教授の戯言

手品のお話とかね。

穴の向こうに繋がる世界

▼視覚的に分かりやすい手品が好きでして、「よし、そーゆーのを練習しよう」と現実逃避を思い立ったのですが、以前買ったはいいがやっていないものがあるなと思い出しました。現象の似ているトリックですが、少し練習して気づいたこともあるので比較しながらご紹介いたします。練習して思ったのですが、どちらにせよクロースアップで演じるの、少し怖いです。サロンとかなら多分堂々といける…はず!

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■ Anthony Owen and Pete Firman「Holey Sh*t」
実演動画 
真ん中に500円玉大の大きさの穴が開いたカードを2枚卓上に置き、観客にデックからカードを一枚選んで覚えて頂く。裏向きのまま確かに真ん中に差し込むが一瞬でトップに(第一段)。トップに来た観客のカードを取り上げ、卓上の穴あきカードの間に挟む。確かに入っていくところと入った後の両面、穴から挟んだカードの表裏が見える。演者がパケットの端を左手でつまみ、右手でリフルというか弾くと一瞬で挟まっていたカードが消失、演者は2枚になってしまったパケットを卓上に置き、先ほどよけておいたデックをスプレッドすると、真ん中あたりに一枚だけ表向きになった観客のカードが現れる(第二段)。

レクチャーDVDとギミックのセット。現象のビジュアルぶりは本当に凄い。なんたって、自分でやってて凄く不思議なくらいです。だって、さっきまで見えてたキングが、自分が弾くだけでいきなり消えるんですよ、ワーオ。前段のアンビシャスカードが割とおざなりな印象なのですが、それは本トリックの性質上仕方がないことかもしれません。難点はギミックのデリケートさでしょうか。あの瞬間芸っぷりは別手法を以って替えがたいのですが、ちょっとそこに至るまでがなかなか。ぴったり合わせないといけない部分とか、自作をしようとしたのですがうまく出来ませんでした。ハンズで文房具を調達してくるか…。なお細かく書きませんけど、お客様のサインドカードでやるのは無理です。消失にギミックを使っているのは後述のSOLOも同じなのですが、あちらはサインドカードでも出来ます。そこがちょいと違うところですね。ちなみにギミック製造の大変さからしたら、絶対SOLOの方が高くて然るべきなのですが、こっちの方が高い不思議。

余談ですが、演じているファーマンさんがチャラい感じの若い方で「ヒャッハ♪」という笑いがちょっとうざいですw

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■ Mark Mason 「SOLO」
デックを箱から取り出し、デックの中に何もないことを観客に確認して頂いてから蓋を閉じて卓上に置く。取り出したデックに、バックの色が違う500円よりちょい小さいくらいの穴が開いたカード二枚を示す。それを脇によけ、デックからカードを一枚選んで頂きサインしてもらったあと、デックトップに重ねた表向き穴あきカードの間に裏向きにして差し込む。差し込まれている様子が見える。穴あきカードを含むトップ三枚をファンにして右手に持ち、デックはケースの上に片付ける。ちょいと振ると一瞬で右手のファンから一枚消失して、二枚の穴あきカードだけが残る。先ほど中には何も入っていないことを確認させた卓上のケースを開け、中から観客のカードを取り出す。

レクチャーDVDとギミックのセット。こちらも見せ方によってはHoley〜と同じくらいビジュアルに消せます。ただ、DVDの解説通りに、ゆらゆら振って気がつくとむんにょりと消えてるほうが不思議感は高いと思うに200ペリカ。Holey〜と違って、"一瞬で"だけでなく"緩々と"消せるのも利点の一つかと思いますね。
Holey〜との差はまず消失のギミックが違うこと、「お客さんのサインしたカードが、空であることを確認済みのケースへ移動」というワンステップがあるのですが、それ用に「またよく考えたな」というギミックがつくこと。ラストのあの取り出しは、手品好きから見たらやっていることは一目瞭然なのですが、じゃあどのタイミングで移してどのように秘匿していたか、というのは中々思いつかないのではないでしょうか。解説聞いて「…あーーー!よくもまあそういう解決を思いつくよ!」という。スライトというより、一枚の解決に手順とギミックを豪勢に作ったなあと、感心することしきりでした。



▼実演の安全度とかからするとSOLOを選びますが、Holeyの方が消失の瞬間が観ててキモくて好きです。ああ、シェリルとランカ、どっちが良い?とか言うのと一緒で選べません。いや、その選択肢からすると断然シェリル派だけど!(今更ながら観始めてNOW11話) とんでっけー♪