教授の戯言

手品のお話とかね。

「第3回 菅原茂の創作奇術講座」

ある晴れた日のこと、魔法以上の愉快な〜(どこかで聞いたようなフレーズ)ということで行ってまいりました。会場に着いて早々、見覚えのあるお方が!と思ったら日曜手品師さんでした。 
日「こんにちは」 私「…あ、あれ!?静岡から…」 日「…来ちゃった♪」 面白すぎますw 
今回は40名ほどがいらしたということで結構な盛況ぶりでした。前回のお話で、菅原さんがご自分でお持ちでないということでしたので、年始にゲットしておいたスクイズプレーをプレゼントしたところお礼に加えて「他に用事あったのにごめんねー」とか言われて逆に恐縮。事前にこんなブログをチェックしてはいけませんw 大丈夫、その"用事"こと"ドミニオン大会"は来週も開催されそうです。どいつもこいつも…ありがたい。

今回はなんというか基本的にはトークの話が多いので、一応変なことは書いていないつもりですが、「さすがにそこまで書くなよ」というのがあれば、仰って頂ければすぐ修正します。

帰宅後また一杯(5合以内)引っ掛けているため、もはやコインの練習どころではないほど手が覚束無いです(最近また「Stella」を見直しつつ練習しているところ)。カードだったら簡単だとも思いませんけれど、コインマジックって難しい。二川さんととひさん、後輩君など近場のコインメンを思い出して、「やっぱコインメンってのは変態勢揃いだし、致し方なし」と思ったりする次第。しっかし、解説だけ見ていると「…1時間も練習すれば出来そうだなあ」などと思ったりするのにまるで出来ないw あれはなんか、私とは違うコイン使ってるんじゃないかな?かな?
 

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#1 「スクイズプレー」について:
コップの上にプラスチックの円盤を、その上にさいころ程度の円柱をおき、円盤をもう一枚上から重ねて押すと、貫通してコップの中に落ちる。

私が地球上に欠片も存在していない時分(地球標準時にして約38年前)に出た、「メンタルパワー」とか「メンタルゲーム」という(どっちだったか、あとで聞こうと思って忘れました)、そんなおもちゃというかゲームグッズの余り素材から着想したという話は第一回で伺っておりました。当初は「悟空の玉」的コップと、そこにダイスかなにかを使おうと思っていたそうで。やはりといいますか、"本当にディスクに穴が開く"(ガックリ箱というかフラップみたいなイメージでしょうか)ことを最初は想定されていたそうで、「まあ通り抜けるんだし、素直に考えたら穴を開けようと思うよなあ」と私も思いましたが、直後に「とはいえ、この現象をやったら"道具見せて"っていわれるのは当然の流れなので、それは没になりました」と菅原さん。…ですよねー。その後は第一回だかでも仰っておられた、"用事で立ち上がる時にたまたま、コップの上でサンドイッチ状態のディスクとダイスを押さえたら、挟んだままになっていたダイスが飛び出した"ところからの発想・試行錯誤のお話。
"塩ビ素材だと滑りづらい、しかし何で自分がやった時には滑ったのか"というお話から、素材および表面加工のお話へ。なお拙宅にはツルツル素材のやつとさらさら素材の両パターンのものがあるのですが、さらさら(新しい方)の方が確かにいいです。間違いなくスクイズでプレーできます(新しい方がバシュッといく感じ)。なお細かな凹凸をシボっていうことを初めて知りました。素材成型系の変な知識がつくイベントw(シボ加工:「プラスティックを加工する際に、成形表面にデザイン模様として、革、梨地、木目、布目などを付ける加工の事。」だそうです)

続いては消す物体の中のアレのお話。極をどう調整するかというのが課題だったそうですが、そんな頑張ってる部分だとは全く思いませんでした。おそらく質問されていた方のコメント通り、あの当時は難しかったかもしれませんが、今なら片側に鉄片を入れておけば(反対側の材料費が少し高くなりそうですけど)済むのでしょうね。物一つ創るって物凄く大変なのだなあ、とあらためて感じました。

なぜスクイズプレーのあの消す物体には「基本が赤で輪っかが白のもの」と、「基本が白で輪っかが赤いもの」があるのかの理由については、手品とは全く関係ない、成型および素材在庫上の都合があることを知って非常に面白かった。私は、何がしかの色彩学的な理由からのマイナーチェンジかと思っていたのですが(たとえば白部分が多い方が消失のイメージが強く与えられるから、など)、その辺全然関係ありませんでしたw

TENYO ELITEとかで銀無垢に見える"全部アルミ削りだし"という「スクイズプレー」とか出さないかなー。別に透明コップでなくてもいいと思うのですよ。



#2 紐ルーティーン:
超結びからの消失する結び目→ワンハンドノット(フリップノット?)からの結び目の移動→一度に4つの結び目 というルーティーン

受付時に紐と輪ゴムが配られており、「今回はワークショップ的な感じのことをするのだなあ」と思っていたらここで。フリップノットのコツなど、考え方についてのお話。
結び目を移動させる段で「お客さんには結び目が動いて当然、と思ってもらっていいんですよ。で、帰ってからやってみて、"アレ、動かない"となれば、ね」ということでした。…その発想はなかった。

ちなみに休み時間に100回くらい振って、1回成功したのはいいんですが、1回だけフィギュア・エイト・ノット(こんなの)になって自分で驚愕。練習すれば出来るようになるのでしょうか。常々、マニアの会で周りを驚愕させるものを一つくらいマスターしたいと思っているのですが、…これは「すげえ」とは思って頂けるけれど、誰もやらないこと請け合いですね。しくしく。自分でも再現できませんしね。



#3 輪ゴム:
中指にかけた輪ゴムが一瞬で外れる、前回ラストにやられていた予告手品。

「奇術探求 Vol.6」で菅原さんが輪ゴムマジックを解説されていて、冊子が届いた時"輪ゴム"と"菅原茂"のワードを見て「ああ、こっちで解説しちゃうのかー」とか思っていたのですが、そっちの輪ゴムは違うマジックでした。実に義理堅い。簡単そうに見えて、実際各人の指の性質に依存しそうなトリックで、不思議ではあるのですが、絶対できねーですこれ、とか思ったのが正直なところ。



いんたーみっしょん:
休み時間中は輪ゴムに悪戦苦闘。会場にいらした野島さんに「こちらからかけるといいんじゃないでしょうか」という教えを受けたら形になるようになりました。さすが野島さん。…しかし指つりそう。自分も含めてフリップノットを練習している人も多く、冷静に見ると凄い部屋です。
「おい、こいつを見てくれ。いい歳した大人がひとところに集まって、一心不乱に紐を振ったり輪ゴムをむにむにしてるって、どう思う?」「凄く…カオスです…」状態。世の中平和です(うち1名私)。
なお休み時間の前半、「輪ゴムうまく出来なかったし、DVD買って復習するかなあ」と思って買った後で何となく出来るようになってしまったというこのジレンマ。日曜手品師さん曰く、「それは、買ったことによって、覚悟が決まったから出来るようになったんですよ」と言われて妙に納得。そうだったのか…。



#4 「白色蝋燭の消失」
バニシングキャンドルとカラーチェンジの複合。ショウマンの方々が演技のみ代行。

タイトルは意図的に適当。"キャンドルに自我や仄かな恋心が目覚めて〜"とか、"演者がキャンドルのない世界に行く"とか、そういう話ではないし、京アニも絡んでいません(余談ですが「消失」と検索すると、真っ先に京アニのサイトがヒットとはw 日本始まってる)。
やはり私がまだこの世界に欠片もない頃、具体的には32年位前、天海賞を受賞した際の菅原さんの作品集に掲載しているとのこと。火をつけたキャンドルが一瞬で消失、そのままシルクだけを示せるものですが非常に綺麗でした。続く、ケーンがカラチェンしながらシルクだけがふわっと宙に舞って捨て箱(というか森山さんの構えるシルクハット)に吸い込まれていくのもかなり美しい。森山さんがナイスなおにーさんではなく、バニー姿の美少女だったらもっと良かったのにというのが惜しまれます。



次回予告:
ロープの端を結んで輪っかを作り、中指に引っ掛けて手を組むが、観客にロープを引っ張ってもらうとするりと外れる。

「"貫通現象の菅原"ということで、貫通で、しかも輪ゴムって細いので、何か太いので貫通させられないかなということで考えました」と。考えて出来ちゃう辺りが凄いところですが不思議。ロープ一本だけと言う、身軽が身上のマジシャン向きなトリック。正味のところ、手を組むので正面の観客全員に見やすく演じるのが難しそうなトリックではありますが。

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えくすとら:
前回と同じ居酒屋にて。色々楽しゅうございました。別の方に教えていただいた輪ゴムのカラチェンは人間の動体視力を超えているようで、どう見ても色が変わっていました。不思議。

全くの偶然で知り合いにも会いました。何年ぶりだろう。相変わらずサ行の発音が気になる。 

人数が少し多めだったので、隣ではあるけれど場所が少しだけ分かれたのですが、隣の部屋から「トップから3枚の下にブレイク」とか、不穏な発言が聞こえました。

「箱根行ったんだよね?「SICK」って、映像はともかく、生で見てもちゃんと不思議なの?」と聞かれる。みんな気にはなるみたいですね。私はサシで見せて頂いたので、状況が映像と大差無く「ちょー不思議。ていうかキモイです」だったのですが、大人数での衆人環視でどうなるのかはよく分かりません。何のかんのあるとは思いますが、確かにあれは革新的な気がします。以前とひさんの仰っていた「SICKは何かこう、今までとは考え方が違うというか、ギリギリのポイントとラインを模索した結果な感じがします」というのが実に言い得て妙です。合ってるのかどうかは知りませんw

調子に乗って相沢先生にスペードのAを借り、日曜手品師さんに例の「右手を掴まれる手品」をやってみたり掴んで頂けたりしました。パーム中の右手を掴まれてキャッキャウフフと言うカオス状況。「キミ…あほだろ」「ハイ!」的な。日曜手品師さんは紳士だから、仮に思っていてもそういうことは言わずに付き合ってくださるのです。ありがたや。

「クリスタルボックス」の話題にもなりまして。本当は「クリスタルボックス」持って行こうと思っていたのですが、出掛けにばたばたしていて見つからず。無念。

相沢先生が黙々と両手カードファンを開いては閉じをしていたので、質問を。 
"酉乃の仕置きは死ぬほど痛い" バァーン!(字幕「高校生美少女天才マジシャン "酉乃 初"」) 
"今度の彼女は一味違う!" ドギャアアン!(BARでチンピラに絡まれ右手首を掴まれる酉乃) 
"静かな手品を汚すバカたれはどいつだ!" (飯倉さんに手首を掴まれ詰られる過去映像) 
"相手の手首を捩じ上げて!手首一本、頂きますッ!" ボギィッ! 「ぐああ!」(悶絶するチンピラ) 
"理想のリストカッター美少女マジシャンNo.1、ニュー・トリノ主演!" (チンピラのアゴに掌底を叩き込む酉乃)
"神は言った!「商売道具の右手首を掴まれたなら…、相手の両手を頂きなさい!」" (酉乃に掴まれ、左手が曲がってはいけない方向に曲がってうつ伏せに引き倒された体勢のまま、今度は右手首へ容赦無くヒールで踏み込まれるチンピラ) メシィッ! 「ヒギャアアアアッ!」(悶絶し、ぐったりするチンピラ)
"怒りのデストロイ・ハード・手品!" (なぜか大爆発する石油コンビナート)
酉乃「ひとの手品中に、あんまり怒らせなや!」(「沈黙」シリーズっぽい字幕)

などという木曜洋画劇場的前置きを脳内でしつつ(長い)、「次の酉乃はステージマジックですか?」的な話をしたようなしないような、「いや、これは僕の趣味でスタンディングトライアンフですが…」とか言われたような言われてないような。しかしスタンディングトライアンフとは、また業の深そうな題材をお選びになられる…。

※ちなみに上のが具体的に浮かばなかった人は、ここの4:15からの「沈黙の断崖」をご覧ください。大体分かると思います。というかそれが浮かばないと私がまずい人みたいじゃないですか。いやまあまずいですけど。
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野島さんにエンドレスエルムズレイカウントを教わる。やっていて、なんだか絶望的な気分になる手品(?)。



そんなこんなで楽しい半日でした。菅原さんも大変でしょうけれど、また近いうちに次回が開催できると良いですね。ではまた、9月上旬にお会いいたしましょう(勝手に)。