教授の戯言

手品のお話とかね。

アイディアワールド Vol.5

■ ヒロサカイ「アイディアワールド Vol.5」

とあるツテで拝見。コストパフォーマンスがいいDVDだと思いました。もうひとつくらいカードとかコインじゃない奴が入ってたら単巻としてより良かったかなとは思うのですが、これでも十分元は取れる気がいたします。ヒロサカイさんはストリートや舞台でのパフォーマーとしても好きなのですが、やはりクロースアップをされている時が一番好きです。
それはそれとして、彼はナニユエにデックをディックというのだろうかという、本筋とは全く関係のない疑問。

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・アブ・ドリンク:
折り畳まれた紙袋の上にウーロン茶とトマトジュースのペットボトルが置いてある。観客の選んだペットボトルのラベルをまるめて空のグラスに入れ、グラスを紙袋に入れて振ると、ウーロン茶の入ったグラスが出てくる。紙袋は丸めてポイ。

いずれのステップも特に目新しいものではありませんが、安定して出来そうなトリックではあります。んが、"折り畳んだ紙袋から普通にボトルだのなんだのを取り出し"ても効果はあまり変わらないのではないかと思ったりもしました。やはり「自分の選んだ方の飲み物」が紙袋の中からコップに入った状態で出てくる方が不思議なんですかね。



・サンセット・クライマー:
4枚のKをディスプレイしたあとデックをスプレッドし、4枚の裏向きのKをバラバラの位置に入れていくが、全部トップに移動する。

これで使われるアディション技法は昔から大好きでした。発覚(したことを面と向かって突っ込まれた)経験は無いのですが、本当に発覚していないのかは今でも不安だったりします。



・サンドイッチ・トランスポII:
観客aに選んでもらったカードを裏向きのままデックの真ん中に挿しておく。別に用意しておいたJQK3枚の中から観客bに一枚選んでもらい(Q)、それを同じくよけておいたA2枚の間に挟む。残ったJKと一緒にして卓上に置くが、先ほどデックから突き出していたカードを見るとなぜかQに、Aに挟んでおいたカードを見ると、いつのまにか観客aの選んだカードになっている。

これは不思議。レギュラーだけでできるトランスポジション現象です。サンセット・クライマーの時と同じようなコントロールを使うのですが、3回見ても分かりませんでした。スチールが非常に巧みと思った次第。これ、左右の角度は大丈夫なのだろうか。



・ブルー・プリディクションα:
二組のカードを使った予言・一致現象。青のケースの上に一枚予言の青カードを置いたあと、スプレッドした赤カードの中から一枚選んでもらう。それが一致している。

もう少し時間的には引っ張るのかと思ったら、あっさり一致してしまい余計にびっくりしました。「…あれ、一致しちゃったよ」という。演技時間は1分未満。
ギミックを使うバージョンと使わないバージョンがあり、これはギミックを使うタイプなのですが、レギュラーデックでやってもあまり効果は損ねないと思います。最後のカード処理方法は無駄が無くてグーでした。



・カット・アップ:
お札を2つに折り、小さな紙で折り目をはさんだあと、折り目にカッターナイフを突き刺して切っていく。が、大方の予想通りキレテナーイ。

これ、"シンプルでダイレクト"という風にショップの紹介では書かれているのですが、…ダイレクトですかねえ。そこそこの工作を要すのですが。勿論技術的難度としては低いと思いますし、一回作れば何度も使えるはずなのですが、自分でやるかと言われると、ちょっと好みでは無かったです。



・しんぱいしてくるでっく:
赤、青デックの2組で織り成す共鳴現象。
(第一段) 青デックを取り出し、表向きで一枚選んでもらった後(7H)、それだけを表向きのまま中ほどに差し込み、ケースにしまう。青ケースで赤ケースに触れ「影響を受ける」旨を伝えて、赤デックを取り出すと真ん中辺りに一枚表向きの7Hが。一致している旨を示す。
(第二段) 赤デックから一枚選んでもらい(AH)、それだけを表向きで半分突き出したまま赤ケースの上に置いておく。「影響を受ける」旨を再度話し、青デックを取り出して広げていくと表向きのAHが表れる。先程と同じく表向きにAHをディスプレイするが、裏を見てみるとそれぞれ相手方のバックの色になっている。

「氏らしい解決で、やさしいのに客受け満点!」と、紹介文にはあるのですが果たしてこれはやさしいのだろうか。いや、決して変態的な技術を要するわけではありませんし、客受けは間違いないところなのですが。
視覚的な錯覚への訴えかけぶりは凄いです。解説を聞いてなお、その部分に全く違和感を覚えない私。ケースの色と違うカードが入っているのはよく見かけますが、これは完全に虚を衝かれました。角度がやや心配です。あととある原理から、賭博破戒録を思い出しました。



・マユ・マーブル:
サインした10円玉とマーブルチョコの底板とが入れ替わる。封を切って中のチョコレートは全部出せるが、サインされた10円は中に引っかかったまま。

物凄く不思議だった。観客の手の上でのチェンジもそうですが、あの筒の中にサインしたコインがいつの間にか入ってて、しかも出てこないと来たら、あなた。諸般の事情でシェイプアップ中なのでマーブルチョコを多用するマジックはしばらくやれないとは思いますが、これはトリとして持ってくるに相応しい不思議さでした。しかも原価がマーブルチョコ+10円とはw パーティーとかでやってみたい、おしゃれマジックです。私のように「結婚式の二次会でSAWをやってみようかな」とかいう、ナニやら間違ってしまっているアレな人を嗜めるのにもオススメしたい。勝手なイメージですが、破ったトランプを元に戻した上に折り目を消しちゃう例の"昔洗濯屋だった"という方が、TVスペシャルなどでおやりになると凄くはまりそう。ていうかもう既にやっててもおかしくは無いんじゃないかという気がしてきました。