レクチャーのあとの出来事に、あんまり感激したのでイキオイで書いてみます。ていうか帰宅して一旦寝たのですが、酒飲むと眠りが浅くなる性質のため5時に起きてしまったのです。今から寝たら絶対遅刻なので文章書いて気を紛らわします。うう、やっぱ今日有給とっておくんだった…。
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レクチャーが終わって、みんなで飲んで(日歯奇術部の皆さん、いい席取っちゃってゴメンナサイ)、さてお開きと言うところでした。フィクサーの方と私と3人で茅場町を歩いていたのですが、酒が入っていたせいか、フィッシャーが「もし君が知りたければ、ハーフパスのアウトラインだけでもホテルで解説してあげようか？」って言うんですよ。断れるわけもないじゃないですか、そんなの。私は普段、使うとしてもターンノーバーパスかドリブルパスしか使わないのですが、こんな機会めったにあるもんじゃないですし。私のような気合の入ってない奴(しかも酒は入っているというｗ)にはハッキリ言って”豚に真珠”なのですが、ご厚意に甘えることに。
で。
女子の如き手で、動作の欠片も残さずに
パスを完了することが出来るのか？
パスとは衆人環視の中でもなお、
不可視で行うことが出来るのか？
出来る！
出来るのだ！
「これは尋常のパスではない！
読めぬ、動きがまったく…！」（シグルイ風）
フィッシャーはやはり掛け値なし、世界屈指のカーディシャンでした。今日ほど技術そのものに驚愕した事はありませんし、あんなパスをできる人を見たこともありません。
信じられますでしょうか、
”30センチの距離”で注視し、
”今からパスをする”のが分かっていて、
”１，２，３”ってタイミングまで彼に言って貰って。
それでなお動きが無い。全く気配がないんですよ。言っても全くご理解頂けないと思いますが、目の前でやってもらっているのに、冗談ではなく映像トリックかと思える面白さです。ちなみに彼のハーフパスは、全然”ハーフ”に拘らないので、カバーパスのようにほぼフルデックを返すことも普通に行われます。
「ハイ？終わったよ？」
「…え、どゆことですか。なんかしたんですか？」
「うん、パス。ほら(スプレッドすると返っている)」
冷静に考えたら「なんだこの間抜けな会話は」という感じなんですが、こんな馬鹿なやり取りが何度となく。
攻殻機動隊のバトーの名言「・・・ッ！眼を盗まれた！」を、実際に体感したが如くの鮮やかさ。万言を弄しても伝えきれないので、機会があれば実際にご覧頂きたい。傑作FCソフト「MOTHER」に、「ギーグ の こうげき の しょうたい が つかめない！」という、糸井重里の才能をビシビシ感じる表現がありますが、まさにそんな感じ(これ以上に恐怖感を伴う”攻撃を受けている表現”を寡聞にして知りません)。
フィッシャーは、息止めてる間だけ時間を止められるギニュー特戦隊の人(リクームだっけ)の能力を持ってんじゃないかと。「正体は分からんが、敵からのスタンド攻撃を受けている！」「信じられねーかも知れねーが(以下略)」もう私の背後はジョジョキャラだらけ。
しかも、彼が言うには「今からパスをする、なんてことは勿論普段は言わないよ。必ずミスディレクションを併用する。堂々とひっくり返してもいいような状況で更に、これ(パス)をやる。技法単体でも95％は大丈夫だろうという自信はある。そこで更にそういう安全策を講じれば、たとえ360度を囲まれていても大丈夫なんだ」と。ただでさえ凶悪な切れ味のワイヤーを不可視にして襲い掛かってくる、SFまんがの敵みたいな発言でしたが、その場合私は多分、既に細切れにされていることでしょう。
これだけ書くと、技法が！技法が！って話になりがちです。勿論そこも凄いんです。感激しましたし。ただ、パス自体の変態的完成度はおいといて、これを更に手順の中に「一貫した動作」と「ミスディレクション」を織り交ぜ、そこに組み込むことでもはや技法のにおいすらしない領域にまで高めているのが彼の凄さです。いやあ、本当に眼福。肝心のパス技法そのものについては、明らかに一朝一夕でマスターできる物でもないので、正直「まあ凄いや！」ってレベルなんですけど（おいおい）。
そういやぽそっと一言、「僕の知る限り、日本で一番パス…特にカバーパスがうまいのはフジイ（ふじいあきら）だと思うよ」とか言ってたなあ。やっぱふじいさんがスゲエんすかー。
特筆すべきは彼の手。とても小さいのです。私の手は日本人女性並の大きさなのですが、手を合わせたら全く同じ大きさで。もう「パスをカバーするには手が小さいから」は、まったくもって言い訳にしかならないことが突きつけられてしまいました。「僕と同じように出来るには多分10年とか、多くの練習は必要だと思うけど、決して無理ではないんだよ」かあ…。しみるぜー。2時間睡眠でこれから会社ってのも色んな意味でしみるぜー。ヤー。
