教授の戯言

手品のお話とかね。

トライアングルホール

ディーンズ・ボックス、という、先ごろ亡くなったディーン・ディルの代表作(何故か主に日本でバカウケ。ディル本人が困惑するくらい)があるわけですが、ちゃんとしたものは大きくて重くてあとちょっとお値段もするわけです。それでいて、みんなが注目するその箱にはそこまでギミックらしいギミックはない(無いとは言わないがほぼ使わなくても演技は出来る)というのがまた素敵なところなのですが。

つまるところあれは箱のマジックではなく、紐・ロープのマジックなわけでして、箱無しの同様の現象もこういうのがあるわけです。
『ENCLAVOR and LIBERATOR』


んで、上記の「箱?俺の手だ!」ほどではないにしろ、「やっぱ箱重いしかさばるし。でもあの手品面白いしどうしたら。神よ!」という人はやはりいるようで、それに対して「Xロープとαリング」みたいなのがあったようなのですが絶版でShit!確か金沢のCULLさんも折りたたみ式のこういうのを考案・演じておられたと伺っていますが詳細不明。


で、前置き長いんですけど、箱(6面)→屏風(2面)ときて、これはついにボード1枚(1面)という、最も簡略なやつ「トライアングル・ホール」を買いまして。いや、前からあるにはあったのですかね。何箇所かで実演してみて、軽くて割と時間ももつし、ウケも良かったので書いておく次第。

要するに、絡むはずのない2本が絡んだり、絡んでいた2本が外れたり。結んで端を閉じ、輪っかにした状態の紐にプラスティックの小さな輪っかが通ってしまったりと、まあそういう手品です。輪っかが小さいので、サロンというよりクロースアップでもいいのかなとは思いますが。道具は仕掛けがないので、死ぬほど検めてもらえます。

なお2度目に演じたとき、「後ろどうなってんだよ―」と最前列のおじさまが仰るので、プロセス途中で堂々と見せてみましたが、大丈夫でした。うん、3秒か5秒見せたところで、紐がどう絡んでいるかなど分かりゃしないのですね。(慢心) なんたって、演者が見ても、一瞬では分かっていませんからね!(愚鈍)

あまりにも道具立てがシンプルなので、横にクリップを付けておくとか、裏に変なシール貼っておくとか、怪しいポイントを増やしてあげた方がお客さんの意識をそっちに向けられていいかもなーとか思いましたが、別に対応はしておりません。そのままで十分ですかね。



難点は2点あるかと思っていて、ひとつは穴の縁が鋭いので、ロープというか紐のような滑らかでないものを引っ張るとバリバリいって、どんどん毛羽立ってきちゃう点。熱したドライバーのシャフト部分でちょっとだけ溶かしたり、カッターで削ったりしてみましたけど。
そしてもうひとつは、誰に見せても言われる「うわ、どうしたの!?なんかよく分からんけどだっさ!」なボードの図柄。いっそ無地か幾何学模様のパターンにしてくれた方が良かったな、というところですね。しかし一体何なんだこの歯車的小宇宙ちっくな絵……。