教授の戯言

手品のお話とかね。

Gregory Wilson レクチャー2015

先日都内某所で行われました、Gregory Wilsonのレクチャーに参加してまいりました。7年前と実はやってることが被ってる箇所が多いのですが(ブログを読みなおして知る)、いい感じに引っかかりまくりましたので備忘録がてら。

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1.Chip on Shoulder
観客の肩にチップだのコイン・パースだのがいつのまにか乗ったりする。たしか彼のDVD『In Action』とかでも解説されていた気がしますが、スライディーニのPaparball Over the Headみたいな、舞台に上げられている観客以外にはまるわかりのあれですね。で、何故か知りませんがまた舞台に上げられたので、また引っかかりまくるわけですね。ぐぬぬ。なお今回は落ちづらいチップに落ちづらいコイン・パースと手順DVD(多分)がセットになったものを販売していました(こんな感じ?)。別のDVDなどで手順を知っていれば、物だけ揃えて自力で加工可能なレベルだと思います。トランプいじってないでこういうの出来るようになりたい(言うだけ)。



2.Pointless
ペン先があっちいったりこっちいったりしちゃうあれ。
いやー、7年前に来たときに感激して買って、自分でも色々作ったりしました。いまやもうまるで手順覚えてないんですけどw しかしこれはいい手品です。



3.Bandwidth
指輪が伸びる。
いや伸びるんだものw ぐにゅーって伸びる指輪(?)の処理方法にまるで気づきませんでした。半袖Tシャツでも出来る。素敵。あとこの会場、指輪してる人がゼロ。凄い。



4.Invisible Smoke
タバコを吸う真似をすると口から煙が出てくる。
Theory11のこれっぽいですね。 まったく気づかなかったので、口から煙出てきたときはちょっとびっくり。なおグレッグは横向きに吸うことで、指のジェスチャーに理由をもたせていて、なかなか興味深かったです。ちなみに2次会で知ったのですが、グレッグ自身はタバコ吸わないのねw



5.Pickpocket
時計だの財布だのが次々とスられていくさまをみんなで見て楽しむ恐ろしいあれ。
遅れていらした方にChip on shoulderから始まり、これにつなげていました。そして言葉もかわさず、スられた時計だのなんだのをキープする通訳の二川先生。絶妙のタイミングでグレッグの手に戻す二川先生。なんだこれw スリのコンビ芸とか怖いw



6.iPhoneを使ったマジック
第1段で、観客のiPhoneのロック・ナンバーを、第2段で観客の電話番号の下4桁を知るもの。
最初、toxicというかそういう電卓系と数理の組み合わせかと思っていたのですが、どちらもiPhoneの特性を利用したもので、Andoroidケータイの私涙目。なおあとで試してみたのですが、やはりAndoroidでは出来ませんでした。特に第1段の方はグレッグも言っていましたが、あれバグというか不適切な仕様じゃないでしょうか。グレッグ「アップデートでここが直されないことを願っているよ」 確かにw あとこの会場、iPhone持ってる人がひとりしかいない。凄いw



7.Unleashed
アンビグラム、って知ってますか?180度ひっくり返しても、同じ単語に読めるようになっているもので」という導入からの、外したドッグ・タグをTシャツの胸の位置の記事で挟み、観客に指で押さえていてもらうが、生地を引っ張るとタグが消えていて、また首からさがっている。
ちょっと横からだったのでよく見えなかったというのはあるのですが、いつの間にか消えててびっくりでした。



8.Foreign Affair
お札が1ドルから、オーストラリア・ドル、ユーロ、元、そして最後に万札になる、という。
ビル・チェンジものが好きなもので、かつ以前見て買っていましたのでそこまでおおっとはならなかったのですが、場が意外に沸いててそっちにびっくり。解説時の、例のアレの出現のさせ方は流石にうまいなと思いました。



9.Revolution
指の上でデックが長時間回転する。
「今朝ホテルに荷物が届いたので、やっと売れるよ」ということでしたw もっと先に送っておけばいいのに。自力で作れなくはないけどやや面倒。あとちょっと高いかな、という印象でした。触らせてもらいましたが、やっぱちょっと痛いかも。「ちょっと痛いよ。慣れはするけど」に噴く。



10.The Poker Test 2.0
青裏ブランクフェイスを5枚見せるが、1枚フェイスが出て、裏返すとバックの色が赤に、そしてさらに表にするとロイヤルフラッシュになっている、というパケットトリック。
結構綺麗ですね。最初「これやってることはカチャマタ・フラッシュチェンジと同じじゃないのか」という気がしましたが、あれと比べて最初のAを堂々と出してくるので技法をまったく必要としないというのが違うのかな、と思いました。まあカチャマタ〜の方もそうしようと思えばできるとは思いますけれども。



<休憩>


11.割り箸パドル
いわゆる、ドットが移動したり増えたりするやつです。
「唯一できる、ジャパニーズ・マジックさ」とか言っておりましたが、割り箸って日本発なのか。さておき、オフビートでのすり替えを見逃しました。注意力が三万しかありません。そういえば2本目を取り出してくるとき、どっちがドット一個の側かをどのように判別しているのかを聞き忘れました。しくしく。



12.Exact Change
観客が自由に言った1−100の数字、その数字分の金額ぴったりの小銭がポケットから出てくる。
私が適当に言った「45」に、45セント出てきた時は、この手品の存在を知っていたにもかかわらずびっくりしました。「しかしだ、この手品、自国のコインじゃなく、外国のコインでしかできないってやっぱあれよね」ということをグレッグが言っていて、私も確かに日用品を使っているのに、いきなりクォーターとかダイム出されてもな、という気がしていたのですが、フェザータッチマジックでは価格は高いけど、日本円で使えるギミックを作ったんだかどっかで見つけてきたんだかで付いているそうで。ちょっと迷っております。現象としてはホント一級品のメンタルな気がしておりまして、今欲しいギミックナンバーワン。(9/24時点調べ)



13.カードスタント数種
やはりカードをブーメランみたいにして飛ばして、それを口でキャッチ、というのがいいです。今回はうまくいっていませんでしたが、飛ばして、戻ってきたそれをかかとで蹴りあげてそれをキャッチ、というのはうまくいくと超カッコイイですね。



14.カード・トリック2種
最後に2種カード・トリックします、ということでひとつ目はCard on the Box。
うまい具合に視線と注意を誘導され、選んだカードがいつの間にか箱の上にあったり、使ってたカードが全部箱の中に入っていたりと。「手品してない人たちに見せると、最後では悲鳴が上がるね」と言っていましたが、そうだろうなという気はします。いや、私もカードを箱の上に置くときも、カードを箱の中に入れるときも全く気づきませんでした。おそるべし。
ふたつ目はブランク・デックでのギャグからの、サインさせたカードでのアンビシャス、最後に演者のサインが観客のサインしたカードの裏に飛び移るアニバーサリー・ワルツ的な展開。これは最初のギャグ部分があるおかげで、後段随分楽になっているんだなという感じでした。やはりサインした別々のカードが1枚になる、というのは美しいです。

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総括として思ったのですが、なんで非母語のマジシャンの演技のほうが笑えるのだろう(注:私が)というのがありまして、多分、空間というか場の使い方の違いなのかなという気がしました。あとへたに言葉を使った誘導やタイミング合わせがしづらいから、そうでないところに気を配るから、とかそんなんでしょうか。ノンバーバル・コミュニケーションというか。
私の知っている日本のマジシャンは、いいアイディア持ってるし、スライハンドも凄くうまいと思うのですけど、サロンレベルですらあんまり空間を広く使わない感じがするといいますか。(※個人の感想です) 「この限定空間上では超不思議なことするぜ(ただしそこからは動きません)」的な。いや、そういうの大好きなんですけど。あとまあ体に接触することを忌避する文化的な側面はあると思うんですが(アメリカとかスペインのマジシャンがやっても許されるけど、日本人が下手にやると怒られちゃう感じというか)、……うん、まあ別にどうでもいいといえばいいか。海外コンテストが主戦場、なんて人もいないし、私見るのが好きですし。