教授の戯言

手品のお話とかね。

G. Wilsonレクチャー 1/2

ということで参加してまいりました、掲題「グレゴリー・ウィルソン」レクチャー in 東京。フィッシャー以来実に10ヶ月ぶりくらいに海外プロの生マジックを拝見です。いや。もう。いじられまくりましたw ものすんごく楽しかったなあ。レクチャーどころか、マジックで、いや実生活でもあんなにいじられたの初めてじゃなかろうか。2時間半に亘って非常にたくさんのマジックを見せて頂きました。トッププロの力をまざまざと見せ付けられた思いです。目の前で見てるのにまるでつかめません。彼も言っていましたが「遠くから全体を把握すると見えるんだけど、逆に舞台に上がってもらった人とかには、近すぎて見えません」ということでもあるんですけど。

強いて挙げると、ストリートないしアメリカ文化なのか観客いじりが結構強いので、そこが若干マイナスポイントかもしれません。万札返ってくるのかちょっとどきどきしちゃいましたよ。もっとも他のDVDでそこまで強く&しつこく観客をいじってるシーンも見ないので、やらないでいようと思えば出来るんでしょうけれども。あとやっぱグレッグでかいです。身長は180センチ台半ばくらいだと思うのですが、分厚くていい手してましたなあ。

以下、便宜上タイトルをつけていますが、大体は正式タイトルではなく、現象から私が適当につけただけです。なお毎回マジシャンのレクチャーのたびに無駄に詳細な備忘録を作成する私ですが、今回は諸般の事情であまりメモが取れなかったです(現象が速いのでメモとる余裕が無かったのと、頻繁に舞台にあげられていたため)。さらに言うと書いててなんか順番がおかしいことに気づきましたw ですので、私の20くらいある特殊能力のうち、意識した現象を寸分違わず思い出せる"写真記憶"を駆使して、約150分のレクチャーを記憶遡行をしながら少しずつ直していきます。

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01.Chip on shoulder(これはそういうタイトル)
舞台に上げた観客に何も持っていない両手を示し、空中からコインを取り出すゼスチャーをすると左手の甲の上にチップ(カジノで使うあれです)出現。もう一度ギャグを交えて同じようなことをするが、今度は本当に消失、いつのまにか舞台に上がった観客の左肩の上にチップが。これを再度やったあとまたいつの間にか右肩に。次にコインパースが必要な旨を伝えられるがこれも気がつくと左肩に乗っている。

これ、舞台に上げられた観客以外には丸わかりという感じです。スライディーニの紙玉コメディとかと同じく、翻弄されるお手伝いさんも観客の笑いの一因という感じです。問題は・・・舞台に上がった、憐れなお手伝いの観客が、私だったってところですかね!
もう何と申しますか、皆さんもご経験あると思うんですけど、DVDとかでこういうの見て「これはさすがに引っかからないよ、私は。つーかこの人激しく鈍いんじゃないの?」とか感じたりしたことがあると思うんですよ。引っかかりますから、ホントに。私が騙されやすいのは別にしても。近すぎると本当に分かりません。皆が思わず笑っちゃうくらいに鮮やかに引っかかっており、もうなんていい観客なんだろう私w …ああ、素ですよ!黙りなさい、もうw

なおこの演目、レクチャー途中に入室してきた方達に対してもれなく行われましたが、ミスディレクションを絡めた彼の絶妙タイミングの演技で、皆一様に幻惑されていました。

あと「どういうタイミングで手品を始めるか」についての例で、「待ちます。適切なタイミングがくるまでやらないで待ちます。間違ってもこうやって"さあ手品見やがれ!"とかはダメです」という流れだったのですが、生まれてはじめて外人さんに胸座掴まれて揺らされる体験をしましたw やられる方が力入れてないとホントに頭がぶんぶん揺れるんですね、アレ。絶対伝わらない例えで言いますと、OVA炎のらびりんす」上巻にて、ドーピング忍者・カスミに詰問される夏姫のよーな状態(写真参照)です。掴まれてる位置が違いますが。



02.Pitch & Ditch
何枚かのコインを取り出し、好きなものを選ばせる。それを右手に持って放り投げると大きなコイン(といってもワンダラーですが)になって落ちてくる。

パンツポケットをトピットのように利用するのですが、視線誘導が巧みすぎる。正直、解説の時もよく分からず、何度か繰り返されてようやく理解できました。右手で示した100円玉が放り投げた途端にワンダラーサイズになってて、100円は忽然と消えうせているのですが、あんなに堂々と処理が行われているとは思わなかった。
なお、解説時にステージ上のサポート観客の方の肩に、またあのチップを乗せていました。などと客観的に書いていますが、実はこれの前に、私の肩にまたもやチップが乗せられていたりしたので、もうどうしようもございません。ええ、気づきませんでしたよ、勿論。気づきませんでしたけど、それがなにかw(CV:神谷浩史)

ちなみにこれのレクチャーの時にステージ上に上げた方の腕時計をスリ取っていました。まるで気づかなかった…。



03.コインフロムジエア
やはり観客を舞台にあげて、コインを扱い始める。また肩に乗せるのかと思いきや、消失し、上空からコインが落ちてくる。

原理はよく知っていましたが、あんなにうまくやる人はじめてみました。あの落すときの動きと、落とした直後の頭の位置、手を添えておく理由など、非常に勉強になりました。
余談ですが、彼は観客に名前を聞きはするんですが、「xxです」と名乗っても「OK!ハイ、スージー!」などと、実質なんも聞いちゃいねーので、そういうギャグが大好きな私にはもうそれだけで面白かったです。ちなみに男性は誰でも"Bob"扱いでしたw 最後にコインではなく、家の鍵に変化させたりしてまたひと笑いさせて頂きました。



04.ペンとキャップ
欧米でよく見かけるちゃっちいボールペンを取り出し、ペン先がどっちを向いているかを観客に問うが、観客はなんどやっても当てることが出来ない。何度か繰り返し、今度はペンとキャップをばらし、それぞれが思わぬ移動を繰り返す第二段。最後は全て渡して検め可能。

グレッグ本人が「ギミックと解説DVDのセット、100個持ってきたんだけどもう残ってなくて」、といってましたが納得。これは見せられたら絶対欲しくなります。原理自体は非常に単純ですが、彼の見せ方は本当にうまい。うまいというか途中で頭がこんがらがってしまい、どっち指しても外れるような気がしてきておりました。近々二川さんのショップに再入荷するとのことでしたので、入荷したら購入し、是非ともマスターしたいと思います。これはマストバイ。いや、皆さんはどうか存じませんけども、少なくとも私はhave toではなくmustで。角度の強さにもよだれが出そうです。彼いわく "You can show this in all surrounded (situation)" すなわち、全包囲状況でも出来る、とのことで、実際に解説しつつ回転してくれましたが、本当に見えませんでした。もちろん手の大きさや指の太さが関係する箇所なのでこれが絶対ではないのですが、確かに角度にも強そう。
なお私はここで二回「さあ、どっちにペン先向いてる?」に誤答し、2万円取られてました(勿論あとで返してもらいましたけど。これはちょっと不安になりますよw)。

第二段の"スライハンドとミスディレクションだけでペンとキャップが出たり消えたりする"のもとても綺麗でした。

 

05.Foreign Affair(これはそういうタイトル)
1ドル札を取り出し、折り畳んでいく度に米→豪→欧→美→日 と、5段階くらい変わっていく。札を検めさせたあと札をくるくる巻いてコーンにすると、中からサムチがw


ビルチェンジ大好きっ子として、この類も押さえてはいました。が、ラストの「普通ここに注目するけど」といって、札の検めがてら見せられた親指部分には、あるべきアレは無くてそこで驚きました。もちろん視線が誘導されたほんの1秒程度の間に処理というか安全な場所に保持されているのですが、これがまた憎いほど検めてる当事者には分からないんですよ。ええ、札を検めてたのは何を隠そう私ですw これのちょっと前の演技中で、私は彼に罰符で万札二枚とられているので、そのうちの一枚なんですけど、まさかこんな活用をされてしまうとは。
ラストの札からサムチップが出てくるのは、マジックサークルの集いというのを承知でやってくれているルーティーンだと思うのですが、それはそれでご愛嬌ってことで。むしろ普通のお客さんにやるのは絶対にありえませんけど。破れにくい紙で出来ているので、繰り返し演技してもOKとのこと。



06.コイントゥーペーパーカップ
スタバのふた付紙コップをステージ上の観客に持たせる。10円玉を取り出し、ふたの飲み口には入らないことを確認させた後、穴を左手で塞がせ、マジシャンは下からコインを叩きつけると、貫通して紙コップの中にコインが入ってしまう。


「俺はスタバを愛してるし、スタバも俺を愛している」「普段から多額の金をスタバに支払ってきている」「スタバの道具はマジシャンのために作られている」など、のっけから名言連発の演技w 解説は休憩後ということで前半では演技のみでした。

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※なお今回の会場で販売物として扱っていたのは記憶にある限り以下。

・レクチャーノート2冊(二川さんのお店で扱うと思います)
DVDには解説していないものを中心に掲載しているとのこと。なお彼のレクチャーノートは、色々な場所で実際に演技をし、実証・好評を得た作品だけしか載せてないということですが、普通はそうじゃないのかと思いました。が、あとで別の知人に聞いてみると実際問題"アイディアベース"でもレクチャーノートは書けてしまうので、一般的なレクチャーノートでは必ずしも、そういう"観客とのやり取り"で磨かれてきた作品ばかりでもないとのことでした。まあそりゃそうでしょうけどもちょっと複雑…。

・DVD「Double Take」
ダブルリフトが26種類解説されている、本人いわく「全部マスターする必要は無くて、いわばお気に入りを探すメニューみたいなもの」です。

・DVD「CARD STUNTS」
マジックキャッスルにて演技。カードマジックのDVD。持ってますが難度は総じて高い(と思います)。あと、私の英語力という最弱の矛と、彼のスピーディーなイングリッシュトークという強い盾がぶつかり合うと・・・どうなるか分かりますね?w

・DVD「Pyrotechnic Pasteboards」
これは持ってないのですが、やはりマジックキャッスルで行われたカードマジックのDVDとのこと。FISMでのルーティーンも入っているとか。

・「In Action Volume Vol.1」 「Vol.2」 「Vol.3」

今回は買っていませんが、ツアー終わって二川さんが在庫を残していらっしゃったら買おうかとは思います。即席系がメインのDVDとのこと。グレッグいわく「3本で6時間あるので、上記二つで大丈夫でも、これにはさすがにうんざりすると思うよ!」って、売りたいのか売りたくないのかw

・DVD「On the Spot」
"持ってるつもりだが、その実一回見たことがあるだけだった"、即席系マジックの中でも伝説の1枚。また見たいものです。
通常、マジックのDVD(VHS含む)というと1,000枚くらいがまあそこそこいい感じで、3〜5,000枚売れるとこれはもう大ヒットらしいのですが、これは発売以来全世界で30,000本以上売れているらしい。どんだけみんな街角手品が好きなんだ。つーか「絶望先生」だったら第3期が始まってしまいますよ!むしろ始まれ! 私見ですが、ストリートで行える映像レクチャーの先駆けのような一品なので、この人気もむべなるかなと言う気はします。あと彼、ホントにうまいですしね。それはともかく、何人が"3/4アクロス"からこのDVDに挫折したんだろうなあ(含む私)。

・Tim Trono DVD「BRABDED」
後述しますが、指先の火ぶくれでカードあてをするもの。この現象を自分でやろうとも思わなかったので特に詳細を知らないのですが、「Pyro Perception」と何か違うのかな。
ちなみに"Brand"は家畜や罪人に押す烙印・焼印(ないしその行為)のことで、所有や処遇を表す点から転じて、いわゆる"ブランド品"などで使う"銘柄"や"価値ある名称"のようなものを表すようになったと言われております。更に追加すると、こういう知識を合コンとかで得意げに披露すると明らかに場のテンションが下がるんだ。だからうかつに言っちゃダメだぞ。

・「Foreign Affair 」
お札が何度も変化する上記のギミックです。破れない仕様の紙でギミックを作ってあるとのことでした。正統派でいえば日本の和紙のお札は丈夫っぷりが半端ないですよね。後は海外のプラスチック使ってるやつとかも丈夫。それはそれで丈夫はともかく折りづらい(すぐ元に戻ろうとする復元性が高い)のでちょっと微妙ですけど…。あとどうしてドル札はあんなに異臭がするのですか。なおやはりテキトーといいますか、中国のお札、と称している部分に何故かカタカナが印字されているのが気になりまくりです。誰か突っ込んであげてRev.2の製作を促してくださいw

・あと名前見てなかったのですが、キーホルダーとキー付のDVD。(後日追加。「FreaKey」とのこと。Beeさんご指摘ありがとうございました。)
キーホルダーの使い方さえうまくやってくれれば買いたかったのですが、会の後半、現場でやってくれたのは、ホルダーをまるで使わない手順でした。惜しい。ただ、あのギミック単体は普通のショップでも間違いなく扱わない気もしますし、やっぱ買っとけば良かったかなあ…。


<後半に続く>