教授の戯言

手品のお話とかね。

Pandora's Lock

演者は名刺大の重厚な錠前を見せます。ある鍵でちゃんと開くことを示したあと、他の4本の鍵と混ぜてしまい、4人の観客にそれぞれ1本ずつ鍵を取らせて開くかどうか試してもらいますが開きません。最後に残った鍵を演者が使うと錠が開きます。


ギミック錠と、鍵5本、鍵を立てておくための木製の台が1つ付きます。各鍵には違った色のゴムというかシリコン的なカバーが付いていたのですが、各鍵の区別がついてしまうし、かといってその場でぱぱっと付け直すには手間なので、全部外してしまいました。
なお上記の演じ方は単なる一例です。
私は5人の方を選んで、「この中のどなたが正解の鍵を引くようにしましょうか」「こいつ」「おk。あなたは正解の鍵を引きたくなーる」「(なんだこいつ)」「さあじゃあ残りの皆さんどうぞ」「開かねー」「じゃああなた」「!ほんとに正解の鍵引けた!」「(笑点のピンクみたいな感じのドヤ顔)」という演出で演じておりました。正直、現象として地味かなーとか思っていたのですけれど、想像以上にウケたりして、演者がびっくりします。なお鍵ものは昔から好きではあるのですが、そんなに一杯は持っていません。高いですし。重いですし。めったに使いませんし。モテませんし。

通常、"お客さんの大事なものをお借りして、ボックスに入れてこれで鍵をかけてしまう"というのが鍵ものの王道の使い方だと思うのですが、私、ストロングボックスみたいな、外に南京錠用の穴あき金具が出ている容器を持っていなかったのです。オウシット。ではありますが、単純に鍵が開くだけで場は盛り上がったので、それでいいような気もしました。世の鍵ネタ愛好者はどういう演出でやっておられるのでしょうか。

私くらいの高所得者になりますと、皆さんご存知ではないと思いますが超高級ガラス用品店の「DAISO」というところがありまして。そこで入手した長い脚付きのカクテルグラスに鍵は入れておき、そこから各々鍵を選ばせたあとで鍵開けトライ、失敗するたびに1本ずつ、カランカラン言わせて戻していき、おしゃれ感を醸しだしてみましたが、どこまで演者の想定通りおしゃれに映ったかは甚だ疑問ではあります。ていうかなんか音がするとストーリーが進んでいるような気がしたんです、申し訳ありませんでした。


私、入手不能とか入手困難であるようなレア手品道具はあまり持っていないのですが、今回紹介しようと思ったPandora's Lockが、ネットを探してもあんまり見当たらない不思議。Bob Solali本人のサイトにすら見当たらないとはどういうことなのか。日本語解説書が付いている割に、誰が書いたとか、どこの店かとかも一切書いてなくて、そもそも自分が一体どこで購入したものなのかすら全く思い出せない始末。どこで売ってたんでしょうか。

ではなぜ唐突に書いたかというと、上記のように某所でサロンマジックをやらなければいけなくなり、家のダンボールをひっくり返していたら発見したこと、それに先立って久々に鍵ものが欲しくなり、220ドル位の鍵ネタを買ってしまったこと(まだ届いていません)、大変ウケて調子に乗った、などの理由です。

カーディシャンズサークルに所属しているから、というのがメイン理由なのですが、私はサロンや発表会では、敢えてカード以外の素材を使おうと心がけております。本トリックは、ものとしてはたいして大きくはない(でもクソ重い)ですが、結構大きく見せられていい買い物だったな、幾らで買ったかも思い出せないけど、と思いました。あと鍵もディンプルキーとかみたいなやつではないので、鍵屋さんであと5本くらいコピーしておいてもいいな、と思ったりしました、いま。……何人に引かせるつもりだ。