教授の戯言

手品のお話とかね。

「とりあえずハーフパス」

16日の夜に、大学のサークルの先輩であるRivastさんと折掛さんと渋谷のとあるお店で飲んできました。折掛さんは一時期カーディシャンを自称するほどカード一筋な方だったのですが、ここの所コインも練習しているなど方向性が少し変ってきたご様子。一方のRivastさんは先日拙宅においで下さったり、普段からよくメッセでもお話している丁寧手品派。私のクロースアップ好きはRivastさんの講習無しにはありえなかった、先生のような方でもあります。で。手品っ子の飲み会の常ですが、普通のテーブルがあっというまに料理と手品道具が散乱する卓に。


私は昨年参加したヨーキム・ソルバーグ(写真)のレクチャーにありました、Oil & Water的な現象の手品をしました。両氏にはそこそこの好評で、特に折掛さんに至っては何度か手順を確認したあと、その場でハンドリングを改良されておりました。さすがです。
なお、ギャフカードを使うことに何の抵抗も無い私と違い、両氏は「やっぱやるならレギュラーカードでしょ!」的な正統派思想がお好きなので、その趣向にも合ったようです。
ただ、折掛さんにおいてはそれ+ちょっと違う感覚がある気がしました。折掛さんは、ヨーキムがスウェーデンだかどっかの王室御用達マジシャンという事実から妄想が止まらず「俺の中では姫は17歳!」「”ソル、今日はどのような手品を見せて下さるのかしら””姫の望むままに”やっべ、えろえろじゃん!うっわ!」「だってあいつ王室付だぜ!」などなど、ヨーキムのどの辺りが気に入ったのかが、ちょっと垣間見える名言を残されておりましたw

そのほか折掛さんは先日"笑っていいとも"に出ていた、ZUMAさんの「指輪と紐」を見よう見まねで練習し、飲み屋で実演されたらしいのですが、その際のお客さんの受けっぷりが非常に良く、かつ「360度囲まれても戦える手品」という彼のポリシーにも合致するものだったそうです。
かくいう私も「指輪と紐」系は大好きで現在研究中なのです。ルーティーンの中の一つに、Uの字にした紐の上の方をを右手で握り、指輪を左手で下のたるんだところに、しかも外からはめる手順があるのですが(わかりづらくてごめんなさい!)、両手が20センチくらい離れても十分入れられる事が分かりました。…今の表現は分かる人にはどこが伏せてあるのか分かってもらえると思いますw 
折掛さんは財布に小さな封筒を入れておいて、ラストはそこから指輪を出すそうです。クライマックスとしては非常に綺麗だと思います。同様に「○○の財布」系で締めるのも割と考え付く手順ですね。あとはリングフライトでしょうか。その場では「ラストはやっぱリングフライトでキマリですよ!」などと言ったのですが、「指輪と紐」向きな指輪はやや幅広重めの物が適していて、逆にリングフライトは幅の狭い軽い方がやりやすいので、やはり財布系の締め方がいいような気もしてきました。しかし消えた物ってどこから出てきたら一番不思議なんだろう…。クロティエ師匠のDVDみたいに、あらかじめ置いておいた何か、たとえば小箱の中から、とかも相当ナイスだと思うのですが。むむむ。ゲータン・ブルームのフライトリングとか、あとはクインテッドボックス系(注:マトリョーシカみたいな構造で、じゃんじゃん開けてって、最後のちっさいのを開けるとお客さんの指輪を出せるもの)でしょうか。

続いて折掛さんにはお得意のカードでベベルの「Reset」や「Universal Card」といったキモイ物を沢山見せて頂きました。とりわけ、2枚のJOKERの間に入れたお客さんのカード、これを何度デックに戻してもジョーカーの間に戻ってきてしまい、最後には・・・というヤツが折掛さんぽくて良かったです。全般的に折掛さんのマジックは「やや速感」があるのですが、ハンドリングそのものが美しいので、ああいう見せ方もできたらといつも思います。
Rivastさんは対照的に…と言う訳でもないのですが、クラシックマジシャンの手つきというか、ゆっくり丁寧にカードを扱うイメージです。え、私?私はどっちも出来ないんですけど。言ってみれば"とろくて雑"。うわあw

また、10年位前にNHKで放送した「Great Magic in TOKYO」という番組があるのですが、そこでアルフォンソというマジシャンがAとKの交換現象をやっていました。これがまた現象の割にえぐえぐな技法を使うのですが、その解説をRivastさんにしてもらいました。彼も思い出しつつなんですがw そこで今回のタイトルの名言、「とりあえずハーフパス」が生まれたというわけです(なにが「というわけ」なんだか)!
R「4枚目の上にブレイク作って、で、ここでパケットを揃えて。とりあえずハーフパス」
私「ハーフパスですか・・・」
折「ちょwハーフパスってwとりあえずでするもんなのかよww」
松田道弘著作のマニア系の本もこれに近い気がします。「ここでトップチェンジを行い〜」「パームしたカードをサイドからデック中ほどに戻し〜」おいおいおいw

検め論話題も何度か出ましたが、お2人は「〜と主張する」表現が甚くお気に召したらしく、「で、ここで左手に取った時点でもうAですと。主張するんだよ」「いやもうここに置いたらこれはAだって、主張ですよ」マジシャンからお客様への主張も大事ということでw

その他Rivastさんに輪ゴムマジックを伝授されるも、四苦八苦する折掛さんが見ていて面白かったです。チョチョイとやってそうだったのにちょっと意外でした。綺麗に出来るかどうかはともかく、私は一年生の時に習った気がします。「輪ゴムのDVD買ったんだよ!未開封だけどね!w」と折掛さん。本好きの積読同様、マジック愛好家はマジックグッズ購入愛好家になっていくものですね。反省。


帰途で折掛さんが「人間観察してて思ったけど、人の手は普段軽く握りこぶしを作っているんだよな」と仰っていました。コインをパームした手を大きく開くことが出来るのは、パームグリップの確実さを測るのには良いのですが、手品に織り込むのはやはり見当違いというか。「怪しく無い手」というのはナカナカ難しいものです。どうしても緊張感というか、怪しいオーラが出てしまいがちですので。「絶」をマスターしないと!とにもかくにも時間の経つのも忘れて非常に楽しい集まりでした。また近いうちに。