教授の戯言

手品のお話とかね。

根本さんレクチャー1

ついに動く根本氏を拝見する時がやってきました。生じゃないんですけど。見られるだけで感激です。思い起こせば数年前、私が初めて利用したマジックショップ通販がミスターマジシャンでした。そこで買った「ロープとナット」は、今の私の"リングと紐"系のマジックの大きな基礎になっています。まじめに解説書を読んで練習したなあ…。この文章を読んでらっしゃるかたでご存じ無い方はいらっしゃらないと思いますが一応書いておきますと、ミスターマジシャンというマジックショップがあって、そこのオーナーのお名前が根本毅氏です。いや、一筆書くようなミスターマジシャン・ヘビーユーザーではないのですが。根本さんすみませんw

ミスターマジシャンに関してはもはや多言を要しないといいますか、私ごとき浅いユーザが語るようなものでもありません。あの独特の文体と「これ、PCじゃなくてワープロで作ってらっしゃらないか?」というカタログはいつ見ても秀逸。ネット通販をはじめられた時に、「あの味のあるカタログがなくなってしまうのは痛い」と気を揉んだファンは私だけでは無いはず。そんな心配をよそに、ネットの方もあの調子で一安心でした。
「ありふれた奇術ばかりでがっかりしました。しかし価格が安いので少量仕入れました」とか、「このシリーズ(某マジシャンの複数巻あるシリーズ)のVol.1は初心者向きばかりで面白くないのですが2は興味深いマジックが揃っていました」など、こんなに正直に書いてくれるショップはありがたいやら根本さん大丈夫かと思ったりするやらですけれどもw 個人的にははずれが少ないショップな気がする。DVDは2もあわせて見たのですが、かなり興味深いレクチャーでした。



良いのは普通にかなり上手い点や汎用性の高い技法を詳しく解説している点など。根本さんのパームは解説文を読んでいて「まあ書くのは自由だし、実際はある程度気配とか分かるでしょ」とか高をくくってたんですが、実際見てみると確かに全く分かりませんでした。映像が若干悪いのを差し引いても相当な手練だと思われます。「今持ってるのか?ん、持ってないのか」「あれ?パームしたの?触っただけ?」と、技法単体で何度となく幻惑されておりました。看板に偽り無しです。



対して難点は、根本さんが左利きなので若干解説を理解するのに混乱しがちな点でしょうか。一応逆の手でもやってくれるんですけどね(慣れ親しんだ普段とは逆の手で技法を行うって、実際問題もの凄く難しい気がするんですが。少なくとも私には厳しいです)。あとはスタンスが微妙なあたりはご愛嬌ですか。レクチャーを念頭に撮られているのですが、実演と解説はしっかり分けた方がいい気がしました。演技の最中もちょっと手順解説っぽいw

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■ 根本毅「根本毅 レクチャーDVD Vol.1」

・ドリーム・カード
財布中に一枚、赤裏でバックに演者のサイン入りのカードが入っていることを示し、その財布をしまう。演者は「先日あなたの夢を見た。夢の中で私はあなたにカードマジックをしていた」といい、その際に観客に選んでもらったカードがそのサインつきカードである旨を伝える。続いて観客に青裏バックのデックから一枚選ばせ、フェイス面にサインをしてもらってデックに戻す。先ほどの演者のサイン入りカードを覚えているかを聞いて、財布を取り出し、続いて赤いカードを取り出す。なんと最初に予言としていた演者のサインつきカードのフェイス面には観客のサインが書いてある。


カードトゥワレットとサインの一致という現象の組み合わせ。ルポールワレットを使用。「スタンスの中途半端な演技だなあ」などと思いながらのほほんと見ていたのですが、肝心の技法の実行ポイントを両方追えぬまま演技は無事終了してしまいました。根本さんのテクニシャンぶりにのっけから驚愕。キャンプスに勝るとも劣らないナチュラルぶりのカードトゥワレットを見ました。



・予言のカード
封筒を取り出し、赤い予言のカードが入っている旨を宣言。続いて自身は後ろを向きつつ、観客に青デックを渡しシャッフルさせ、「よく混ざっていることをみんなに示してあげてください」と伝えるが、見るとすべて同じカード。向き直った演者はデックを受け取りドリブル、観客にストップをかけてもらい、そこのカードを予言していたというが、当然観客苦笑い。封筒からは確かに予言通りのカードが出てくるが、観客が選んだのは、予言と同じ、青デックの中に"ただ一枚だけあった"赤裏カード。フェイスではなくバックの予言になっていたのだ。


こういうマジックは好きです。会社で、しかもほとんどが年上の人の中でマジックなどをやりますと突込みが本当に厳しいのですが、そういうときにも重宝しそうです。
ドリームカードでも使われるスティーブン・タッカーのフォースはちょっと面白い。あまりやる人自体を見た事が無いです。
とにもかくにも根本さんのパームは本当に分からん。ミスディレクションもきいてましたし、何よりこれを見たとき「うは、全部同じカード…」とかTVに突っ込ん出まして、まさに根本さんが解説時に挙げられた"観客の反応例そのまま"でした。勿論その間に"お仕事"は済まされておりましたw



・アンビシャス・カード
アンビシャスカードルーティーンです。


カードを縦に返すタイプのマルチプルリフトを初めて見ました。加藤英夫さんの「ラリー・ジェニングスのカードマジック入門」上で、いわゆる"イケナイダブルリフトの例"として挙げられていた「ぱちんと縦に返す」という例のアレです。
私自身加藤氏の本のでのすり込みがあったため、その方法をしたことは無かったのですが、根本さんのを見ると別に気にならないといいますか、むしろカードが一瞬で表になったように見えるので、フラリッシュ愛好者にも向いているんじゃないかと思いました。音もするしちょいとカッコ良かった。ユニフォーミティ・オブ・アクションの原則からはちょっと外れちゃいますけれども。
なお、手順自体はターンオーバーパスなどを駆使した結構テクニカルなものです。ここではやっていませんでしたが、普段やられているというクライマックス手法は、実際やられたなかなり感激しそうです。



・カード・トゥ・ワレット
3人の観客に選んでもらったカードが、いつの間にか演者のサイドポケット・ヒップポケット、更には最初からずっと卓上においてあった財布のジッパーコンパートメントからサインドカードがぬるりと出てくる。


エルムズレイの「Between your Palm」の改案とのこと。 ポケット間のカード移動(2枚目)が実に上手い。まるで分かりません。加えて1枚目と3枚目のときの財布を絡めた手順構成が本当に賢いと思いました。ベンディックスボムシェルもちょっと欲しくなりました。ヒンバータイプのルポール(カップス)ワレットと思えばいいのかしら。あ、そういや普通のヒンバーワレットも持っていません、私。



・コインのスリービング
・スリービング応用
スリービング。コイン・カード・ペンなど。


モダンコインマジックのDr.ロバーツのスリービングとのこと。ハンカチを併用したものなども解説していました。コインのチェンジにも使えるんですねえ(演技を見た時にはなんらかのギミックコインを使っていると思ってしまったのは秘密です)。根本氏はスリービングも相当手練でした。



・カード・アップ・ザ・スリーブ
10枚のカードが順番に演者の袖を伝って肩まで達していく。


感激した!カードが袖を伝って上ってくるという、単純かつ嘘臭いプロットが華麗に実現されていることに感激した!
本で読んだことはあったのですが、こんなもにテンポのいいマジックだったとは。また、これに至るまでに何度となくパームに幻惑されていたため、もはやどんなムーブでもパームをされてしまったのではないかとドキドキして見ていました。(疑念を抱いた時は何も持ってなくて、そういう意識の外ではばっちりパームをされてましたw)。
最後の1枚の消失がやはり難しそうではありますが、そこに至るまでの流れは非常にキレイでした。フォールスカウントのムーブは若干大げさかなと思いましたけれど、何よりノーエクストラで即興で出来るのはすばらしい。ちょっと練習してきます、スーツを着ているときにね!(主に仕事中) しかしCUSなんて古典中の古典だと思ってましたけど、今までやってみたいとも思いませんでした。実際見てみるまで良さって分からないもんですね…。
なお、マジェイアさんのサイトに現象その他が分かりやすく紹介されていました。メモメモ。



・復活するシガレットペーパー
破ったシガレットペーパーが復活します。


トーンアンドレストアードです。私、シガレットペーパーって使ったことが無いんですけども。自身に喫煙習慣がない上に、日本で今シガレットペーパー使ってる人っていらっしゃるのだろうか。まあ紙巻のタバコそのものはしぶとく流通していると思うのですが、わざわざ葉を買ってきてペーパーで巻くスタイルの喫煙をしている人を寡聞にして存じ上げません。
それはそれとして、TTを疑った私はまたもやまんまと引っかかったわけですが。ラスト完全に何も持ってないよという形で、復活した紙をふわっとさせるのはおしゃれでした。
なおマジェイアの魔法都市にありましたが、油とり紙でも良いみたいです。