教授の戯言

手品のお話とかね。

赤松洋一レクチャー

掲題イベントに参加。2010年6月27日(日)、18:40-20:50@京橋区民館。私の中で赤松さんといえば『クラシックマジック事典II』でトリックコインの解説をされていた、ですとか、関西のマニアを列挙する中で頻繁にお名前を拝見する、ですとか、そのくらいの予備知識レベルでございました。「東京には滅多に来ない」というのにくすぐられ、ついつい参加でござるの巻。関西ってハイレベルマニアが多い印象。なお今回はお一人様参加のつもりが、酒席でイベント参加の旨を喋ったところ、結局前月の百瀬さんイベントの時と同じメンバーで参加する羽目に。以下備忘までに記載するもの也。勉強しない子なので正式タイトルを存じ上げません。ご存知の方がいらっしゃれば補記コメント頂ければ幸い。総じて言えるのは「スライハンドに頼らない」。いや、CTTなど凄まじい切れ味のスライハンドもお使いになるんですが、なんでしょう、工作好きっ子をくすぐるアイディアの数々と申しますか。あとはアレです、磁石の魅力が各所にw

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#01 コインの2重のビン貫通
大瓶とその蓋、小瓶とその蓋、共に検めて小瓶の蓋を閉じ、更に大瓶の中に入れて蓋を閉じた状態で、コインが内側の小瓶へと2重の貫通。
のっけから引いた。どうしたら良いのですか、これは。会場に菅原さんがいらっしゃいましたが、お株を奪うような鮮やかなる貫通現象でした。



#02 ポーカーチップの予言
赤白青緑黄のチップを数枚ずつ取り出し、そこから1枚ずつ演者が取り上げて、箱の蓋(長サイドが5等分に線で区切られていて、それぞれに1・2・3・4・5という番号が書いてある)の陰で順序を操作。その後、観客の指示通りに残った各色チップのスタックを、蓋に書かれた1・2・3・4・5の番号の前へ移動させる。蓋を取り去ると観客の指示通りに動かした色のチップの手前に、それぞれマッチした演者のチップがある。
不思議。なのですが、「どうやるんだろう」という方向に私の頭が切り替わるのが早すぎたかも。



#03 ダイスパズル(ドロドロダイス?)
7x7(8x8?)のダイスがきっちり入った箱。中のダイスは大体が4つないし5つのダイスが連結した色々な形態のブロック(テトリスのブロック的な)で、それがパズルのように組み合わさっている。1個だけのダイスを取り出し、それ以外を入れていくが、なぜかまたきっちりとスキマ無くつまる。更にもう1個だけのダイスを取り出してから全てのブロックを組み直すがまた全てキッチリとはまり、ダイスが2個余ってしまう。
いいないいな、こういうの。こういう手品をやりたいんです、私。ちょっとパズルっぽくて、なんか考えちゃうんだけど、明らかにおかしい、でも解決策はよく分からない、みたいな。



#04 阿弥陀くじ
4本縦線の阿弥陀くじ。観客3人にそれぞれ選ばせたあと、最後に選んだ演者が勝つ。ちょうど中間部分が着脱式になっている旨を説明して、再度くじを行う。「もし勝てたら中身はあげないけど財布はあげる」と言い、また演者は最後に選択するが…。
思わぬ恐ろしいハプニングを見てしまったw 



#05 たこ焼きと鹿の錯視
たこ焼き器の写真。焼く前のカラの状態(4x5で20個の穴がある状態)で、その紙は伏せておく。それぞれ4・8・12・16・20と書かれた5枚のカードを見せ、適当に選んでもらう(例:16)。紙をひっくり返すと、20個のうち16個が焼けている。 / ノミや彫刻刀、木屑に木のパーツと、なにやら木工の途中のような卓上の写真がある。卓上に伏せておく。取り出したカード(子供の学習用トランプのような)に色々な物や生き物がある。観客に選んでもらったカードを取り出す(例:しか)。卓上の写真を裏返すとなんと…。
奇術というより錯視ですかね。後半の鹿の方はカラーであることも手伝って非常に鮮やかだった。たこ焼き器の方は、こう言うてはナンですがちょっとなあw



<解説タイム>
ポーカーチップについては、あの道具立てでやるならこうしないといけないかな、という概ねの想定通りではあったのですが、何でスタックなのかなーというのが疑問でした。解説聞いて納得。別に今作ろうと思えば1枚ずつでOKなんですね。
ダイスパズルは解説を伺って久々にワクワクした。なんだろう、箱一面にあるダイス、というビジュアル感覚を裏切っての解法。見事極まりないけれどダイスの配列が分かりません。「スベンガリ」の昔のものに解説されているそうですが、その辺までチェックしているという野島さんにその内伺ってみたい。
阿弥陀くじについては、ハプニングはともかく間近で見てもそのギミックに違和感を覚えない。裏も塗っておきたい。なんかこれうまく使って一見公明正大っぽいけど演者の思う通りに選択を誘導する阿弥陀くじボードは作ってみたい。工作好きの血が騒ぎます。



#06 ダイススルー手の甲
ダイス3つとコップを出し、コップの上に左手を伏せてかぶせ、手の甲にダイスを積んで右手で押さえるとダイスが貫通してコップに落ちる。同様に3つ貫通。
気取らない感じというかいい意味で地味に不思議。ちょっと私の座った場所が角度がやや悪かった気もしますが、正面からだとかなり綺麗に貫通しているはずだし、何よりあの落ちた時の音がいいです。この手のマジックはコインでも同じなのですが、数を確認するという名目であっても出したり入れたりがちょっと鬱陶しい気もします。連続で貫通させられれば理想的ですが、手品師側にも都合ってもんがあるのでしょうがないのですが。



#07 ダイスの増殖
「ダイスをxx個使います」と右手で振ると1つが2つに、今度は左手で振ると2つが3つに、と次々にx+1個に。7つか8つまで増殖したところで両手を合わせると最後はざらざらと大量のダイスに。
あーでたでた、こういう得体の知れない手品。大好きw もう何ていうかこういう理屈に合わない現象はたまりませんね。これコインで出来たら面白いなあ。もしくはカップアンドボールで使うニットボール。



#08 奇妙なダイス(1〜8)
大き目のダイス(バイシクルの短い辺の半分が1辺くらいの立方体)を出してきて、1の裏は通常6だが2で、更に裏返すと3、また裏返すと次が4…。6まで行って戻るのかと思いきや更には7、8となって一同唖然。
仕掛けの無いダイスでやる「一天地六外し」は(知識として)は知っておりましたが、まさかこういう方向に行くとは予想外w 休憩時間、みんなしてこれをいじるいじるw



#09 封筒を使った赤のAと黒のAの交換
4Aを取り出し、赤と黒に分ける。小さな封筒(ちょっと透ける)に黒A2枚を入れて、確かに入っていることを示すが、指先1つでダウンさ赤と黒が入れ替わる。
やられました。最初見ながら「ダレイのラストトリック?」とか思っていたら最後にどかんと。こういう視覚的な仕掛けに滅法弱いわたくし。



#10 Perfect Stop Trick(PST)(袋から)
1枚カードを選んでサインをしてもらい適当にシャッフル。大きめの封筒の口をあけてデックをばさっと中に入れた後、1枚ずつ裏向きで取り出していく。観客がストップと言わなければ演者は内ポケットにそのカードを処理していく。何枚かやった後、観客がストップといったところでカードのフェイスを見せると見事サインカード。
不思議。ストップトリックについて、大学の頃結構考えたことがあったんですが、そもそもあの辺の元ネタって松田本のなにかからインスピレーション受けていたのだろうか。きっかけの記憶がまるで無い…。


<休憩>


#11 PST(箱へ)
1枚カードを選んでサインをしてもらい適当にシャッフル。テーブルにばさばさっと乱雑に広げ、中央に何の変哲も無い上が開いた箱を置く。フェイスを見せず、一枚ずつ箱の中に落としていく。観客がストップをかけなければ箱に入れていく。何枚かやった後、観客がストップといったところでカードのフェイスを見せると見事サインカード。(←コピペ)
さすがに2枚目か3枚目でストップとかかってしまうと、不思議なんだかたまたまなんだかよく分からなくなりますねw 多分スピードにもよるでしょうが10枚弱くらいが一番不思議なんじゃないかという個人的感想。



#11 PST(パンツの左ポケットから右ポケットへ)
1枚カードを選んでサインをしてもらい適当にシャッフル。デックを全てズボンの左ポケットに入れて、フェイスを見せず、一枚ずつ右のポケットへ移していく。観客がストップをかけなければ右ポケットへ入れていく。何枚かやった後、観客がストップといったところでカードのフェイスを見せると見事サインカード。(←コピペ2)
「クロティエがやっていたのと同じだろうか」と思ったらホントにそうだったでござる。ストップトリックはやはりギミックの作成が結構な手間ですね、特にこれw 3種の内、私はこれが一番好きなのですが、こればかりはまだ作ったことがありませんです。



#12 コインスルー瓶 
コルクで栓をした瓶にコインが飛び込む。
アマーのレクチャーの際も同様のトリックを拝見しました。あの蓋をすることによる不可能性の印象づけというのは中々面白いです。



#13 Coins Through the Table(CTT)
4枚のコインが1枚ずつテーブルを貫通して下に。
とひさん「赤松さんにお会いされるならCTTをリクエストしたらいいと思いますよ」 私「え、CTTですか?今更?なんか特殊なんでしょうか」 と「いや。非常にオーソドックスです。でも至芸だと思います」 私「そ、そうなんですか?へえ。まあそれはともかく、お寿司食べようZE!」 と「こいつは…」 というようなやりとりが数日前にあったので(一部脚色)、気合入れて見ました。…不思議だ…。スミマセン、CTTなんてのは、正直なところ様式美手品の類だと思っていたのですが、いや、これはお見事でした。今まで見たCTTの中で一番綺麗だった。そして不思議。『夢のクロースアップ劇場』は8年位前に読んだような気がするのですが、「なんかアクロバティックなことするんだな」と思った程度で。でも実際に拝見すると凄く自然でかつ不思議でした。いや、とひ先生の至芸評価も納得。コイン4枚で起こす現象としては最上レベルのステキの1つだと思います。流麗とでも言うんでしょうかね。映像で欲しい。見返して定期的に萌え燃えしたい。



#14 decks, glass, and coinbox
コップの上にデックを置いて、更にその上に旧50円玉(穴が開いてない)を4枚入れたコインボックスを置く。ペンで軽く叩くとボックスとデックを貫通してコップにコインが落ちる。ボックスの中身が3枚になっているのを確認したあと同様に1枚貫通。今度はコインボックスをどけて、コインをそのまま2枚置き、それを叩くと貫通。最後はデックの上に1枚だけになったコインを叩くと貫通。
全般的に好きなトリックです。軽いタッチでぽんっと叩くとちりーんって落ちるのがチャーミング。ペンではなく木の棒とかウォンドでやったらかなりお洒落パワーアップの予感。やってみたいけれど、解説はいずこに。なお別バージョンとして、コインボックスのような"アヤシイ物"の代わりに、その辺にあるもの、ということで錠剤の蓋を使って同様の現象を起こすものも解説されていましたが、つまるところコインボックスって昔のピルケースなんじゃなかったでしたっけ?



#ex 「のみかい!」(女子高生や軽音楽部は出ない)
赤松さんに無理を申し上げて、真正面でCTTを演じて頂いた。…し・あ・わ・せ。 それはともかくテーブルとテーブルの狭間に陣取ったせいで、微妙に絡めずなんかひたすら飲み食い&注文処理をしておりました。飲み会でぼっちとかもうねw 後半菅原さんが例の輪ゴム貫通をやられており、出来るようになったつもりが原作者の演技を見るとビジュアルレベルが段違いであり己にがっかり。輪ゴムをいじりつつ菅原さんのアレをおさらいしていた時に、"右手で覆うのではなく右小指でアレを隠匿しつつ右掌を見せる"という手法を思いついたのですが、大久保さんから「まあやりたいことは分かりますが、原案を改善したとは言えませんね」と冷静なダメだし。しくしく…w しかし菅原さんのあのトリックをやっていると、慣れていないせいか左手に異常な力を込めているらしく無駄に左手が筋肉痛w あ、急いでいたからお釣りもらう前にタクシー拾っちゃった。これがいわゆるショートチェンジトリック・・・!(違)



主催のショウマンさんは毎度録画されてるからまあいいんでしょうけど、お客さん向けにレクチャーアウトラインくらいの1枚ぺらでもいいから出せばよろしいのに。理想的にはイベント用に、製本まではしなくていいから入手可能な過去解説の抜粋とか。もしくはどんな物の何号に解説載せたよ、とかのバックグラウンド情報とか。赤松さんは会の最中に結構口頭で仰ってはおられたけれど。今でもほいほい入手できるようなものばかりならともかく、そうでないものの方が多そうなのが。私だけかもしれないけれど、こういう「レクチャー」は、何がしかの冊子なり何なりが無いと中身を忘れちゃうんですよね…。メモにも限度がありますので。まあレクチャーというより、解説もするショーっていう体裁なのかもしれないですけれど。折角のイベントですし、きちんと残るようにしないと勿体無いなと思ったりしました。まあ"その場限りのライブイベント"という見方もありなのですが、私は何か残るものが欲しいなあ(思い出以外)。ほしいなー?w