教授の戯言

手品のお話とかね。

ショウヘイヘーイ

▼まさかコードギアスのギルフォード卿の中の人が「ショウヘイヘーイ!」ボイスの人だったとは。1秒のいびき演技だけで「巻島直樹!」とか言い当てられる私も気づかなんだ。いやはや、未熟も未熟…。

                                                                      • -

▼頻繁に拝読している某手品ブログのコメント欄が、マジックカフェとか2chみたいな流れ(レス応酬具合が)になってて、管理人さんお気の毒にと思いつつ傍目からはちょっと面白かったです、すいません。
「原案以上の検めが要るか要らないか、その範囲」で、管理人さんは(特にこのトリックについて言えば)"わざわざ検めを行う必要はないと思う"派で、A氏は"これには検め必須でしょ"派。
当初は、非常に穏当な流れでしたが、A氏がちょっとずれてきたといいますか、だんだん「このトリックで検めをしない管理人氏(の感覚)はちょっとおかしくないか」的な論調に。Aさんの思想信条は理解できるのですが、管理人さんはずっと「私は(このトリックについては)特に検め不要だと思っている」と、ご自分の考えを仰っているだけなんだし、ナニユエそこを黙って許容できないのかが今の僕には理解できないアンインストール♪ いや、もしかすると管理人さんが検めをしないとAさんは困る立場の方なのかもしれないですけど。ほら、家族が人質にとられているとかですよ。…どんな状況だ。

「追われてないのに逃げてはいけない」、という格言がありますがまさにそれで、そこから一歩進んで「追われないようにしておく」とか「追われたら逃げ切れるようにしておく」というA氏の主張も実に妥当だと思います。さらに強化するのであれば「追われた際には返り討ちにできるようにしておく」形とか。最後のはマジシャンが観客をやり込めてどうするんだという話ですがw 

想像するに、彼は手品に対して凄くまじめで、怪しい箇所にきちんと論理的説得性というか工夫を用意したい欲求があるのでしょう。加えて工夫した検めをきちんと"見せたい"人のようにも見受けられます。…まあ普通、工夫したら見せたいものなあ…。ただ、そこをぐっとこらえて隠し、必要な時だけ出せばいいんじゃないの、というのが私の感想ですが。「秘すれば花」とか。いずれにせよ、書き方はともかく、それがかわされたからといって、別にカチンとくる必要もないんだと思います。あのトリックについては、演出や演技順番によってはそのままでも別にいいとは思うのですが、"改善の余地"自体は私も確実にありそうな気はしていますし。繰り返しになりますが、彼が序盤に言ってる事自体は全くもって妥当だと思います。後半はやはり少しヘンだとは思いますが。


▼で…、ここまで書いておいてなんなんですが。
ACANだのOWだのが大好きと言う私からしても、極論してしまえば検めするしない以前に、別にカードの枚数目だのフェイスの内容だのが当たったからって、脳天ぶん殴られたようなショックを感じる人ってあまり多くないと思いますけど、どうでしょうか。大多数の人にとっては手品って「へえ、不思議だなあ」「どうなってんだろう」「おお、おもしろいね!」くらいの反応が妥当なんじゃないでしょうか(L&Lとテクニカルなあれの観客は別)。ああいうのに「!?なぜだ!…あの原理を使っているのか…?」「いやいや、まてよ?アレか…?むう」とか思っちゃうのは逆に手品マニア目線に多い気がする。いや、私はそういうのが好きだからこそ、今でも手品好きをやってるのかもしれませんけど。でもトリックに対する視線自体は非手品人であるに越したことはないと思います。娯楽という特性を考えれば、その辺は当然の事項ですが。

ぶっちゃけ、"特定企業の株価乱高下"とか、"一日の馬券の3連単を全部予言する"ことに比べたら、そのへんの手品の現象なんて大した不思議ではありません。別にそれは悪いことでもなんでもなく、日常の中にある地味な違和感(しかも別に生活の役には立たない方が好き)を楽しむことこそが手品の楽しさだと思っています。
"あらゆる要望に応えられ"て、"検めが可能"で、しかも"怪しさのかけらもない"などという魔法状態に近づけば近づくほど、それは逆に面白くはなくなっていくんじゃないでしょうかねえ(ていうかそんな状態は、…ちょっと怖いし)。何の話でしたっけ。そう、みんな仲良くしようね、とw


▼検めの根本の話になりますが、"バーノンのパームの話"を引き合いに出すまでもなく、手品なんてある程度行儀のいい人相手じゃなきゃ成立しません。いくらノンギミックだったり検めを用意してても、ワンステップごとに腕つかまれてポケットをはじめとしたあらゆる箇所のボディチェックされカードをめくられたりした日には、ねえ。"超能力かどうかを確かめる実験"レベルとか"イカサマを見破るための検め"レベルの強制的チェック、…想像するだに怖いなあ…。私はそういう場面で手品なんか絶対無理。そもそも手品はそういう事態を前提に考えるべき娯楽じゃないですしね。
今回遭遇したやりとりについても、「観客の疑念を晴らせる、もしくは晴らしたほうがいい場面を想像できるならそれに対する対策を考えておく」、「その対策(例えば検めとか)を採用するかは個々人の判断やキャラクター、演じ方に依存する」という、ごく当たり前の主張だけ抜き出せば、何も問題ないのにな。という自分の脳内整理。


▼しかしいいコンセプトのマジックはみんな改案を考えてみたくなるんですねえ。ちなみに私ならスリット無しの封筒を使いますかね。あとデュプリケートカードを使って、枚数目予言については1パターンに集約。とまあ、かくもいじり甲斐がある作品なんですよ、あれはw こういう試行錯誤を繰り返すのも贅沢な楽しみです。