この夏に参加しようと思っているアルフォンソレクチャーに備えて、先週に自分の持っている唯一のアルフォンソ映像資料「Great Magic in TOKYO」(94年/NHK)を見返しております。吹替は中原茂さん。ガンダムWのトロワ・バートンなんかが当たり役の声優です(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%8E%9F%E8%8C%82)。
二川さんに聞いたところによると、このアルフォンソのNHK出演には紆余曲折があったそうです。その経緯については「おいおいヤナギダw」と思ったりもしましたが、そのおかげで余りメディアに露出するのを是としない昔気質のマジシャンであるアルフォンソの、しかも40分以上にも亘る演技を見る事が出来たのですから、(アルフォンソには申し訳ないですが)一視聴者としては柳田氏に感謝せねばならないかもしれません。
メインのお手伝いとしては女優の石井苗子さんがされておりました。何箇所かは正直「観客以前に良識あるオトナとしてどうなのか」と思うシーンもありましたが、それ以外はいいお客さんぶりでした。大学時代はこれの前日にやっていたスティーブ・フィアソンの演技に夢中で、正直アルフォンソに余り注目していませんでしたが、よく見ると「地味だけど多岐に渡った演技でかなり楽しい」手品でした。下記に内容(順番はめちゃくちゃ)。
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コイン:
・フレーム部分だけの(手品っ子には)ありがちな財布を使ったルーティーン。演者右手に座っている石井さんに「あなたにも出来るよ」といってコインを取り出させるシーンがあるのですが、これってあの位置からCP見えないものなのかが不思議。
・テーブルでのコインズアクロス。ES使用ですかね。ラストの移動は見事でした。
カード:
カードといえばこの間、預金を引き落とそうとしていたのですが、急いでいたせいもあって間違ってキャッシングをしてしまいました。借金とか大ッ嫌いなのでショックです。はやく返済したい。のに会社の近くにみずほ銀行が無い。ううう。あ、全然関係ないですね。
・カードアクロス
自分は殆ど人前でやった事が無いトリックなのですが、こうして見るとサロン的な場所でのCAは非常に面白いですね。何より、アルフォンソのアディションのタイミングが見事。持ったまま2・30秒待ったうえで付け加えてましたが、全く置くカードを見ない。ちょっと山の位置を下げといて、といったイメージでふいっとどけていました。当初想定していた枚数を数え終えた瞬間にアディションするなど、そのタイミングの美しさに感激でした。あれは凄い。
・アンビシャスカード
オーソドックスな手順。ラストは"ペコン"で。
・AとKの入れ替わり
サークルの先輩の名言「とりあえずハーフパス」を生んだ手順。現象の割にやってる事が大変だと思います。
・リセット
卓上に置いたものは最後まで開けず、あくまで手に持ったKがAになり、そしてKに戻るといった手順。これはこれであっさりしていていいかもと思いました。何よりイチイチ全部改める必要は無いかもしれません。その前の手順でレギュラーのAとKをそれぞれ4枚ずつしか使ってないのは明らかなので。
ビルチェンジ:
さくっと見る限り全く色の無い感じのビルチェンジ。100ドル紙幣を1万円札に替えておりました。かなり手元をアップで映していましたが全く支障なし。意外と角度に強いですよね、ビルチェンジは。正面あのアップでまるで問題無いのも凄いんですが。そういえばあの当時って1ドル140円くらいだったでしょうか・・・。
チェンジ:
爪楊枝に刺さったチェリーをナプキンにくるんでお客さんに渡し、爪楊枝に刺さったオリーブにふっと息を吹きかけると一瞬で真っ赤なチェリーになる。お客さんのナプキンを開けるとオリーブが入っている。タネは想像つくのですがちょっとやれないです。だって、ねえw
紙玉:
テンカウントみたいなものです。その場の紙ナプキンを丸めて左手にあるはずが右手に〜をしたあとで、今度は石井さんの手の中で二つに増やす、的なルーティーンでした。バイプレイとしての小品トリックという印象でした。
リング&ストリングス:
石井さんから借りた指輪と、会場にあった割り箸やら紙ナプキンを使ったりしたルーティーン。最後はリングフライトで締め。テーブルに紐を渡し、両端を人に持ってもらってからナプキンで紐の真ん中部分を隠し、その下でごそごそやってナプキンとると指輪が通ってしまうやつ、あれは良かった。家にやり方の書かれたものはあるはずなのですが、一つくらい台を使った指輪のルーティーンがあっても良さそうです。これ、お客さんの手の上でやったらかなり面白そう。指輪を使って5分〜10分お客さんを楽しませるのに適した、非常に練られたルーティーンだなと感心しました。なんか言い草は偉そうですけど素直に感心です。
スリーカードモンテ:
ごくありふれたスリーカードモンテの手順です。この手順中アルフォンソが反対側を向いていた隙に、石井女史がカードの端を少し折って目印にしちゃうんですがこれはプロの演技を見る態度としてはどうなのかと。場末で本当に金をかけているならそれも(ある程度の覚悟の上で)やってみればいいとは思うのですが、こういうイベントでこのようなことをするのは観客としてのレベルの低さを表しているに他ならない気がしました。宴会じゃないんだから・・・。最後に折り目が付いていたはずのカードが、めくってみたら違うものになって彼女が驚くというのが、台本進行だったならいいのですが、アルフォンソが機転を利かせて"折られたものは元に戻し、折られてなかったものの端を密かに折ってチェンジしていた"のであれば、その客捌きに脱帽です。彼にそこまでさせたのであればちょっと悲しいことですが。
名刺:
名刺に書いた×印が一つずつ移動していき、最終的には三つ集まってしまう。ごめんなさい、そんなに好きなトリックでは無かったです・・・。
トーン&リストアード:
トリです。トランプの半分くらいの大きさの薄い白紙を8か16にちぎり、それを復活させる。地味に不思議だった。不思議なんですが、モノがそもそも小さいので、トリネタとしては恐ろしく地味な部類だなと思いました。ふーッと吹いて紙が宙に舞う所でお辞儀なのでそれはそれでかっこ良かったですけど。
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余談1:アルフォンソが「東急ハンズで買えるよ!」と言っている部分の吹き替えが「デパートに売ってるよ!」になっていました。さすがNHK。
余談2:現象見てびっくりしている観客へのノリノリな「ヘイヘーイ♪」は、長らく中原氏の吹替だと勝手に思っていたんですが、アフレコじゃなくアルフォンソ本人の発言でした。吹替でも違う箇所で言ってるんですが。