教授の戯言

手品のお話とかね。

ゆうきとも MML Vol.9


「コインマジック最初の壁クラシック・パームを修得 !!」

【収録内容】
 ◆オルラム・サトルティーを極める!
  ・6カード・ブレインウェーブ(Nick Trost)
  ・アンチ・オイル&ウォーター
  ・ポジ・ネガティブカード(J.W.Sarles)
 ◆クラシック・パームを極める!
  ・コインズ・アクロス(+クリック・パス)
  ・グラスを貫通するコイン
  ・コイン・カット(Larry Jennings)

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・6カード・ブレインウェーブ(Nick Trost)
初めて見たのはマイケル・アマーのEasy to Master Card Miraclesのvol.1でしたでしょうか。カードの表を見せるという行為と、まったく別のカードを卓上に置くという行為、見事な錯覚です。サークルの先輩に教わった「宇宙人のお話」という、ストーリー仕立てのトリックがあります(正式名称は聞いたような聞かなかったような・・・)。Aのバニッシュを毎回違う技法で行うこともあり、練習がてらよくやった手品です。このオルラムサトルティはそこの第二段、もっとも感心した部分に使われていた、非常に思い出深いものです。正直これに関してはあまりゆうきさんのテイストは感じられませんでしたが、いいトリックなのは間違いありません。現象の派手さは無いですが、視覚的にはっきりしていますし、地味に不思議です。


・アンチ・オイル&ウォーター
表向きな状態が多い珍しい(私の中で、ですけど・・・)OWです。以前に「ホントにこのシリーズはオイル&ウォーターが多いなあ」とか書いていたのですが、ゆうきさんのブログを読むと「実は、なかなかそう都合の良いマジックが常にあるとはかぎりません。(+_+) 結果的にシリーズ全体を通してみたときに、同じタイプのイフェクト(例えば“オイル&ウォーターなど)が重なっているのですが、これもけして“ゆうきの好み”という訳ではありません。あくまでも「重要技法」を、いかに「マジックという作品」のなかに溶け込ませるのか?その考え方を学び、実践を通して、観客に与える効果を実感してほしいのです。」という一文がありました。まあまったく違った現象の手品ばかりというわけでもないですし、やはり色々ご苦労されているようですね…。欲を言えば、最近カードとコイン主体になりつつあるので、数号前にあったバイプレイ的なものやカップアンドボールなども増やして欲しいものです。


・ポジ・ネガティブカード(J.W.Sarles)
これはびっくりしました。プリンシプルというだけあってセルフワーキングなのですが。「まあここで分かれてたら不思議だよなあ」と言う想像の直後に、ホントに分かれていたという。完全にお客さんと一緒になって驚いていました。準備が面倒ですけどね・・・。数号前の混ぜまくるOW並に驚きました。


・コインズ・アクロス(+クリック・パス)
コインは音を使った錯覚が非常に面白いですね。カードにもあるんですが、コインだとより顕著な感じです。しかしコインは全般的になんか大変そうというか。知ってるからというのもありますが、クリックパス直前のムーブはちょっと目立つ気がします。


・コイン・カット(Larry Jennings)
これはちょっと・・・。いや、趣向の問題ですと予め申し上げておきますが、なんというかこの主題のトリックを見て、違和感を感じなかった事がありません。分けたところから何度と無くコインが出てくるというコインプロダクションならともかく、カードあてにこの流れは、不思議かどうかという以前に"微妙な違和感"に耐えきれないのです。必然性が希薄というか(手品なんてそもそも必然性の対極にある気もしますがw)。綺麗に演じられていますが、やってみたいかというとちょっと、という感想でした。つまるところ「一枚のコインが目の前ではっきりと消失」ことに勝るコインのエフェクトは無い気がする昨今。理屈どうこうというより「好き/嫌い」の部分の方が大きいですけど。少なくとも私は特に惹かれませんでした。まあいくらゆうきさんのテイストが好きでも、私に適したものばかりでないのは、これは致し方ありません。