先週25日の『ONE DEGREE』に続き、30日には『Ready Set GuastaferrO』 『Discoveries and Deceptions』、『Seven Wonders』の日本語完訳合本『Three of a Kind』がついに出来たそうです。Tくんは最早、「週刊ガスタフェロー」祭りだぞいや!(創刊第2号の本書にて休刊予定)
販売サイトも(テキトーに)作ったのでご紹介しておきます。
本当は「教授の戯言の物販の部屋(のが連続しています)」にしようと思ったのですが、長いので止めました。『ONE DEGREE』(2010)より後のガスタフェロー作品がこれで90%くらいコンプ!(残り5%は2つか3つ、個別トリックを販売していたりしますので一応) ISBNまで取った割に、Hartlingのときより更に刷った冊数少ないとか意味が分かりませんが、売り切れ御免で早く在庫の恐怖から逃れたい模様。分かる。
念のため本書に含まれる全トリックに言及しておくべきかということで、うしろ2冊分については『Discoveries and Deceptions』 『Seven Wonders』 で触れておりますのでそちらを読んで頂くとして、ここでは残る『Ready Set GuastaferrO』(以下『RSG』)についてをご紹介します。ちなみに『RSG』は、各章から1つずつトリックを選んで演じていくだけで、ひとつのクロースアップ・マジック・ショーになるという、起承転結というか、序破急的な構成になっているのが特色です。ずぼらな人にも安心設計!
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Chapter 1 Openers
1 Invisible Opener:ごっこ遊びの最中、それら想像の品々がどこからともなく現れます。ポーカー・チップ、デック、そして輪ゴムが。
2 RWB (Red,White, and Blue) :デックの色が赤から青へと変化します。そして少々のアメリカへの愛国心で、一瞬フェイスまでもが消失して真っ白になり、完全な“赤、白、そして青”の星条旗カラーへの変化が起きるのです。
"Invisible Opener"は何も持っていない状況から、30秒くらいの間に、3人の観客にそれぞれデック・輪ゴム・チップを出現させて渡すことが出来るもので、タイトルにもかかってますが、インビジブルデックの手順を含むものです。私はレストランでのアクトはしませんが、ああいうパーティー的なところで手品するというのは大変そうだなあと読みながら思いました。あとインビジブルデックばんざい。
"RWB (Red,White, and Blue) "は基本路線は赤から青へのカラチェンなのですが、タイトル通り、作品末のバリエーションを使うと、一瞬全部ブランクデックに変わったようにも見せられる作品です。やり過ぎなんじゃないでしょうかw 「選挙の年であれば、それぞれ共和党(赤)と民主党(青)を表すということで、(中略)党派関係の変化や、イデオロギーの混ざり合いを表す、なんていうプレゼンテーションも可能ですね。」さすがアメリカ。
Chapter 2 Mysteries
3 Mr. E. Returns:1 枚のカードが演技の最中ずっとマジック・ワンド、魔法の杖として使われますが、最後にはそれが、観客が選んでサインしたカードだったことが明かされます。
4 Spectral:自由に選ばれたカードが消失、そしてもっともありえないかたちで再び出現します。
5 Centerfold:カードが予言されていて、更にそれが折り畳まれた紙の中へと飛行します。
6 Twist of Fate:3 枚のカードを使いますが、未来は予言されており、そして変化するのです。2枚のカードがそれぞれスートとバリューを表すということで、最初に観客にシャッフルしてもらったデックから2枚を抜き出し、観客にも1枚適当に選んでもらいます。最初の2枚(例えば8Dと10Cとします)で観客の1枚を挟み、偶然にもその2枚の示す通りのカード(10D)であったことを示しますが、「じゃあこの2枚の予言の位置を変えて、表すカードを別のものにしたらどうでしょうか」と言います。本当に挟まれていたカードが今度は別のもの(8C)に変わっている、というものです。
"Mr. E. Returns"は、オリジナルの"Mr. E. Takes a Stroll"よりさっぱりしていて、かつチェンジがディセプティブで好きです。サークルでも演じましたが、やはりミステリー・カード系はウケがようございました。演じている私が好きなので、愛情の差かもしれませんがw
"Spectral"もサークルで良い反応でした。15枚しか使わないのですが、そこから観客の選んだカードだけが消失し、さっきまで何もなかった2枚の間から出てくるという。かなり簡単ですが、効果的な手順だと思いました。憶えることも心配することも少ないですし。
"Center Fold"は、確かにサインドカード・トゥ・ワレットの決定版というか、無駄のない構成です。要するに、折りたたんだ紙の間に、さっきまではなかったカードがいつの間にかある、というものなのですが、別にカードじゃなくとも薄いものならなんでもOKという。お洒落なメッセージカードなんかを作って演じると、よりオシャレ感が増して、……私が演じにくくなります。オウシット。
"Twist of Fate"は、予言を後から変更することで、いま見た結果まで変わってしまう、というトリックで、これも好きです。コスキー・スイッチ不思議。「予言をこう変えたら、結果もこう変わっちゃうのさ」は大変面白いコンセプトだなと思いました。2枚だと2種の予言が限度ですが、裏の色とかも含めて3回4回変わるやつとかも出来なくもなさそうです(駄作化するニオイがプンプンしますが)。
Chapter 3 Triumphs
7 Bound to Triumph:輪ゴムが巻かれ、表裏ごちゃ混ぜだったデックが綺麗な状態に戻ります。しかも観客の手の中で、です。
8 Untouchable:観客にシャッフルをしてもらい、デックを表裏ごちゃ混ぜにカットして混ぜてもらいますが、演者が一切の介入をすることなく、カードが元通り揃います。
"Bound to Triumph"は、ほら、あの、輪ゴムで留めたデックの中から、ぬるりと観客のカードが出てくるトリックあるじゃないですか(名前忘れた)、あれを、「ごちゃまぜになった上に輪ゴムで留められたデックが、観客の手の中でひとりでに並びを戻した上に、選ばれたカードだけをぺいっと吐き出してくる」という感じにTriumphと組み合わせたもの。ちょっとだけ観客のコントロールが要求されますが、輪ゴムの強さによっては凄く気持ち悪い手品になりそう。手の中のカードが何か動くとか超キモいです。不思議ですけどw
"Untouchable"は、題名通り、いかに演者が触らないか、ということに重きを置いたTriumphとのことで、『ONE DEGREE』の"Behind-the-Back Triumph"にちょっと似ています。この作品の好きなところは、しれっと観客自身にハーフ・パスをさせるというところです。いや、勿論演者がやるようなかたちではないのですが、観客に意識させないかたちで結果的にハーフパスやらせてて、読んでて笑いましたw
Chapter 4 Multitudes
9 Inside and Out:選ばれたカードの1 枚が箱の中へ移動します。もう1 枚は溶け出すかのように箱を通り抜けてくるのです。
10 Triple Pocket Discovery:あらゆることは3 度起きる、といいます。この場合、ポケットに入れたカードは布地から溶け出し、もう1 枚のカードはポケットへと溶け込みます。そして最後のカードは心を見通す力によって見つかるのです。
"Inside and Out"は、箱大好きガスタフェローの面目躍如的なトリック。付属物を活用出来るのはいいことですね。ここで使っているコロンビニの「カードの箱でやるダルマ落とし的なやつ」は大好きです。
"Triple Pocket Discovery"は3枚のカードを当てるというか、飛び移らせる、ホーミング・カード的なトリックです。2人目と3人目のカードを言われた通りの順序で飛ばすことが出来たり、割と演じやすい作品。私もサークルにて演じましたが、普段複数人のカードを当てるようなトリックはやらないのでちょっと新鮮でした。
Chapter 5 Four-Closures
11 Assembly Line:4 人の観客が、それぞれ中ほどにジャックが埋もれた状態のパケットを持っていますが、4 枚のジャックは全てひとつのパケットのトップへと集まります。
12 Pickpocket Aces:エースが4 枚、デックの中に埋もれますが、1 枚は演者のポケットから、2枚は観客のポケットから、そして最後には1 枚のエースだけが残り、その他のデックは消えてしまいます
"Assembly Line"は、タイトル通り"組立ラインの流れ作業"のように、横1列に並ばせた4人がそれぞれ1/4くらいずつ持っているパケットに、演者がジャック1枚ずつ差し込んでいき、観客に揃えさせ、それを1人のパケットへと飛ばしてしまうトリックです。ここで使われているダローのライジング・クライム・ディスプレイは初めて知りました。あと読んだときは小難しそうだなと思ったのですが、実演見たらスタンディングであることを利用して、割とサラサラーっと進んでいくんだなという感じでした。なおこれに記載されているバリエーションで、最終的に全員のカードが、差し込んだジャック以外全部ブランクになっている、というのがあって、本人の実演でもえらいウケが良かったです。そりゃあ、キモいものなあ……、いつのまにやら自分の持っているパケットが全部真っ白になってるとかねえ……。
"Pickpocket Aces"は観客を1人、スリに仕立て上げるものです。彼はいつの間にかエースを抜き取り、演者のポケットにそのカードを飛ばしていたり、観客自身の手で観客自身のジャケットからエースを取り出してきたり、最後にはさっきまで演者が持っていたはずのデックが全部無くなっていて、演者の手には1枚だけエースが残っていたりと、やりたい放題です。
ちょっと夏を迎えるこの時期には、観客がジャケットを着用していることを期待するのが難しいですが、その服装条件さえクリアしてしまえば、技法的にもそんなに難しくなさそうですし、すっとぼけたキャラの私も演じやすい気がします。
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