教授の戯言

手品のお話とかね。

ステキな世界

麦谷眞里さん著の「クラシック・マジック入門事典」を買いました。普段は中身を見ずに本を買うことはしないのですが、ストレスが溜まっていたのか仕事中にamazon.comでワンクリック注文してしまいました。麦谷氏は私の好きな「カードマジック入門事典」の著者でもあり、松田道弘氏と並び称される研究家の方なので、内容に関しては全く不安ではありませんでしたけれども。

内容は17章に分かれていて、
7番目の鍵/“7つの鍵”の別のアプローチ/真田紐の焼き継ぎ/増加するマティーニ・ボトル
/“紙玉の飛行”について/カラー・チェンジング・ナイフの話/コイン・ボックスの総括/はずむボール・はずまないボール/ガムボール・マシーン/ボールとベースについて/パズル/フィボナッチの数列/ダブ・パンの応用/スタック・オブ・コインズの周辺/ムーン・カードの応用/ユリ・ゲラーのメンタル・マジック/スワミ・ギミックについて/ワレットの集大成
というトピックス。私のように古くからのマジックに造詣が深くない身としては、処々に初見のものがありまして、読み物としても非常に楽しかったです。


中でも「ガムボール・マシーン」は名前の通りお金入れてガチャガチャ回すとガムボールが出てくるあれなんですが、そもそもそんなものもマジックの道具として使うというのを始めて知りました。中身の工作が非常に手がこんでいるものでそこにも驚いたのですが、色違いのガム識別のための準備手順の解説部分を読んでいて、「客が間違って食べちゃったら、ちょwwおまwwwこれww」とかドキドキしておりました。


また、「ワレットの集大成」の項は非常にためになりました。今後もいくつか手品財布を買うことになると思いますが参考にさせて頂きたいと思います。BKMワレットという複合機能財布を先日買ったわけですがそれも載っていました。「革質もよく」ということで麦谷氏はお気に入りだそうなのですが、私は機能はともかく革質としては大して良くない気がしてならないのですが。私のが外れなのかな?以前TCCの知り合いの方が仰っていた「いやあ、たまたま知り合った革細工職人の方にね、ルポールワレット作ってもらったよ」というのはベストであろうなとは思うのですが、BKMワレットはあからさまな合成皮革っぽい上に手でぐにぐにすると「しょわしょわ」音がするんですよね。そこが残念です。新宿で革加工のお店をこの間見つけたので、普通の革財布をどこかで買って、「札入れタイプ」「右にカップス」「左にルポール」のコンビネーション財布を作ってもらうのも面白そうです。


さてこの事典、麦谷氏が実際に演じたりする事例も絡めてあるので演技メモはとても充実しています。演技する際の演出補助教材としても非常に手厚い構成だと思います。とはいってもレクチャーノートではなく事典ですので解説はやはりあっさり目なのは否めません。そこのところはさておいて、クラシックからの視点を養うには良い・・・などとグダグダ言ってますけど、単純に読んでて面白いので、ちょっとお金に余裕のある方は買ってみるとよろしいと思います。某氏のカードマジック本は一通り全部読んでるけれど「もはや目的と手段が本末転倒になっている感がひしひし」「あの本の中の手順って、実際に演じてみたためしが無いことに気付いた」といった方にもオススメです。・・・どんな勧め方だ・・・。