教授の戯言

手品のお話とかね。

ポール・ガートナー レクチャー

T「P・GP・GP・G!ガートナーを称えよ!」(例のポーズ)
き「ど、どうしたの…?」
T「今日はなんてラブリーな日だ!うおおおお!」
いつもぽやーっとしている訳のT君がハイテンションすぎて引く。誰だきみは。

ということで3月29日、掲題ポール・ガートナーのレクチャーに参加してまいりました。ガートナーは、アメリカはピッツバーグ出身のマジシャンで、FISMでもIBMでも優勝、世界マジック大会78年 in TOKYOでは惜しくも2位ですが、まあ諸々折り紙付きにうまいです。主戦場はトレードショーで、企業ブースでマジックを行うと聞いたことがあります。IBM(マジック関係ない、会社のほう)でのトレードショーでは、代表作"Unshuffled"の最後がその企業名とスローガンになる、みたいなものもやっていたそうで。まあとにかく腕があるうえに、個人的な印象ですが、品もあるんですよね。アレなギャグを言ったりするわけでもなく、騒いだりもしない、でも盛り上がる、みたいな感じで。テンションとかで偽装しない、真の強キャラ感。あ、でも気さくでホント、とっつきやすい方です。故郷ピッツバーグの鉄鋼業にも絡む、鉄球でやるカップ&ボールがトレード・マークとして有名ですね。昨年は、Penn and Teller の番組『Fool Us』に、自身の古典トリック"Unshuffled"、それにひと工夫加えたもので挑み、見事2人をひっかけたという熱い展開もございました。これは必読です。ともあれ、終わったあとの「任務を終えてほっとしているガートナー」と「ひっかけられたのにめっちゃ嬉しそうなペンアンドテラー」というのが、実にハートウォーミングでした。凄くいい関係だなあと。

ポール・ガートナーがペン&テラーを騙すまで 第1回
ポール・ガートナーがペン&テラーを騙すまで 第2回
ポール・ガートナーがペン&テラーを騙すまで 第3回

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1.Photocopy
演者は、「見えないパーム」を見せる、と言う。自分の手のひらがコピーされた紙を見せ、折り畳んで財布の中に入れてテーブルに置く。観客にデックから1枚のカードを選んでもらい、そのカードを演者は「"見えないパーム"を使って財布の中に移動させてみせます」と言って"パーム"すると観客のカードがデックの中から消失。財布を開き、手形の紙を広げると中から観客のカードが出てくる。さらに、さっきは手のひらしか写っていなかったところにも観客のカードがコピーされている。

ゼロックス社のトレードショーのために作った手順だそうです。「見えないパーム」というキャッチーなイントロから、追加の落ちもカッコイイ。「なんで白黒なんですか!」「ボーイ、私がこれを作ったときは、カラーコピーなんかなかったからね」 



2.クラシックフォース
クラシックフォースの方法を、リカバリ方法も含めて解説。

彼のクラシックフォースのDVD持っていますが、ほんと生で見ても破綻なくうまい。「理屈は同じです」とか言いながら表向きのデックでもやるんですが、まあうまい具合に引かせちゃうんですよね。DVD見ててもうへえってなりましたが、生で見ると笑うしかないんですよね、これw 挑戦的な観客には引かせてあげないいじわるも交えたりと。



3.Bluff Aces
マジシャンは4枚のエースを取り出して裏向きにテーブル上に置くが、以降何度もあからさまに怪しい動作をし、観客が「何かしたのではないか」と思うたびに、ちゃんとエースであることを見せて何もしていないことを確認させる。最後は公明正大に4枚を裏向きにして片手で卓上に配り、その上に観客の手を置いてもらう。デックからエースではないカードを取り出すが、このカードがエースに変化。残り3枚のエースもデックの中から次々と出てくる。最後に観客の手の下の4枚を表向きにすると、エースではないカードになっている。

ややこしそうな感じですが、実際は流れるようなやり取りです。うまい具合に構成がなされていて、スイッチや確認のタイミングが非常にうまい。あとすっとぼけたキャラの人にはとてもフィットしている演技な気がします。



4.Snapping the Halves
マジシャンは1枚の銅貨を取出して弾くと、分裂するように銀貨が出現。その銀貨を弾くともう1枚の銀貨が出現。同様にして、いま出現した銀貨をこすりあわせてもう1枚の銀貨を出現させる。銅貨を片手に握ると、残りの3枚の銀貨が1枚ずつ銅貨のほうへ移動する。「実は余分なコインを使っていたのです」と言ってコインをはじいていくと、コインは次々に分裂してゆき、最終的には8枚になってしまう。

二川さんが昔の来日時の準備で笑っていたシリーズ。このひとのこういう手品は本当に好きです。問答無用感が漂う。若いときに作ったせいもあるんでしょうけど、いっちゃえ感がたまりません。



5.コインバニッシュ
複数枚のコインのラッピングについてさらっと解説。落とした時の「音」の問題をうまいこと解決する手法。



6.That's Ridiculous
テーブルに伏せたカードの下にコインが1枚ずつ移動するよくあるマジック…と思いきや、クライマックスには怒濤のようにコインが出てきて、最後には…!

もうタイトルまんま、「あほだ!このひとあほなんだ!www」と素直に思える作品。やはりコインマジックは澤さんのプッシュマンしかり、数が重要な気がします。手順構成自体はそんなに難しくはない気がするのですが、最初が一番きつい気がします。なお「いちどきにパーム出来る最高枚数は何枚なんでしょうか」という質問が挙がり結局「10枚は行けますね」という結論になっておりました。そんなにパームが必要になる手品は普通ないですけどw


7.Cups and Steel Balls
故郷ピッツバーグの特徴から、金属のボールを使ったカップ&ボール。

重みが違います!(物理) あー、幸せです。映像で見ていても良かったですが、生で見るともっと良いです。カップは強めの磁石入りで(別にチョップカップ的な使い方はしない)、鉄球が上で転がるけど落ちないくらいになっていて、ちょっとした気遣いを感じました。



8.パームについて
ワンハンドトップパームと、複数枚のパームの方法について解説。



9.Unshuffled(Fool Usバージョン)
カードを一枚選ばせる。デックの側面にUnshuffledの文字があるが、シャッフルを重ねていくと観客の選んだカードの名前になる。そして最後には…!

通常販売しているUnshuffledは観客のカードの名前になって終わりですが、上述のペンアンドテラーをFool Usで引っ掛けたときにはもう一段のクライマックスが加わっていました。それを。最前列で目を皿のようにして見ていたTくんは「わかったかもしれないです…!」とか言っていましたが、ガートナーもなんか今年商品として?売るとかなんとか仰っていたので、販売時の答え合わせを楽しみにしておきます。しかし、パーフェクトファローを連発しなきゃいけないとか、過酷な手品です。緊張等で手が震えるのはガートナーといえどあるそうなのですが、震えを強制的に止める手法なども説明されていました。割と無意識にやっている方も多そうですけれど、参考になりました。

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T君は最前列かぶりつきで見ており、私は彼の右後方にいたのですが、うしろからでも分かる頬の緩みっぷりで、ホントに会いたかったんだなあと。イベント前の彼曰く、「我が手品神は三柱おられる。Johnny Thompson、Tommy Wonder、そしてPaul Gertnerである(*Kapsは殿堂入りなのでさらに上にあるらしい)。Wonderは不幸にも病魔に斃れ、Thompsonも健康状態が思わしくなく、臣でありその祝福の子たる我は極めて心を痛めておる。そしてその最後の希望こそGertner様なのだ。分かったら入信しろコノヤロー!」とのことで、まあ「俺ベストスリーマジシャンの最後の1人にやっと会えたのでとても嬉しい」と訳しておきました。心の中で。マイ・ベストのトム・マリカは還らぬ人になってしまいましたよ……。

TAKAHIRO&三品優太朗レクチャー


3月19日に東京は中板橋ちほーで行われました、TAKAHIRO&三品優太朗レクチャーに参加してまいりました。訳の人が。以下寄稿。

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Twitterで見た頭おかしいコインマジックする人がレクチャーをするらしいということで、そんなに遠くもないし、ちょっと遊びに行ってみようということで掲題イベントに参加。事前に二川さんに「これこれこういうレクチャーがあるそうで、行こうと思います。二川さんはその日は空いてらっしゃいますか?」とお伝えしたところ、「いやあ、千葉で用事がありましてね……」「そうですか。じゃあ後日どんなだったかお知らせしますね」「いや、誰も行かないとは言ってませんよ?」「え?」みたいな感じのやりとりが。なお本当に当日、千葉の用事のあと(開会には間に合っている)で参加されてて笑いました。



会が始まる前に、場所を提供されていた小野さんという方からさらっとくそ不思議なブックテストを見せられるという洗礼を受けまして。不思議なのに「発表予定?ないよ?」とか言われました。パフォーマンスオンリー、ダメ、絶対。会場は若い方が多く、中学生からとかいらっしゃって。あと数名程度は歳が近そうな方はいましたが、基本みんな若者ばかりでビビりました。で、みんなコイン持ったまま立ってるの。しかも不思議な手品とかしてるの。やだ怖い。



レクチャーはdaisuke yoshidaさんのファシリテート、小野さんのまぜっかえしのもと、TAKAHIROさんが演技して、三品さんが演技して、TAKAHIROさんが解説して、三品さんが解説して、あと2部屋にわかれてワークショップ等、のような感じで、半日手品地獄の様相を呈しておりました。私はそんなに手品のイベントに行くわけでもなく、実はTAKAHIROさんも三品さんも初めて生で見るという「ザ・にわかファン」筆頭みたいな感じでしたが、おふたりとも方向性が全く違う感じでとても良かったです。TAKAHIROさんは感覚派というか色々な質問や指摘に対して「おお!そこはあんま考えてなかったです」とは仰っていたものの、そこを抜群の嗅覚でかぎ分けて正解の選択肢を選ばれている感じがして、オープンな感じのマジックをされるという印象。一方の三品さんは極めて王道…というよりストイックなザ・カーディシャンといった風情で、とても緻密で繊細な印象でした。仕事量が多い感じ(なのでそのままなぞるのはちょっと難しいかも)。まじめな人がまじめにカードマジックを研鑽されている感じがしました。



TAKAHIROさんコーナー:
1.コインボックス手順
2.チンカチンク(諸行無常
3.influence
4.カーテントライアンフ
のっけから例のコインアセンブリ、"諸行無常"や"カーテントライアンフ"について「今日実演やります」というだけでなく「あ、全部ちゃんと解説しますよ」とか言い出してざわざわする。主に私が。え、なんかそういうのって明かしそうで明かさない、みたいな感じじゃないんですか、マジックの人って。とここまで思いましたが、周りであんまりトリック隠す知り合いもいないな、ということに気づく。しかしなんですね、諸行無常、ナマで見るとよりかっこいいです。目の前でばんばんコインが移動するのを見てワクワクしました。第一印象「な、生でも出来るんだ……」 カーテントライアンフは「もしこうじゃなかったら私まるで分からないんですけど」の「こう」ではあったのですが、まあいい具合に動きのにおいが消されていて、それはそれで大変良くできた構成の手品だなあと思いました。

諸行無常

いやあ、なんど見てもかっこいいですねえ。。。

カーテントライアンフ



三品さんコーナー:
1.オープナー
2.エレベーターカード
3.パームオフ的なあれ
4.ハンギングカード
5.カッティングジエーセス
6.コレクターズ
7.オイルアンドウォーター
8.カードスタブ

三品さんはさっきも書きましたが、仕事量がすごく多い。緻密に組まれている上に、それぞれ前もって準備をされていくので、ご本人の演技を見ているときは気にならないのですが、解説受けてメモを取ろうとすると地獄が見えます(笑)。「おいおい。そんなことしてたんですか」みたいな。帰り道二川さんと「三品さんの手品、手順メモは追いつきませんでしたよ」「ま、ぼくもそちらもレクチャーノート買ったので復習バッチリです」みたいな会話になりましたw あと全然関係ないですが、このノート、去年のマジケで売っていたのかな?

なお反省会のときに、「カードマジックは何から入られたんですか?」と伺ったところ「べベルです」ということで、「やったぜベベラーがいた!」とかちょっとうれしくなりました。大学時代にTVで見て以来、そして彼のリセットが大好きになって以来、べベルには私もかなり強い思い入れがございまして。べベルから"沼に入った"のであれば、あのカードの扱いもちょっと納得できる、と思いました。……なぜ同じところから入ったのに私はこんなに雑なんでしょうか。

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物販はTAKAHIROさんがレクチャーノート『influence』とカードスイッチギミック、三品さんがレクチャーノート『Paranoia』を扱われておりました。そりゃあ買います。ていうかこのイベント、こんなに盛り沢山なのに参加費2000円で、レクチャラーに少しでも金を落とさないとイカンだろう感がすごくします(笑)。



ワークショップはまあちょっと要考慮というか。あれはああいう形式にするのではなく、普通に若い人たちがお二人に見せたり、見せてもらったりする、ポストレクチャー会くらいの緩さにしておいたほうがみんな楽しめたんじゃないでしょうか。別に演技を批評してもらいたい人ばかりじゃないでしょうし。わたしとかね。yoshidaさんもまじめな熱弁振るっておりましたが、みんなまじめに手品考えてるんだなあと思いました(yoshidaさんは刃牙ネタに詳しい方なので、「使用<つか>ったらいい……カネでも、サクラでも…好きなだけ…」とか「君の手品には愛がある、悲しみもある…しかし、凌辱がないでしょッッッ」とか言ってくれると思っていたのに、「動作の一貫性が」みたいな話をされてて残念です。あ、うしろは『餓狼伝』だ)。
私は「色々考えることは無駄ではないし、考えてもおくべきだが、手品というのはつまるところ現象が不思議であるか、見ていて楽しいか、これに尽きる」という思想ですので、衆人環視の中でパスをやるとか、滑らかにカウントをするとかっていうのは正直どうでもいいのですよねえ。機械のような正確性が要求される場所もありますし、大事だとは思いますが、私みたいに「喋りのやりとりのほうが楽しくない?(自分的に)」っていう人間は、そっちにあんまり行かないのですよね。スミマセン。。。

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ワークショップというかダベリ的なところで教えて頂いた、白菜さんという方の「水と油と油と油」、OWというか、マッチングカード的な趣の手品で(通常は水と油という2種4枚ずつ、みたいな感じですが、これは4種2枚ずつ、みたいなものを混ぜたのにそれぞれのペアに分かれてしまうというもの)、ご本人は「成り立ちからしてもバカ手品でして」と仰ってたのですが、あの解決法とか、私はあれかなりネオクラシックの趣があると思うんですよね。そんなに色々いじれるものでもないとは思うのですが、ものの理屈を習うのにもいい、講習にもとても向いたトリックだと思います。

あと東北大の奇術部の方に見せて頂いたラブアダブダブバニッシュは本当に大変きれいでした。二川さんとキャッキャしながら見入ってしまいまして。あの技法、正直それなりの綺麗さがあればまあそういうもんだよねと納得するたぐいの技法だと思っていましたが、彼がやるともうホントに消えたようにしか見えなくて、目からうろこでした。あれとうなぎがあればご飯3杯いけますね。上手い人はいるもので。。。

堀木智也レクチャー

ということで3月5日、堀木智也さんのレクチャー@東京に参加です。わたくし、数ある手品科目のうち、コインマジックというのは本当に関わってこなかったうえ、なんでそんな中でもよりによって「技法の極北」みたいな方のレクチャーにいったんだというお話ですが、……知るか!こっちが知りたい!なぜか参加していたのです。堀木さんとの接点というと、こっちもキルミーベイベーがそこそこ好き、くらいしかないのですが。あ、現場で「くそう!くそう!」っていうのを忘れました。どうする、折部やすな。

しかしまあ二川さんというコインマスターが近くにありながら、あまり真面目にナマのコインマジックを見たことがほとんどなかったのですが、なんですね、やっぱクソうまいですね。あと堀木さん、すごく感じの良い方ですよね。キルミーベイベー好きとか、ちょっと頭のネジが飛んでる人しかいないと思っていました。いや、そんな顔しても2期は来ませんよ!

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Air Coin
コインを扱っているようなパントマイム。いやこれが実に自然な両手の弄び動作から、いつの間にかコインが無くなってるんですよ。……ほらそこ、『お前何言ってんだよ』みたいな顔で見ない。これ最初だったんですが、いろんなことに応用がきく感じです。まあ書いたようにパントマイムなので、うまくなればなるほど、何もしてなくても勝手に観客が勘違いしてくれますので、そりゃユーティリティムーブだわ、と。



Air Coin Cut
カード当てですが、そこに至るまでに"見えない"コインが活躍します。最後に一瞬だけコインが見えるようになります。
うん、書いておいてなんですが、「なに言ってんだオメー」って感じですね。カードが当たる前後の、あると言い張っているコインが見えず、見えなくして終わったはずのコインは見えるという、なんかモヤモヤ感を残す……はっ、こざわ氏の仕業!?確かレクチャー内での名言シリーズの「だいたいこざわさんのせい」のひとつだった気がします。まったくもう。



Auto Vanish
両手の指先で摘んでいたコインが瞬間的に消えます。
最初「なにやってるんだろうこのひと」と思ったのですが、ほんとに空中に消えたように見えてびっくりしました。技法なのですがそれ単体で手品みたいです。会場の全員がコインを落としまくりです。



Finger Palm Position Pass
フィンガーパームあたりにあるコインを、親指で跳ね上げてというか滑らせるというかして飛ばす技法。
これがレクチャーで一番好きでした。私は以前ポン太・ザ・スミスさんが『SICK』でやられていた、"Winged Silver"の後段、あの音を活用した消失というか移動が大好きでして、堀木さんもこれと"False Sound Move"という技法を組み合わせておられて、またこれが自然な音がするのですよ。この技法、私はまあ片手くらいしか成功しなかったのですが、その10回か20回に一度だけ、すっと無音で飛ぶことがあり、「ああ、これは練習をすればマスターできるのだな」という気になれるのもまた良かったです。……うん、気がしただけで久々にやったらまるで見当違いの方向にしか飛びません。いやしかしこれは実に面白い技法です。



Vertical Thumb Palm Muscle Pass
サムパーム的な位置から、マッスルパスっぽい感じでコインを飛ばす技法。
ご本人が「ちと痛いですよ」というだけあって、普通に痛かったです。飛ばなくはないです。痛いのですぐに「もう、限界みてえだ……!」ってなりましたが。余談ですが、これの2週間後に別のレクチャーでお会いした二川さんが「あれは指の側面が痛いですよねえ」とか言いながらハーフダラー飛ばしていて大笑いしてしまいました。なに練習してるんでしょうか、あの人は。



Underload
4枚のカードを並べたあとでマジカルジェスチャー、下にコインが出現している。
この辺はもうヴァラリノとか昔からある感じですが、よくもまあ、音もさせないで複数枚のコインを扱えるものです。



Floating Production
カードを斜めに引っ張ってくると、その下に次々と、4枚のコインが出現している。
変な角度から見せて頂いても不思議なもので。微妙な力加減が求められますが、この出現はなにもしていない感じで凄くきれいでした。置かれてくる感じというか。



Before Matrix
コインを1枚ずつカードを使って消していき、最後消そうと思うとまた四隅にコインが出てくる。
バックファイヤー的な。コインよく知らないので表現がしづらいのですがw あとあのカードでコインをすくい上げてまた置くけど、実際はパームしていたやつとすり替えている、というのはよく見ますね。あの動作の動機がいまひとつよくわかっていないのですが。手でつまめばいいじゃないですか。かっこいいからかな。



Unexpected Assembly
コインを2箇所に分けて、それぞれカードで覆うが、理屈に合わない移動をしてしまう。
ルセロのマジックでこの現象があり、ホントになにやってるのか未だにわかっていないやつで大好きなのですが、それの堀木さんのバリエーション。個人的に他のに比べるとちょっと怪しさが出てるような気がします。ここまで綺麗にディスプレイしていたのに、諸々の都合で一部重ねた状態で置くシーンが気になったのかも。



その他、音をうまく活用する技法を数種紹介されておりましたが、"Fake Beat Move"や"4 to 1 Transpo"、特に後者が、複数枚のカシャっという音がしてとても良かったです。これとさっきのコイン飛ばすやーつを組み合わせると、解説聞いたあとでも脳が錯誤する感じ。「いや、いま技法行ったはずだけど、音がちゃんとしたし」みたいな。やはりコインマジックは小さくて見づらいので、こういう音が、それも私のやるクリックパスのような、明らかに違う音がしてしまわない音の技法は実にディセプティブでいて、それでいてあまりかっこよく使いこなしている人を見ないエリアかなと思います(※コインよく知らない個人の感想です)。



Standing Coin
コインが手のひらに垂直に立ちます。
できる、できるぞ!しかしこれは不思議ではない気がするw(不思議目的ではないのですが)



まあそんなこんなで、日本屈指のコインテクニシャンに、コインマジック新兵の私がレクチャーを受けるという豚に真珠もいいところなイベントでしたが、懇切丁寧に教えてくださり、とても楽しめました。コインもいいものですね。受けた内容としては、大体先日出たDVDと、その少しあとに出たレクチャーノートにかなり詳細に書いてくださっているので、そのへんの網羅性はかなりしっかりしていると思います。来年またレクチャーしようかなーということなので、なにかひとつくらいマスターして再チャレンジの所存です。コインを武器にスペインに殴り込んでこられるらしいのでそのへんのお土産話も楽しみです。


DVD『Sprout』


レクチャーノート Coinlang.1


初版自慢。


さておき、ブラウザの広告がもやしだらけのまま戻らないのですが、なんとかしてくださいグーグルさん。

ヨーキム・ソルバーグ・レクチャー


ということで2月24日、ヨーキムさんのレクチャー@東京に参加です。あまり新作を作りまくる人ではないのですが、ひとつひとつのマジックが、見ていてとても心地いいのが個人的な印象。演技にも嫌味がない以上に、なんかいい歳のひげのおっさんなのに、物言いとか所作がいたずらっこみたいなんですよね、ヨーキムさん。「ああ!また引っかかっちゃったよ!うー、もう一個!」みたいな流れがホント多くて。見る側の緊張を緩和させる謎の成分とかが放出されているのでしょうかw

物販は2004年の来日時の日本語レクチャーノート(大好き)や、その頃に撮った映像の3枚組DVD、95年頃に作ったビデオをDVD化したもの(ジェネラル系のとロープの)、2007年の来日時に作った技法DVD『My Favorite Controls』あたりでしたかね。基本コンプしております。イエイ。

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1. ロープの穴通し
針と糸のお話から、ロープで作った小さな輪っかにロープを入れたり入れられなかったりと。

2. 2枚のカード当て
シンプルで実用的だなあと思った次第。

3. カードアクロス
3段(2段かなあ)からなるカードアクロスなのですが、これが見事で。エスティメーションのトリックかと思いきや次々と起こる素敵な作品でした。「このあといつ加えるんだろう」「いやまさか5枚は無理だって」と思っていたものが次々覆される様は壮観でした。ていうかこのあとどころかもうすでに付け加えられたあとだったりとw こういうことをきれいにキメられると実に楽しいですね。

4. ロープ
おっと、人の注意誘導についてだけがメモってあって、何をやったのかまったく覚えていませんw あっれ。

5. スポンジボール
スポンジボール手順。ヨーキムさんのは割と短めのコンパクトな手順なのですが、ともすると手順を長く・複雑化しがちなものとして、こういったコンパクトさは見習いたいですね。というか多分このくらいが一番いいんだというのは分かっているのです。ですがw

6.コインとカードのチェンジ
だんだんこの辺からヨーキムさんの"実はマニアだよな"というのが出てくるw 

7.コインズアクロス
シェルを用いたオーソドックスなもの。いや、オーソドックスとは何かという話はありますが。

8.オイルアンドウォーター
水と油がほら、分かれるやつですよ(2ヶ月近く前なので記憶が飛んでいる)。

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2次会で、借りたデックで、適当にシャッフルさせ、適当に5つの山に分けさせ、好きな山ひとつ持ち上げさせて表向きに1枚ずつ配らせ、その中の好きな枚数目のものを憶えてもらい、山を全部好き勝手に並べ替えたものを返させて当てる、というのをやってくださったのですが不思議すぎて吐きそうでした。詠み人知らずの古典のようなものらしいのですが。後日、サークルメンバーが「あれはこうだったはず」というのを作ってきてくれてそこでも引っかかり、いやはやわっかんないもんだなあと思った次第。あとヨーキムさんは本当に気さくというか、喋ってるとみんな笑顔になってくる感じがとてもいいなあと思いました。

とがった変態的なことはしていないのですが、それもまたいい具合にわざととどめている感があります(事実、パケットを弾いて枚数を数えてるのかと思ったら、手の陰で、指でカタカタ音を立てているだけで、実際は1枚しか持っていない、とかそれはもう変態なこともレクチャー外ではやってらしたのでw)。なんというか通常のレクチャーよりも、気軽に色々聞いたり見せて頂いたりするほうが良さそうなマジシャンですね。普通にだべると面白そう、的な。