒体の資料としてははほぼ出ていないわけです。ではあるものの本人の筆による大変素敵な本があります。そして、本書の訳者たる私は著者の大ファン。愛とリスペクトと妄執的な無駄訳注溢れる本書をDon’t miss it!です。家にこもる時間は、メモライズ系の定着を図るのにも良さそうですし。いや、いいに決まっています。

 

――さあ、家に腰を下ろし デックと共に生きよう 暗記と共にコロナ禍を越え エアバイオリンと共にネモニカスタック暗記歌*を歌おう 

 *ホントに『Mnemonica』に載っています。

 

 ■教授の物販:Pit Hartling『In Order To Amaze』日本語版

 

 

『緑の蔵書票』さんは、さすがに原書段階からレビューされていて凄い。

greenware-ex.blogspot.com

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 収録作品

 【Miscellaneous Stack Miracles】

色々なタイプの現象を10トリック。

 

“Catch Me If You Can”

マジシャンは、マジックの鉄則を破って同じトリックを2 回やってみようと思う、と申し出ます。1 回目は指先の早業で、2 回目はそれなしで。

最初は、マジシャンが恥ずかしげもなくテクニックを披露、2 枚の“探偵”カードが、観客に自由に言ってもらった“犯人”のカードを、シャッフルされたデックの中ほどで捕まえます。

そしてありえないことに、もう1つのデック―――開始時点からずっとよけてあり、マジシャンが一切触れていなかったデック―――の中でも、探偵たちの同僚が、自由に言われたカードを捕まえているのです。

 

 

“The Heavyweight”

マジシャンは、カードに関する自身の尋常ならざる感覚スキルをデモンストレーションします。最初に、カットして取り上げられたパケットの正確な枚数を判別してみせます。続けて、ほんの少しのあいだ観客のパケットを持っただけで、それと全く同じ枚数のパケットを取り上げてみせます。最後に、何枚のカードがカットされるかが分かってしまうのです―――それも観客が実際にカットする前に。

 

 

Sherlock

観客の1 人が部屋の一番隅まで行き、デックからカードを1 枚抜き出します。彼はそれを憶えてデックの好きなところに戻します。それからデックがシャッフルされます。これらが済んで、はじめてマジシャンがデックに触れます。アーサー・コナン・ドイル顔負けの厳正な消去法と論理によって、マジシャンは選ばれたカードを追い詰め、そして見つけ出すのです。

 

 

 

“Close Encounters”

3 人の観客が、それぞれデックからカードを1 枚ずつ抜き出し、それを別のデックのバラバラの位置に差し込みます。驚くべきことに、その差し込んだカードはそれぞれ、入れた先のデックにある同じカードのちょうど隣に来ているのです。

  

 

“The Core”

神学的かつ生物学的なカード・トリックという珍しいトリックの中で、観客は演者の個人的な『エデンの園』へと幻想的な旅をします。デックがまさしく果実のようなものであることを知らされた観客は、想像の中でデックの皮を剥いていき、デックの『芯』に何のカードがあるか言うよう求められます。

最初からテーブルに置いてあり、誰も触っていない現実のデック―――マジシャンはこれを取り上げ、ゆっくりと“剥いて”いきます。なんと、このデックは観客の空想の旅から現れたもののようです―――一番真ん中にあるカード、つまりデックの芯は、まさに先ほど観客が口にしたカードなのです。

 

  

“Thought Exchange”

マジシャンと観客の1人がそれぞれカードを1枚、心に思います。そのあと、マジシャンが観客のカードを見つけるのみならず、観客もまたマジシャンのカードを見つけ出すのです!

  

 

“Duplicity”

観客の1人がデックをシャッフルし、カードを配ってポーカーのハンド手札を2つ配ります。ハンドの内容はオープンにされ、どちらかが選ばれます。マジシャンは、別のデックでこの5 枚をコントロールしてみせると言います。マジシャンは2つ目のデックで、同じようにシャッフルし、カットし、そしてハンドを2つ配ります。片方のハンドを見てみると、確かに観客のハンドと全く同じものができています。つまり、マジシャンのハンドは観客の選んだ5 枚と全く同じ5 枚からなっているのです。

マジシャンは、観客のハンドと順番までは同じにできなかったことを詫び、こう付け加えます。「お詫びしなければなりません。こちら、カードの順番までは一緒にする時間がありませんでした。ちょっと忙しくて……もう片方のパケットでそれをやっていたものでね」マジシャンはもう片方のハンドを見せますが、これは観客のもう片方のハンドとそっくり同じ、しかもこちらは順番まで一緒なのです!

 

  

“Echoes”

マジシャンはデックから無作為に1 枚のカードを取り出し、見もしないでそれをテーブル上に置きます。観客の1 人に「やまびこを選んでください」と言って1 枚抜き出させ、それを演者のカードと一緒にしてもらいます。この操作を別の観客2 人とでもう2 度繰り返します。6 枚のカードを見てみると、観客たちの選んだカードは、まさにマジシャンが選んだもののやまびこになっています。つまり、選ばれた3 枚はすべて、演者が選んだカードのメイト・カードなのです!

  

 

“The Poker Formulas”

マジシャンは、暗号のような数字の羅列に埋め尽くされた、よれよれの紙を何枚か取り出します。これこそ自分の『ポーカー・フォーミュラ』なのだと彼は説明します。この公式の力を示すため、観客に何でもいいのでポーカーのハンドをひとつ言ってもらい(ここでは7 が3 枚とK が2 枚のフルハウスとします)、プレイヤーの数も言ってもらいます(ここでは6 名とします)。

紙をガサゴソやってマジシャンは該当する公式を見つけ、それをデックに『プログラム』します。デックを静かにリフルし、叩き、ひねりますが、あきらかにカードの位置は全く変わっていません。言われた通りの人数にカード

が配られ、マジシャンのカードが示されます―――そしてまさに、それが観客のリクエストした通りのハンドなのです! さあ、このポーカー・フォーミュラは最高額でご入札いただいた方のものですよ。

  

 

“Just Like That”

マジシャンと観客がそれぞれ自由にカードを思い浮かべます。同じように自由に、それぞれ1 枚のカードをデックから抜き出し、それぞれ自分のポケットにしまいます。驚くべきことに、マジシャンも観客も、お互い相手が思ったカードを見つけ出すのです。こんな風に(Just like that.)。

  

 

【Quartets】

カルテット(スタックの最短相対距離情報)を使うことで起こすトリック7種。

 

“Top of the Heaps”

マジシャンは、少枚数のカードからなる4つの山を少しのあいだ両手で覆います。すると自由に言われた数値のフォー・オブ・ア・カインドが、それぞれの山の一番上に現れるのです。

 

  

“Murphy’s Law”

マジシャンは、トランプというものは『いにしえのタロット』に由来を持つもので、こんにち今日のデックにも、その『不思議な形質』のいくらかは備わっている、と言います。具体的には、デックは人がどれだけラッキーか、もしくはアンラッキーなのかを判別するのに使える、と言うのです。

それをデモンストレーションするため、観客のひとりにA からK まで、なんでもいいので数値を言わせたら、デックから1 枚ずつ表向きにしながら配っていってもらいます。選んだ数値のカードが早く出れば出るほど、彼はラッキーというわけです。そして、この観客はきわめてアンラッキーであることが判明します。なんと、彼が自由に言った数値のカードはデックの最後の4枚なのです。

  

 

“The Chosen”

観客のひとりが、デックの中の4 枚を自由にタッチします。素晴らしい幸運により、自由に言ったフォー・オブ・ア・カインドの4 枚を、それですべて見つけ出してしまうのです。

 

  

“Identity”

マジシャンは言われた数値のカード4 枚を指先で触るだけで見つけ出す、と言い、デックのバラバラの位置のカードを1 枚ずつ全部で4 枚、表向きにひっくり返していきます。その4 枚はてんでバラバラのカードであるにもかかわらず、マジシャンは言われた数値のカードだと自信たっぷりに宣言します。

観客たちは顔を見合わせ、このマジシャンはアタマ大丈夫かといぶか訝り始めたまさにそのとき、彼らは突如それを目の当たりにします。デックがテーブル上にスプレッドされると、4 枚の表向きのカードは、言われた数値のフォー・オブ・ア・カインドへとたちまち変わってしまっているのです。誰かが「眼医者を呼んでくれ」と言い出す前に4 枚のカードは元の姿に戻ります―――そしてまた言われたカルテットに変わります!

 

 

 

“The Illusionist”

マジシャンは謎めいた感じでこう述べます。時に、最高のトリックというのは、決して実際には起こらないもののことを言うのだ、と。そして彼は、そんな『イリュージョン幻』を見せようと言います。

まずは古典的なスキルのデモンストレーションからです。観客のひとりに、どれでもひとつ、フォー・オブ・ア・カインドを言ってもらいます。マジシャンはデックを何度もカットしますが、その度に言われたうちの1 枚を見つけ出してくるのです。

ところが信じられないことに、マジシャンは、これらは本当はすべて幻なのだ、と言います。そして実際、デックが表向きにスプレッドされると、先ほどカットしたところから出てきたカードはどこにも見当たりません。マジシャンは、トリックが始まるよりも前に入れておいたカードがありましたね、と言って、自分のポケットから4 枚のカードを取り出してきます―――それらは言われたフォー・オブ・ア・カインドの4 枚なのです! 時に、最高のトリックというのは、決して実際には起こらないもののことなのです。

 

  

“Four-Way Stop”

誰かがフォー・オブ・ア・カインドをひとつ言います。マジシャンはカードを1 枚ずつ表向きで配っていき、観客は好きなところでストップをかけます。ストップをかけられたところのカードを公明正大に裏向きのまま置き、もう3 人の観客に同じことを繰り返します。最後に、ストップを掛けられた4 枚が示されると、それはもちろん、観客の言ったフォー・オブ・ア・カインドなのです。

  

 

“The Right Kind of Wrong”

1 から10 の中のひとつの数字に集中しながら、観客がデックをシャッフルして、4つの山にカットします。それぞれの山のトップ・カードを表向きにしますが、意図とは違って目的の数字のカードは出てこず、単なるランダムなカードです。観客が間違ったデックを使っていたことにマジシャンが気づいたとき、すべてが明らかになります。ずっとテーブルに置いてあった別のデックで、カットの結果出てきたカードのバリューぶん数え下ろしていくと、まさにそれぞれの箇所から思っていたフォー・オブ・ア・カインドが出てくるのです。

 

 

 

 

【The Stack Dependents】

タマリッツ・スタックを使うトリック4種。ちなみに1つ以外は別にタマリッツ・スタックである必要はないのですが、それからだと早く組めるというメリットがあったりします。

 

“Fairy Tale Poker”

マジシャンは、実は魔法のデックを使っているのだと明かします。おとぎ話のように、このデックは自ら並びを変えて観客たちの望みを叶えるのだ、と。そうして配られたポーカーでは、他7 人の強力なハンドを、デックの持ち主が4 枚のA で打ち負かすという、とんでもない事になるのです。

 

 

“Quick Change”

デックから1 枚のカードが抜き出されて示されます。マジシャンはデックを素早く4つの山にカットします。それぞれの山の表のカードは、抜き出されたカードと合わせて、ポーカーの強力な役になっているのです。

これがより困難な状況下で繰り返されます。新たなカードが選ばれ、マジシャンはそのカードを使って組める最強の役を作るため、必要となる他の4枚を―――それも4 枚一度に、1 秒で、片手で、手元を見ずに見つけてみせようと言うのです。

選ばれたカードが示され、マジシャンはテーブルの下で4つのパケットを片手で持ちます。一瞬の後、マジシャンが再び手をテーブルの上に出してくると、それぞれの表のカードが変わっています。新たに選ばれたカードとその4 枚を合わせると、スペードのロイヤルフラッシュになっているのです。

 

  

“Poker Night at the Improv”

即興とカード・コントロールの妙技で、マジシャンはシャッフルされたデックから次々とより強いポーカーのハンドを種々華麗な方法で取り出してきますが、その間ずっと、観客に自分が選んだカードを忘れさせようとします。

それらがすべて失敗に終わったとき、マジシャンは残った最後の数枚を観客に手渡し、ポーカーのハンドを配ってもらいます。観客は、彼が自身に勝利をもたらすロイヤルフラッシュを配ったのみならず、最後にカードがちょうど1 枚だけ残ったことに気づきます―――これこそが彼の選んだカードなのです!

 

 

“Game of Chance”

マジシャンがデックをシャッフルし、プレイヤーは赤か黒かの色を言います。カードを3 枚一組でめくっていき、そこに出てきたカードの色を見ていきます。それがプレイヤーの指定した色であるたびに点が加算されます。

ゲームの最序盤から、プレイヤーたちはまるでツイていない感じです。色を選びますが、3 枚目のカードはいつも選ばなかったほうの色なのです、それも最後まで!

デックは繰り返しシャッフルされ、赤と黒がランダムに混ざっていることが示されるにもかかわらず、何度プレイしても同じ結果に終わります。どちらの色が選ばれても、出てくるのは反対の色なのです!

いくつかのバリエーションがいずれも同程度に不満足な結果に終わったあと、最後にマジシャンは、同時に2 人のプレイヤーでやってはどうか、と提案します。1 人が赤を選び、もう1 人が黒を選ぶのです、と。これなら1 人は勝てるでしょう! 3 人目の観客が審判を務めます。彼はマジシャンのための色を自由に1つ言ってから、カードを3 人の参加者へと配っていきます。マジシャンの手札には赤と黒の混ざったカードが来て、得点も普通でした。しかし、他の2 人のプレイヤーが自分の手札を確認してみると、1 人は全部赤いカード、もう1 人は全部黒いカード―――ですがどちらも『ハズレ』のほうの色なのです!

 

 ■教授の物販:Pit Hartling『In Order To Amaze』日本語版

 

Guy Hollingworth関係の近況

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DRD

富山です。Guy Hollingworthの『Drawing Room Deceptions』という本の粗訳1周目がようやく終わり、合わせて彼の映像資料を全見直しの行に入っておりまして、備忘がてら映像についてのメモを後日つらつらあげていこうかと。

 

ガイ・ホリングワースは英国のマジシャンで、まあなんと言いますか、いちいちジェントル感溢れる、英国紳士です。日本の一部手品界隈では通称ガイ様。かっこよすぎ。というか本当に上流階級の人らしいので仕方ありません。私のようにカネで爵位を買ったような人間とはワケが違います(当方伯爵位持ち(本当))。

大学生の頃、奇術愛好会で彼のビデオ『London Collection』を見て震えた思い出があります。中でも私に一番手品を教えてくれた先輩がガイ大好きマンで「ぼくもいつか、白黒で『Mita Collection』とか撮りたい」とか普段から言っている類の人だったので、必然私も好きになってしまいました。なおその先輩が本書の共訳者でもあります。当時、まさか二人してガイ様本を訳すことになるとは想像もしておりませんでした。人生何が起こるか分かりません。

ガイ様はめっちゃ手がでかいというか指が長いので、昔から「この人の手品は私のように手の小さい人間には基本的に無理だな」とか思っていたのですが、腰を据えてしっかり読んだり見直したりすると、そういうのはむしろ少なく(本人は、「指が長すぎて、このタイプのボトム・ディールは無理」みたいな悩みもあったようですが)、だいたいはかなり緻密に工夫された素晴らしい作品の数々でした。

トーン・アンド・レストアード・カードという、要は4片に破いたカードを1片ずつくっつけていって復元するトリックがありますが、その彼のバージョンがかなり有名です。亜種もかなり出ました。それがきちんとできるようになりたくて、2010年頃、こざわまさゆきさん主催の洋書購読会の中で、本書のエピローグ、"The Reformation"を訳の対象に選んだのを思い出します。訳自体は、いま見直してもそこまで間違いはなかったのですが、まあとにかく練習が足りていなかったので、当日の実演ではもはや手品になっておりませんでした、という苦い思い出。その場にいた齋藤修三郎さんに「そこはこういう動きですよ」と教えていただいたという有様で(なおそのとき彼が訳していたのが『Card College Light』のトリックだったはず)。

 

本自体はこの冬以降にはなりますが、鋭意製作中です。……ら、来年かな……?内容はいまでも全然古くない折り紙付きですので、ガイ様に恥じぬ、かっこいい本になるように頑張ります。本書、挿絵もアール・デコ調の素敵なものなのですが、全部本人の手による描画というところがまた。パーフェクト超人か。

Roberto Giobbi『Card College Lightest』日本語版

ロベルト・ジョビーの『ライト』3部作の締め、『カード・カレッジ・ライテスト』、ギリギリ年内で完成です。ついにシリーズ完結いたしました。やったぜ!

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 なお2019年末まで限定ですが、以下のクーポンコードを入れると(ライテスト以外も)5%割引になる不思議仕様ですので、ぜひお使いください:shop2019thanks

 訳の片割れ、富山です。一部の皆さま、よくぞここまでついてきてくださいました。いよいよ『Light』3部作、締めの1冊です。本書では前2冊等から、"自分のルーティーンや手順構成はすでに持っている"という方たちを想定したつくりになっています。つまり、本書の収録作品は、手順中のどのフェイズにでも足せる、独立性の高い珠玉の数々18作品なのでございます。それに加え、全体的に手順の効果を倍増させる、楽に出来ながらもディセプティブなフォールス・シャッフルやフォールス・カットなどをまとめた、きわめて汎用性の高いコーナーも設けられています。全シリーズ60トリックに加え、軽めの、それでいながら実践的な理論いくつかを含む本シリーズ、足掛け2年で日本語化完了です。関係各位には厚く御礼申し上げます。

 

 

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揃えてばーん

 

【追記】

誤記です。p. 83  誤:星野泰祐 正:星野泰佑 駄文であるあとがきでは正しいのにカレッジ5巻のクレジット部というより正確性が求められる箇所で間違えるという痛恨のミス。星野様、本当に申し訳ございません。この詫びは必ずや。齋藤さんが。

 

誤記です。p. 126, l. 3 誤:フォースル 正:フォールス 

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収録内容

 

Einstein’s Card Trick(リシャール・ヴォルメル)

ノーベル賞受賞者であるアルベルト・アインシュタインによる(とマジシャンが言い張る)手続きを用いることで、観客の1 人が、先ほど自分で憶えたカードを見つけ出してしまいます。

 

Through the Magic Looking Glass(ハワード・アダムス)  

観客の1 人が自由に2 つのグループを選びます。それぞれのグループは7 枚のカードからなっています。パケットはよく混ぜられ、その観客だけがカードを取り扱っているにもかかわらず、不可解な一致現象が起こります。

The Magic Card(ビル・ノード&マックス・カッツ(?))
不可能に思える状況にもかかわらず、マジシャンは誰かにあらかじめ思ってもらっていたカードを、“マジック・カード”を用いて探し出します。

Mental Flush(ラリー・ベッカー)
観客の1 人がロイヤルフラッシュを構成する5 枚のカードのうちの1 枚を心に思います。マジシャンは躊躇うことなく、彼の思っているカードを言い当てます。

Follow the Leader(ダイ・ヴァーノン(?))  
マジシャンは赤と黒のカードを10 枚ずつテーブルに置いて2 つの山を作ります。それぞれの山の前にはその山に含まれるカードの色を示す“リーダー・カード”を置きます。リーダー・カードがどのように取り替えられても、それぞれの色は常にそのリーダーを追いかけます。これは凄い!

Gemini Calling(カール・ファルヴス)  
マジシャンは自分の名刺を2 枚取り、それぞれに予言を書きます。そうしたら2 人の観客は、事前にシャッフルされたデックにこれらの名刺を差し込みますが、その場所は完全に自由な方法で決めます。これらの厳しい条件にもかかわらず、名刺のすぐ隣のカードは名刺に書かれた予言とまさしく同じものであることが分かるのです。

Cardstalt(モーリス・ザイデンシュタイン)  
観客にデックから同じバリューの4 枚のカードを抜き出してもらいます。マジシャンは抜き出されたカードが何かは知りませんが、残りのデックを1 度だけ素早くリフルし、そしてそこにない4枚のカードのバリューが何かを正確に言い当ててしまいます。

Cardstalt Plus  
シャッフルされたデックから観客の1 人がカードを1枚抜き出し、それを裏向きのまま脇に置きます。“Cardstalt” のプレゼンテーションからの流れで、マジシャンはデック全体を通して一度素早く見て、そして足りないカードが何であるかを言い当てます。

Cheers, Mr. Galasso!(ロン・ヴォール)
デックをしっかりとシャッフルして観客の1 人に手渡し、その彼女が自分の手の中でカットし、その場所のカードを取り上げます。さらに2 人の観客もカードを取ります。デックを受け取ることもなく、マジシャンはそれらのカードを1 枚ずつ当てていくのです。3 枚のカードはすべて、デックがマジシャンの手の中にはない状態で選ばれ、デックも52 枚からなるごく普通のものであることは強調しておきます。さあ、じっくり考えてみてください。

Chance by Plan  
観客の誰かがランダムにカードを選びます。♠Aだったとしましょう。すると、もう1 枚の黒のA が突然表向きになります。そして黒のA が赤のA を見つけ出すのです。最後には別の4 枚のカードが出てきて、選ばれたスートのA を含む、ロイヤルフラッシュが完成するのです。

Posi-Negative Coordination(J・W・サールス) 
誰かにデックをシャッフルしてもらいますが、それでもなお、どういうわけかカードは赤と黒に分かれてしまいます。

Man Seeks Woman(ハワード・アダムス) 
4 枚のQ と4 枚のK を一緒にして徹底的に混ぜます。そうしたら、観客の誰かにこれを使ってゲームをしてもらうのですが、それぞれ同じスートのQ とK が一緒になるという驚きの結末になります。

A Swindle of Sorts(ポール・カリー)
マジシャンはデックからハートのA から10 までを取り出して順番に並べます。それから順序を入れ替えます。しかし彼は他者の行動を心理的に操ることができるので、不思議なことに観客がカードの並びを元通りに戻してしまうのです。

Two, Six, Ten(スティーヴ・ベルシュー)
観客が自由に1 枚のカードを選び、それを予言とします。これを脇に置いておきます。そうしたら残りのデックをカットして3 つの山に分けてもらいます。予言のカードの数値に従い、3つの山それぞれでカードを移動させていきます。それぞれの山の一番上に来たカードを表向きにしますが、驚いたことに、これら3 枚のカードはすべて、予言のカードと数値が一致しているのです!

 

Numerology(リシャール・ヴォルメル)
マジシャンは手短に数秘術の深遠なる秘法、その理論と実践について説明します。そして誰かにランダムに選んでもらった3 つの数字を使って、選ばれたカードを見つけてしまうのです。

FurtherThan Ever(スチュワート・ジェームス&J・W・サールス)  
観客の誰かにカードを1 枚憶えてもらいます。マジシャンは彼女の心を読み、そのカードの名前――♠A を言い当てます。そうしたらそのアルファベット1 文字につき1 枚ずつカードを配っていきます。綴っていったまさにその最後のカードを表向きにひっくり返すと♠A が現れるのです。マジシャンはそこまでに配ったカードをひっくり返しますが、“Ace” の箇所の3 枚はすべてそのほかのA――そして“Spades” と言って配った箇所はすべてスペードのカード。皆が、さすがにこれ以上はないだろうと思ったところで、最後にはスペードのロイヤルフラッシュが現れるのです!

The Vanishing Deck(ハリー・クロフォード)
鉛筆を魔法の杖代わりに使い、マジシャンはデック全体を消してみせると言います。すると鉛筆が突然消えてしまいます。鉛筆は再び見つかりますが、デックはどこかに消えてしまうのです!

A Card Gag(アルド・コロンビニ(?))
借りたデックから、誰かに自由に1 枚カードを選んでもらい、それを戻したらデックをシャッフルしてもらいます。そうしたらマジシャンは「ほら、これでしょう」と1 枚のカードを取り出してきます。残念なことに、それは彼が選んだカードではありません。がっかりしたマジシャンは、それを破り捨ててしまうのです――そのデックが自分のものではないということを忘れて。ですが最後にはすべては優しいジョークであったことがはっきりして、万事丸く収まるのです。

  • Final Thoughts

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『In Order To Amaze』の訳はほぼ終わりました。査読も3人中2名からすでに返ってきております。ラストスパートがんばります。

 

『ネモニカ学習帳』

『ネモニカ学習帳』

 

皆さんはメモライズド・デックというのをご存知でしょうか。1枚目がXXで2枚目がXXで、と全部記憶してしまう、マジックの中でも「理屈は分かるけれどもさ……」系の、ひとつの極致にあるタイプのあれです。存在自体、理屈自体はご存知の方も多いと思います。では見たことは?興味を持ったことは?ていうか憶えたことは?こうするといきなり減りますよね。手品をする人を1としますと、その中でカード・マジックをする人で、さらにメモライズド・デックを使える人、と絞っていけば、これはもう1%もいないのではないでしょうか。まあね、難しそうだしね。華々しさもないですからね。憶えようとも思わなかった、という方も多いでしょう。こんなん憶えるの、困難ですしね。

 

「淡い。淡いぞ田中。それをさほどの苦労なく憶えるための本が、

……これじゃあああい!」(CV:上野さん)

 

『ネモニカ学習帳』!!!!!!

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(あふれ出る出オチ感)

 

頭を抱えたくなるようなクソダジャレの数々が満載された、ある年代以上の人にはなんだか懐かしさを感じるアレなデザインの本書により、例のタマリッツ・スタックを、ものの数時間で記憶することが可能になるのである!読み終わったあとには鍋敷きにもなる!(NR:井上和彦

「最後のは要らんのでは……」(CV:田中)

 

 

タマリッツ・スタックの並び、組みかた、ダジャレによる暗記法、Move a Card に使える簡易ダジャレチェック法、メモライズド・デックを効果的に使うための安全策、オマケとしてピット・ハートリングとデニス・ベアによるカルテット(ベアはプロップ、と呼称しています)のダジャレ暗記法まで網羅した、手品そのものは一切載っていないB5サイズ34ページの薄い本だ!(ちゃんとオフセット仕様です) お祭りであるマジック・マーケット2019では500円で頒布予定!Baseのショップでも扱いますが、手数料&送料もかかるので、そっちの値付けは1000円とか1200円とかにしようかなと(ぶっちゃけ作者の実際の実入りはあんまり変わりません)。マジケで170冊売ると損益分岐を超えるぞ!荷物になるから40冊くらいしか送らないけど(作者は別用のため今年のマジケは不参加)。販売担当に「えー、小銭出るじゃん。面倒。1000円にすればいいじゃん」と言われましたが、ねえ。お祭りですし。いや、自分で書いたので、「この作者、バカだけどほんと最高に話が通じるな」というくらい全ページわかりみが深い上に、交友関係にクレジッターが多いことに怯え、さほど興味もないのに3ページ分くらいクレジット情報も入れてるしで、そこそこちゃんとした内容にはなっています。「ネモニカ憶えてみようかな」という人のとっかかりとしては十二分な内容は入っているはず。(※私調べ) 

 

 

ということで、無事届いていればメチャ凄サイトー(D-7)で頒布していると思いますので、興味なくてもお買い上げいただければ幸いです。厚みがないので「『ネモニカ学習帳』を入れておかなかったら即死だったぜ……!」みたいな用途には不向きですが、鍋敷きにどうぞ。Baseではこちらで扱っております。

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■読者からのよろこびの声コーナー■

「ネモニカを憶える前の私は、何をしてもうまくいかない、典型的な“持っとらん子“でした。春先のある日、だまされたと思って、ということで暗記用リストを渡されました。仕事で100分ほど飛行機移動することがあったので、その際に、前日買って鞄に入れっぱなしだった『異世界おじさん 第2巻』を読んでから暗記に着手しました。降りる頃には憶えていたのですが、その日の夜に行ったスーパー銭湯の露天風呂で10周ほどしたところもうばっちりです。実質2時間だと思います。するとどうでしょう、驚くべきことに、ネモニカをマスターしてから物ごとが180°転換し始めたのです。ニコラス・ローレンス、桂川新平、碓氷貴光、MH、シェーン・コバルト、ピット・ハートリング、カーティス・カムなどそうそうたるマジシャンが来日(一部もともと日本)、ピットの『In Order To Amaze』日本語版の自分校正が進んでいないことなど、さしたる問題ではないようにすら思えてきたのです!あとガルパン最終章第2話も上映されたのです!これというのもネモニカを暗記できたおかげです。ありがとうネモニカ学習帳。この功績を引っさげて、今度アメリカ大統領選に打って出る所存です」(東京都在住:手品ブロガー、手品本の訳者)

 

 

齋藤修三郎『JIS X 0401「都道府県カード」』

齋藤修三郎『JIS X 0401「都道府県カード」』

【現象】演者は,日本の都道府県の書かれたカードを軽く混ぜ,4人の観客に大体均等になるように十数枚ずつ渡します.
第1段:1人目の観客からカードの束を受け取り,それらに書かれている都道府県を記憶すると言います.演者は1枚ずつカードを見ていき記憶したと言います.カードを観客に戻してよく混ぜて貰い,1枚抜き出しそれを記憶して貰います.覚えて貰ったカードを2人目の観客に渡し,自身のカードの束に加えて混ぜて貰います.演者は,2人目の観客からカードの束を受け取り,先ほど記憶した中に含まれている都道府県を見つけると言い,カードの束を見ていきます.演者は1枚のカードを抜き出しますが,それは1人目の観客の選んだカードです.
第2段:
カードの束を2人目の観客に返し,もう一度混ぜて貰い,1枚抜き出しそれを記憶して貰います.そして,選んだカードを3人目の観客に渡しカードの束に混ぜて貰います.さらに,1人目の観客からカードの束を受け取り3人目の観客に渡し,全てを一纏めにしてよく混ぜて貰います.演者はカードの束を受け取り,表を見ていき1枚のカードを抜き出します.それが,2人目の観客の選んだカードです.
第3段:
演者は,4人目の観客の持っている束に含まれている都道府県以外は全て見たので,見ていない都道府県を言えば,4人目の観客の持っている束を当てることが出来ると言います.演者は,4人目の観客が持っている束に入っている都道府県の名前を次々と言い当てていきます.

 

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とどうふけん

 

初めて本作の実演を見たのは5年ほど前の東大でだったでしょうか。それから何度か見ているのですが、どういう仕組みなのか全く分からず。抜かれる県(当てるカード)が毎回同じならなんとなく予想も付きそうなものですが、それも毎回違うしで。ピットの"Unforgettable"ではないですが、「いや、たしかに全部見て、その瞬間に憶えれば出来はするけどさ」という理屈は立つものの、果たしてそれが可能なのかというのがずっと引っかかっていたトリックです。アルスさんがやっているのが、手品なのかテクニックなのか私には判別がつかないことがあるのと同様、齋藤さんの手品はタネのある手品なのか、それとも本当に記憶や計算を駆使しているのかがまるでわからない、という、このへんの線引が難しいのが謎を一層深めておりました。齋藤さんは聞けば間違いなく教えてくださる方だとは思うのですが、私、自分がめっちゃ不思議だと思った手品は、自分が演じることにならない限りは謎のままにしておこうという奇癖があるため、あえて聞いたりもせず、「『Lightest』の齋藤さんパートはいつ上がるんですか!私もう3ヶ月前に終わってますよ!戦争が終わっちまうぞ!」みたいなことだけを言うようにしていたのです。

 

これ、裏側の話をいきなり言うのもナンですけど、まず作ると原価的に高いそうなんですよね。プラスティック製の全部違うカードだしさもありなんですが。あと、本と違って、注文ロット数量に関わらず、原価があんまり変わらない(10個作っても100個作っても1個あたり原価がほとんど低減しない)ということでしたので、齋藤さんがご自分で演じるのに作ったやつだけで、一般販売はしないんだろうなと思って半ば諦めていたのですが、今回「作りましたよ」と聞いて飛びついた次第。「卸値でお譲りしますよ?」とは仰っていただいたものの、憧れの作品だったこともあり「いや、普通に買います」で普通に買ってやりましたよ!その日の、まだ解説書も読んでいない帰り道の雑談で、齋藤さんが「ペグ(法)を使うことで各都道府県の配置を~」(※ペグ法:記憶術の手法の一つ)とか言い出したので、「(やばい、9000円払って、タネが”ガチ記憶”だったらちょっとへこむかも)」と内心怯えながら帰宅しまして。解説書を読むわけです。ネタバレですが、ガチ記憶術ではなかったです。良かった……。良かった、というか、ものすごくクレバーな原理で。私でもできそうなよくできた仕組み。

 

第1段の「記憶術初級編」では大体10分の1くらいの当てもので、第2段の「記憶術中級編」では35分の1くらいに、第3段の「記憶術上級編」では残りの県をすべて当てていくのですが、途中途中に挟まれるギャグで雰囲気は和やかに笑いも取りつつ、天地で判別しているのでは→上下バラバラに混ぜちゃってください 裏から見て分かるのでは→カードの裏が(当然表も)見えないようにしますね のように、手品っ子が思いつく解法を丁寧に潰していくところが本当にいやらしい。「エローい!エローい!」 あとこれもサイトートリックの他2つと同様ですが、想像していたよりも演者の負担が遥かに軽い、というのが素晴らしい。うん、私、齋藤さんの台詞、「頭の中で、さっき憶えた県は赤で、いま見た県は青で塗りつぶしていってまして」って、正直半分くらい本当にそうやってるんじゃないかと信じてましたからねw 齋藤さんならできそう、みたいな。

 

本品もマジックマーケット2019の「D-7:メチャ凄サイトー」で頒布されると伺っております。1セット9千円。値段だけ見れば決して安くはありません。ただ過去に実際に演技を何度も見て、笑いつつも解法の手がかりすらつかめなかった作品なので、私は脊髄反射で買うレベルでした。ちゃんと”使える”ネタです。クロースアップでもできなくはないですが(ネタバレがあるわけではなく、単純に狭っ苦しい、というだけ)、サロンレベル以上で、10分くらいかけてこそ映えるトリックだと思います。傑作。

 

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わりと大きめ

 

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取り置きOKだそうです。

 

齋藤修三郎『Triceratops』

<【Warning!】本項は多分に提灯記事要素を含みます。>

 

齋藤修三郎『Triceratops
【現象】演者は観客に数十の単語が書かれたリストを示し、その中から単語を1つ、心のなかで選んでもらいます。そして、ひらがなが複数書かれたカードを渡し、決めた単語を作ってもらいます。演者はそれを見て、観客の決めた単語を当ててしまいます。

 

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国際特許(?)取得済みの例のアレ

さあ、やって参りました、齋藤修三郎の真骨頂、キモい当てものです。「うおおおお!」「サイトー!」「キモーイ!キモーイ!」

齋藤さんって、その能力を手品に使ってくれてるからいいですけど、よくよく考えるとだいたいのサイトーテジナは、使い方変えたら絶対、悪い占い師とか霊感商法とかですぐ使えそうなものばっかりじゃないですかね。マジ危険。トライセラトップス!ダブルバイセップス!サイドチェスト!

 

まず簡易セット。簡易セットでも80以上の言葉から、どれが選ばれたのかを当てることができます。正直これで充分不思議です(解説書にも、ショーでもない限り、普段はこの簡易セットを演じている旨が書いてあります)。数的に、トランプ1枚当てる1.6倍くらい不思議ですしね。拡張パックに至ってはその3倍、250ワードくらいの中からその1つを当てます。もう意味が分かりませんね。5デック分(しかも全部異なったもの)の中から1枚探すみたいな感じですが、もうなにもそんなの当てなくてもいいじゃないですか。素直に聞こうよ、不思議とかどうでもいいから。ラポールがあればそのくらいは聞いても教えてくれるって。

 

あと現象解説に、「決めた単語をひらがなカードで作ってもらって当てる」ってありますね。第1段は全部のひらがなカードを表向きにしてもらった状態ですから、まあ百歩譲って、頑張ればできるかもしれない気もしますが、第2段はいったんぜんぶ裏向きで、それを1枚ずつ表向きにしてもらっていきながら、最後のカードが表向きにされた直後にもう当てられるんですよ。で、第3段ともなると250ワードくらいから当てるんですよ。もうこんなの不思議の過剰防衛じゃないですか。

 

色々書きたいのですが、これは現象がまずキモい(ほぼ心に思ったものを読み取られている感があります)のもそうなんですが、仕組みが本当に見事なのです。さすが正月早々、超高級イタリアンことサイゼリヤで泣きそうになりながら作った(作者談)だけのことはあります。マジックマーケットでは多分スペース的に実演を見ることは難しかろうとは思うのですが、可能であればリクエストされると良いと思います(齋藤さんを追い込んでいくスタイル)。簡易版でもキモいです。

 

日本人向けに、それなりの時間をもたせつつ、不思議要素で襲いかかりたい方、ぜひ買うのです。買わないとやられる側になってしまうのです。それはとっても恐ろしいことだなって。マジックマーケット2019ではD-7 メチャ凄サイトー にて4000円!「安ゥい!」「安いわね!」 マジケでうっかり迷って買わずに、後日やっぱり欲しくなってショップで買うと、それはもう致し方ないことに消費税というものが8%乗ってきます。10月以降はそれが10%!400円!デックが買えちゃうレベル!これはもう当日会場で買うしかない!(取り置き予約もできるそうですが、詳細を知りませんので、分かったら追記しようかと思います)

ていうかマジでキモい現象ですが、実演にこぎつけるまではそんなに難しくないので(超上流カフェことドトールで、齋藤さんに習った私はその場でちゃんとそこそこできるようになっていました。そこそこは)、”座って見せるのがメイン”、”めっちゃ不思議な作品をお求めの方”、そう、そこのあなた!あなたは買うしかない。というか私なら買います。これは本当に。原理を知ってしびれました。

 

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取り置きOKだそうです。