教授の戯言

手品のお話とかね。

ゆうきとも MML Vol.10


なぜかVol.9の記憶がないので昨日見た10の感想など。
どうでもいいですがMMLはサイト更新は甘い気がする。商用サイトとしては、更新頻度やスピード、履歴表記などが今ひとつなんですよね・・・。お忙しいとは思いますが、コラムやら更新を楽しみにしている暇人もいることを分かって頂きたいものです。いや、暇じゃないですけど、でも読みたいのですw

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インスタント・フォア・エーセス:
エースオープナー。お客様に(ちょっとだけですが)参加していただけて、カード当てをするのかな、と思わせつつAが出揃うのは中々に壮観。ラスト左手での出し方を"親指を使うバージョン"にすると、フラリッシュ要素も付くのでかなりお得なオープナーではないかと思います。ゆうきさんご本人の工夫だそうですが、さすがです。熟練度に関わらず、冒頭に持ってこられるいいオープナーだなあと感心することしきり。



スローモーション・フォア・エーセス:
上記と続けてできるフォアエーセスです。マスターパケットに、残りの3枚のAが別の山から一枚ずつ飛行するトリック。演者の仕事量と観客の反応とのバランスはいいと思います。ただ、最初に裏向きにした3枚のAが、Aに見えなかったのが残念。私がひねくれているからかもしれませんけど、ちょっと私には説得力が弱かったです。自分でやるならワンクッションおいてから"仕事"に移った方がいいかなと感じた次第。最初は表向きに3枚を堂々と置いてから、「あ、裏向きで置かなきゃいけないんだった」みたいな"プチ失敗"を演出、で、それを手元のデック近くに戻して、揃える動作でチェンジ、とか。Tフォーメーションというだけで嫌っていてはいけないよな、と思ってのトライでしたが、好きになるまでには至らなかったかな・・・。



インビジブル・パーム・エーセス:
Aを一枚ずつ「見えないパーム」で消し、卓上に移動させていくトリック。ポール・ハリスのバージョン。ジェニングスのも見た事があるのですが、いまいち私は"見えないパーム"ネタが不思議に見えないのですが・・・。私だけですかね。ゆうきさんは卓上の1枚が複数枚になる瞬間について、きちんと含蓄ある解説をされているのですが、言ってることは分かるが人間の視覚ってそこまで甘くないんじゃないかなあと思ったり思わなかったり。ご本人の仰る通り、2回目3回目はより注意が集まるわけで、その状況下、あれで納得させるのはちょっと厳しいのではないだろうか・・・。と文句たらたらですが、演技2段目の2枚と3枚のパケット交換は素晴らしかったです。あれはミスディレクションの繊細さと大胆さが同居する、個人的にはこの巻でもっともいいなと思った瞬間です。いや、本当のコト言うとその瞬間は分かりました。分かりましたけど、それでいてなおプロットに感激です。ハリスの原案通りかどうか知りませんが、あの左手のものを右手に渡してまた戻すという、ディスプレイをかねた交換が本当に素晴らしいと思いました。あの辺のハンドリングはゆうきさんらしいタッチが感じられるのですが、実際どうなんだろう・・・。ハリスのオリジナルなのかな。



フライング・イーグル:
コインの飛行現象。ゆうきさんのコインはキモくないけど地味にキレイ(褒め言葉)。なんだかんだ言って安定感あふれるタッチで勉強になります。ユーティリティームーブがステキ。あそこまで枚数揃えたコインマジックをする機会があまり無いので、私が実演することは多分無いとは思うのですが。



シルバー・アンド・カッパー:
銀貨と銅貨の交換現象。エクストラ一枚でここまでできるんだなあというハンドリング。お客さんの手の中でのチェンジもあるし、マジシャンがマジシャンらしく一瞬で銀貨を銅貨に変えたりと、手順として完成度が高いと思います。コインマジックはあまり好きではないですが、これは見ていて楽しかった。私も観客の手の中で変わるの「スコッチアンドソーダ」はよくやるのですが、こちらの手順を覚えた方が汎用性がありますし、ラストの「まあ銅貨でもいいんですけどね」のチェンジを含めたところまでが一個のルーティーンとして非常に参考になりました。ていうかそこがカッコイイのです。ぱっと変わった(変えた)ように見えて。



MMLのブログも含め、やはりゆうきさんは凄いなあと最近とみに思います。プロならではの視線というのは他の方の言動からも分かるのですが、ゆうきさんの場合は一つ一つに背景というか歴史みたいのが見えるというか、フレンチドロップの石田さんのコラムのようです。あのブログの中身を中規模の文章にまとめなおすと、面白い読み物になると思いました。直近のカップアンドボールに関する記事は、なんだかゆうきさんにしてはアッツい感じになっており思い入れの深さを感じます。