教授の戯言

手品のお話とかね。

G. Wilsonレクチャー 2/2

※前半

外国人マジシャンのレクチャーで毎度不思議なのは、英語と言う自分にとっては日本語より確実に理解しづらい言語で行われているのにも関わらず、日本人に見せてもらう時よりほぼ確実に面白いところ。滅多に会えない異国の方に見せてもらっていると言う"非日常性"がそうさせているのかとも思うのですが、パフォーマンスそのものの深さが違うんでしょうかねえ。技法やアイディア自体は、日本人でも世界で遜色のないレベルの方は何人かいらっしゃると思うのですが、今回のグレッグのようにテンション高く、観客をコントロールし、必ず笑いを入れたりオフビートまで活用したりと言うことを含め"楽しませるパフォーマンス"を行うというところは、やはり文化的・歴史的な厚みの差がなせる部分なのかもしれません。しかし、日本に来るマジシャンのレクチャーは、行く度にその人のファンになってしまうなあ…。嬉しいことですけどw

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06.コイントゥーペーパーカップ
スタバのふた付紙コップをステージ上の観客に持たせる。10円玉を取り出し、ふたの飲み口には入らないことを確認させた後、穴を左手で塞がせ、マジシャンは下からコインを叩きつけると、貫通して紙コップの中にコインが入ってしまう。

07.インサイドアウトスリーブ
スタバのスリーブにかかれた女神の目を見るようにいい、紙ナプキンで覆うとスリーブが裏返っている。もう一度やるとスリーブが消えている。カップのふたを開けると中にスリーブが入っている。


06では観客の手の置かせ方が非常に参考になりました。あとは意識の誘導方法と言うか、マジシャンがちゃんとカップを振ることでカラだという認識を与えていたりとか。

07はスタバで行う即席マジック。「スタバはマジシャンのための店」「即席マジックに必要なものが何でも揃ってる」と言うのは納得。やったことないですけど、紙ナプキンとマドラーとか、いかにも使えそうです。
"机をホットプレートと思う"というのと"抜き取る方向の理屈"も非常に理にかなっていました。ただ、inside-out / outside-in の言葉遊びはちょっと日本人には直感的には分かりづらいかもです。

なお、彼の口から何度か名前の出ましたマイケル・ウェバー氏がなんか凄いらしいので、機会があったらそちらも勉強してみたいです。



08.Garrett Thomas 「Ring thing」
人差し指にはめた指輪が一瞬で外れたり戻ったりするアレ。

指輪を借りて「あ、これ違う」とか言っていきなり壁に放り投げるバイプレイが物凄くドキッとしました。「さ、さすがにノリノリアメリカ人でもそれはやらないだろう」と言う、実に根拠の無い思いだけで「あれはフェイク…フェイクに違いない…フェイクと言ってよバーニィ」とか思っておりました。 テンポよく進む指輪の移動に、己の視覚の曖昧さを思い知りました。



09.The Backstage Pass他
「CARD STUNTS」などでも見たテクニカルなカード技法とあわせて、おそらくPHOENIX SPLITやPoint Blank(ブランクカードの中に入れたサインドかーどでのアンビシャス+もう一枚書いた演者のサインと一緒のカードになってしまうもの)などのカード演目を。

目を引いたのはやはりカードをブーメランのように飛ばして、デックでキャッチするテクニック。DVDでは勿論うまくいっていたのですが、ここは天井のやたら低い会場だったため、相当苦戦していました。二人の観客にカードを選ばせてデックに戻し、ブーメランのように飛ばして戻ってきたカードをデックでキャッチ、その刺さった部分の上下のカードが選ばれたカード、と言うのが一番ドラマチックでした。

4枚のAを次々空中から取り出すものや、ブランクデックでのアンビシャス→2枚のサインカードが一枚に、なども面白かったですが、それはどちらかと言うと普通だった気がします。

なお、The Backstage Pass(カードコントロール)がいかに簡単なのかを示すのに「これは凄く簡単なので、通訳の人でもすぐに出来ます!」とか言ってたのですが、会場の通訳といえば二川さんのため、全員で大爆笑でした。勿論私にはすぐには出来ませんw


「エアコンの風が」「太陽がまぶしくて」(ちなみに東京会場は夜開催の上、地下室のため窓も無いですw)「前列の観客の呼吸」が言い訳ベスト3とか何とか。



10.FreaKey
シルバーアンドカッパーコインの鍵バージョン。

これは何か特殊なキーホルダーなのかと思ってたのですが、ホルダーには特に触れず、ギミックキーを使ったシルバーカッパートランスポだけをやっていました。キーホルダーも活用した手順とかも見せてもらえてたら、その場で買ったかもしれないと思うんですけどね…。確かに海外のコインなどと比べても、鍵ならば持っていてもあまり不自然さは無いし、よほど暗いところでやらないのであれば視覚的にも問題なさそうなので、非常に汎用性の高いマジックだと思います。ああ、やっぱ買っとくべきだったのでしょうか…。



11.Tim Trono 「BRABDED」
観客にカードを一枚選ばせたあと後ろ手に持ってもらう。演者はライターを取り出し自分の指を軽くあぶると、火ぶくれのようになった部分が観客のカードの形("クラブ"模様と"K"など)になっている。

なんとなくこれはネタの類推が出来てしまう気がします。カードマジックと言うよりオカルト・メンタルマジックに近い印象を受けました。私は非喫煙者のためライターを使わないのと、あのギミックに適した日本のライターがひょいと手に入るのかが気になります。



12.Do as I do
壇上に上がった観客に「私と同じ行動をしてくれ」と頼んでマッチ箱を渡す。二人で何度か回したりしたあとでケースを押すと、何故か演者と違った面(演者はマッチが見える方なのに、観客はマッチが見えない方、など)が出てくる。何度かこれを繰り返すがいつの間にか演者の方の箱からマッチが消えている。

最後まで哀れな観客は私でしたよw 勿論ギミックマッチ箱を使用するのですが、やはりマッチと言う小さなものを扱う以上、6畳から8畳くらいの部屋でないと見えづらいかもしれません。


13.おまけ
更に閉会直前につかまりまして、「ほら、シャツを見てごらん」と言ってお腹あたりに手を入れられた次の瞬間、シャツから彼の指が貫通していました。すいません、素でビビりました。真上から自分のお腹を見ている私には本物に思えたのですが、どうも6th Fingerだった模様です、ドキドキ。割れた腹筋を観客に見せられなかったのだけが心残りですw 今から鍛えよう。