教授の戯言

手品のお話とかね。

John Guastaferro「Seven Wonders」

John Guastaferroのカードトリックのレクチャーノート「Seven Wonders」。7+1トリック。年始、以前知人に勧めてもらっていたJohn GuastaferroのPenguinmagicのライブをDLして観ました。Second Storm以来のガスタフェロだったわけですが、これがまた面白くて。「では他に何か出していたっけかこの人」と思って彼のページに行ってみると、意外と色々出しており(文末参照)、かつ"1月下旬に新作出す"ということでしたので1週間ほど待ち、「久々にガスタフェロるのだぜ」とその新作ノートを購入。結論としてかなり面白かったです。英文のままだと絶対読み返さない気がして、無駄に全訳とか作って、知人に布教してみたりもしました。(私にしては)超珍しい。

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中身:
1. GPS - 裏にコンパスの絵の書かれた妙なカードが観客のカードを探し出します。最後にそのコンパスカードをひっくり返すと、観客のサイン入りカードになっているのです。
こういう、「今まで使っていたものが/置いてあったものが、実は観客のサインドカードになっている」というコンセプトからして好きです。たまりません。


2. Numerology - 極めてディセプティブな数理的原理を使い、テーブルの下で観客が選んだカードを、秘密の数字を使って見つけ出します。電話越しでも出来ます。
これ、観客が適当に決めた数字に加えて、更に演者も適当な数字を言った上で観客に操作してもらうのですが、それでも観客の選んだカードが当たるという。そのバリエーションとしてLittle White Liesというのが一緒に書いてあるのですが、「実はその表向きになるやつ、予め予言していたんだよ」→名刺めくると"スペードのクイーン"とか書いてある(当たり)→「でも全部心の中で起こったことなんだ」「(……は?何言ってんだこいつ)」→「ここには表向きになったQなんか無かったし」ぺらり→「な、ない!」→「…Qどころか全部ブランクだし」ぺらぺらり→「あ、あれ!?」→「…そもそも予言なんか書いてなかった」スッ……→「な、なんやて!」 っていう一連の流れが恰好良すぎます。10秒前まで見ていたものが全部消えていくカタルシス。 


3. Fusion Box - サインしたカードが消え、箱の中に再出現します。それだけではなく、もう1枚のサインドカードと融合してしまっているのです。
「2枚のカードは永久にひとつになったのです。……1968年という、止まった刻の中で……」ガスタフェロ厨ニじゃないのか、と思いましたが、そういう調子に訳したのは私の勝手でした。てへぺろ


4. Flip Side - テーブルホッパーwktk!選ばれたカードが消え、観客の言った枚数目からひっくり返って再出現します。
確かに準備不要だし使うのは観客の手のひらだけだしでコスパの良い、しかも即席性の高い良い手順だと思います。

5. All Four One - ジョンの"超カンタン"手順を用いた、ほぼ触らないやつ。極めて公平に観客がカードを取り除いていきますが、残った1枚がフォア・オブ・ア・カインドを完成させます。更にどんでん返し、最後にそのフォア・オブ・ア・カインドが4枚のエースに変わってしまうのです。
取り除いていくところがバノンのとあるトリックに似てるなと思ったのですが、参考部に書いてあって納得。ただ、そこも含め全体的にすごく賢いのですが、最後の示し方(バノンの昔のDVDにもある)があまり好きではない。いや、不思議ですけど、好みの問題ってだけです。最後の示しだったら全部開けてよ、的な。


6. Love Me Not - 「好き/嫌い」ゲームっぽい流れで4枚のジョーカーが4枚のクイーンに変わります。ジョンのペタルカウント・ディスプレイは超ディセプティブ、だが簡単だ。
ペタルカウント・ディスプレイ面白い。パケットが何枚あっても2枚しか見せてないという。ただ問題は私がパケッターではないということですw リアン・モンティの改案(最終的に観客が思い浮かべた人の名前が予言される)は、出来たらこれ以上ないくらいキモイと思います。


7. Gemini Squared - ジョンがGemini Predictionを発表してから10年、こいつはそんだけ待った甲斐があったってもんよ。ムーブ無しでオリジナルのパワーはそのままさ。二人の観客が適当に4箇所、名刺をさし込む。その裏にはそれぞれマッチするカードが予言されていた。だがそいつは始まりに過ぎなかったのだぜ!
Gemini Twins系。バノンのTrait Secretsより簡単な気がしました。ライブでは海外の観光名所の絵葉書を使ったプレゼンにしていてなかなかおしゃれで。サロンでも通用する感じですね。最後にブランクデックになるオチも付けられます。つけなくても十分不思議ですが。


BONUS ROUTINE
Mix & Match - この2段の手順はパーソナリティを題材に、面白いシャッフル・デモンストレーションのオープニング、ピーク・コントロールを使う。4人の観客が混ぜたあとのデックで、対象のカードをコントロールするのだ。こいつは不思議だ!
演出例に重きをおいているけれど、これは確かに真理ではあります。曰く、「相手のカードが何か、どこにあるのか分かれば、あとはもうやりたい放題ですよアナタ!」そりゃそうよねw シャッフルをパーソナリティ診断に結びつける演出はよく出来てると思いました。ピーク方法も極めてディセプティブで、気付かれる気がしません。いわゆる「もう何も怖くない!」です。

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知人から「ガスタフェロ、多作じゃないですか。なので特に追ってないです」と言われ、「いや別に多作ではないだろう」と思って調べてみた結果、100トリックくらいは作ってました。もっとも、10年以上というスパンで見ればそこまで頻繁に作っているわけではない、という気はしますが。2003と2007頃に2枚ずつDVD出している以外はレクチャーノートがメインと、昨今のマジシャンではちょっと珍しい感じがします。年間最低60トリックとか作っているのはポール・ゴードンと野島先生くらいしか存じ上げませんw

Second Storm eBookG Notes eBookについては、大体DVD「Brain Storm」と「Second Storm」に入っているっぽいので取り敢えず購入を見送りました。READY, SET, GuastaferrO eBookについては既に購入&全訳済み。Discoveries & Deceptionsは注文済みなので、これも届いたら折角なので訳してみようと思っております。ハードカバーのOne Degreeは持っているのですが、中身殆ど読んでいない&ばらして電子化をしていない、だって割と高かったのだもの(50ドル)という感じであります。以前One Degreeに載っているトリックを二川さんが演じていてかなり面白いと思いましたし、ネットでの書評を見ると近年稀に見る名著、とかあったので、いつかちゃんと読んだりしたいと思いました。



◆LECTURE NOTES
2005 - Second Storm eBook 買ってない
2008 - G Notes eBook 買ってない
2012 - READY, SET, GuastaferrO eBook 買った・訳済
2013 - Discoveries & Deceptions 買った・未読
2014 - Seven Wonders 買った・訳済

◆HARDCOVER BOOK
2010, One Degree, Vanishing Inc., authored by John Guastaferro 買った・未読(に等しい)

◆DVDs
2003, Brainstorm DVD vol. 1 & 2, John Guastaferro, L&L Publishing 買った・見た
2007, Second Storm DVD vol. 1 & 2, John Guastaferro, L&L Publishing 買った・見た

(提供)
2013, Big Blind Media, Ultimate Self-Working Card Tricks, vol. 2
2013, L&L World's Greatest Magic (Packet Tricks)
2007, L&L World's Greatest Magic (McDonalds Aces)
2007, L&L World's Greatest Magic (Business Cards)