教授の戯言

手品のお話とかね。

カードミラクルズ Vol.3

相変わらず見事なまでにハズレがねーです。本来ならVol.2をまとめてからにしようかと思ったのですが、面白かったので脳内で新鮮なうちに。ゆうきさんはもうカードは「カードミラクルズ」シリーズに一元化して、MMLはカードとコイン以外をやってくれないかなあ…。一体いくつカードマジック解説したんだろうか。200じゃきかないくらいでしょうか。とはいえたまに物凄く惹かれるトリックがあるのが、すっぱり切れなくて困っている理由でもあるんですけれどね。

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■ ゆうきとも 「ゆうきとものカードミラクルズ Vol.3」

★収録内容
【ポケットリセット・ルーティン】
1.EZ・レベレーション
卓上に分けた数パケットのトップに手をかざすと、4枚のQがコツゼンと出現します!ジェニングス・レベレーション、ランディズ・レベレーションの巧妙なバリエーションで、極めて楽なやり方になっています。実にビジュアルに、本当に魔法のように出現する様は圧巻。この手の作品をご存じない方は、自分の目が信じられないでしょう。

ついこの間とひさんが同様のことを目の前でやってくださり、「ああ、これ、実演できるものだったんだ」と感慨深かった非常に美しい4Aオープナー。ゆうきさんのものと手法(というかセット)が同じかどうかは存じませんけれど。なお初めてこの概念のトリックを見たのはジェニングスのビデオでしたか。フラットパームについてゆうきさんいわく「思ったほどは難しくありません」と言うことでしたが、すみません、私にはちょいと難しいです。親指が短いのかしら。かなり手がお碗型になってしまう…。現象自体はまさに説明通り「忽然と」という形容が相応しい現れ方。魔法みたいですな。

絶望した!解説時のゆうきさんの「このやり方は色んな人に踏襲(ふしゅう)され〜」発言に対して頷くばかりで、「麻生元総理かい!」とか一切突っ込まない菅又氏に絶望した!そこは拾わなきゃ…。まあギャグにしてもやや時機を逸した感は否めませんがw 



2.ポケット・リセット
全2段からなる、AとQのルーティーン。前半は、4枚のAを使った、「フラッシュ・バック」を基にしたツイスト現象です。小気味よく連続で現象が起こるので、演じていて楽しい手順です。後半は、リセットのゆうきバージョン。手元のAと、ポケットの中のQが次々に入れ替わります。全体を通して、立ったまま演じられますので、演じやすく、重宝できます。

良くも悪くも見てて混乱しました。赤Aと黒Aが次々と位置を換えるのは見ていて小気味いいです。それはそうと、2枚を取るときやボトムを分離する際など、自分もよくお世話になっているのですが、バックルって技法は生で見たときにどこまで違和感を覚えないものなのだろうか。私は心はピュアなんですが眼が汚れているので(突っ込みどころ)、どうしてもバックルは気になってしまうのですけれどねえ。それにしても私は、一体何度、複数枚カードについてツッコめば気が済むのだろう。  答え:毎度



3.イロジカル・チェンジ2
4枚のAとQが、一瞬で入れ替わります!大胆な操作を加えることで、インパクトを損なわずに、やさしく演じられるようになっています。

大胆って、多分枚数のことですよね。…ちょっときついなあw そのあとの段はラインナップムーブがかなりの説得力を付け加えているように思います。問題は…やはり前段ですかねえ。最近のBannonのDVDでも思ったけれどw



【オーバータイム・ルーティン】
4.バニシング・フォー
5枚のカードのうち、観客のカード以外が消えてしまいます!名作「バニシング11」のゆうきバージョン。巧妙な改めを混ぜることで、説得力がまるで違います。

あの1枚、「これは違いますよね」で除けるあの1枚がとてもイイ。「このあと何か操作をして現すのかな」と思ったら終わっていました。ワーオ。確かに無意識のうちに「説得」されてしまいました。まいがっ。なんという分かりやすい誘導されっぷり。
全然関係無いのですが、これのタイトルから、またひとつバカ手品を思いつきました。それ用のカードが作れたら撮影してみたいと思います。全2段です。



5.オートマチック Do As I Do
デックからお互いに選んだカードが一致する!?お馴染み「Do As I Do」に一ひねり!途中でカードを混ぜるサトルティーには、従来の方法を知っている人でも引っかかります!

はい引っかかりましたー。美しいなあ。「Do As I Do」は意地悪く言ってしまえば、デックを交換などせずにお互いのデックから一枚抜き出したカードをそのまま場に出し、表返して「ほら一致したね」が理想なのですが、まあそこは突っ込まない約束ですね(余談ですが、カードを表返して〜の部分は、書いていてなぜかエスポワールで船井に騙されるカイジのシーンを思い出した(※))。交換したりシャッフルしたりという、ある意味様式美の世界の様な気がしなくもない。この2段の「Do As I Do」は十分不思議。まあシャッフルをしたしないが不思議さに差をもたらすかというとそうでもない気はするんですけど。
※オープン! 「グー」「!パー?」「お?、すまんすまん、どうもカード間違えてしもたらしい。次、こっちがグーを出すさかい、カイジさんはパーを出してくれればそれで元通りや」「あ、ああ…」 ジャンケン「パー」「チョキ」 ざわ…ざわ…  的シーン。



6.オーバータイム
観客の選んだ時刻と、選ばれたカードを言い当てます!さらに選ばれたカードが予言されています!「クロックトリック」を徹底改良!ギミック無し、準備無しでやさしく演じられます!ゆうき自身、ここ数年トリネタにしているというだけあり、非常に洗練されています!

紹介で何回びっくりするんですか!w ここまでの流れも実に綺麗。キーカードをリサイクルするあたりとかさすがはゆうきさんだと思った(毎回、実際こんな長めの流れでやってらっしゃるとは思わないのですが)。もっとも私のような記憶力の怪しい子だと、ちょいとうっかりワンステップ忘れたりして一気に瓦解、という心配があります(ちなみに、フォースしたにもかかわらずそれが何だったか忘れたことすらある)。不思議なんですが、やはり最初の当て方は唐突な気がしました。これはカードあての宿命か。
畳み掛けるように看破・一致が起こるともうそこは驚くしかないのですが、冷静に考えるとちょっとくどいかもしれません。学生時代に「Overkill」という、カードマジック入門辞典に載っているトリックが好きでよくやっていたのです。観客の選んだカードが、「配ってもらったカード群のボトムだったり」「カードケースのフラップに書いてあったり」「場に出ている表向きの観客カードだけバックの色が違ったり」という、それはもうこれでもかと畳み掛ける系のトリックです。何度も演じて好評だった私は、まあよしておけばいいのに調子に乗り、手のひらに書いておいてみたり、マットの下にびっしり8Hを貼り付けておいてみたりという、今にして思えば「たくさん予言すりゃいいってもんじゃねえんだよ」という変な方向にひた走っていたことがありました。ある日クロースアップなどほとんどやらないサークルの女子から諭され(詳細を忘れましたが「ハァ?」的な反応だったのかなあ…本当に思い出せない)、結局財布に青デックの8Hを入れ、残りの青デックの中に赤バックの8Hを入れるだけ、つまり原作では3重の一致だったものを一つ減らしてやるようになりました。まあどっちが良い悪いじゃないのですが、4つ以上はさすがに「明らかにそれを選ばされた」とか観客に思わせてしまうかもしれないな、と反省したという話だったとさ。

余談が長くなりました。どちらも綺麗に流れる手順構成なのですが、ルーティーンとしてはちょいと長めなので、"腰を据えてご覧頂く"というのでなければ、紹介にもある通り部分部分を選択して使うべきでしょうね。しかし本当にゆうきさんの安定感・ハンドリングの妙は素晴らしい。

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誰も知りたくもない近況報告: 非手品人を相手にしたクロースアップマジックを友人に依頼され、そのためのトリックを選んだり練習したりするつもりが、なぜか毎晩テンヨーの「小さくなるコイン」で遊ぶのに夢中。これ面白いですねえ…。何度もやっちゃいます。まあちょいと動かすと中身がカタカタ言うし、ぶっちゃけ手品じゃなく面白おもちゃな気もしますが。…何度やってても現象がかわいいw