教授の戯言

手品のお話とかね。

ころんびーに

■ Aldo Colombini 「Mamma-Mia Magic」



今の適度な長さの髪とヒゲではなく、この当時のコロンビーニ氏はウエービーヘアの巨漢のため、ゲームクリエイター飯野賢治氏っぽい感じです。いや、どうでもいいんですけどね。以下感想。現象面は、各DVDの内容をチェックするのに日本一ナイスな分量を書いて下さっているフレンチドロップさんの文章を拝借。他のショップもこのくらい書いてくれると、探す時とか助かるんですけどね・・・。



全体としては、コストパフォーマンスが良さそうです。無茶苦茶な技法も少ないですし。完全観賞用というより、気に入ったものをセレクトしてレパートリーの土台にすることができる、という実践的な印象でした。3500円なら十分元は取れるのではないでしょうか。カップアンドボールに結構な比重がかけられているので、これが気に入るかどうかはちょっと大きいかもしれません。ちなみに私はこのカップアンドボールはイマイチ好きではありませんw

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・Cups & Balls 
カップ&ボール。面白い改め方をしています。

銀のカップと黄色のボールを使っているのですが、これを見て初めて、MMLでゆうきさん・カズカタヤマさんの話していた"ボールの映りこみ"というものが分かりました。確かに内面が黄色っぽく光ってしまうものなのですね。実際に生で見てせて貰うような視線位置であれば気付かないかなとも思うのですが(撮影の都合上少し俯瞰なのです)。



演技はウォンドを使わず、カップをジャグリング的にぐいんぐいん回転をさせて行っています。ジャグリング的であるならば、ぱっぱと見せてさくっと終わればいいのですが、これがまた結構長めなので、正直なところマニア以外は退屈するんじゃないかと思いました。少なくとも私には長かったです。



・Mamma-Mia Coin Routine
2枚のコイン(銀貨とチャイニーズコイン)と2枚のカードを使ってテーブルにあるコインと手の中にあるコインの位置を入れ替えます。カードを1枚ずつ減らしていき、最後にはコインだけで移動現象を行います。
クライマックスには2つの結び目を作ったロープを取り出し、チャイニーズコインを結び目と結び目の間にリンクさせてしまいます。まさにマンマミーア!



前段はおまけのような印象でした。ラストの現象は非常にビジュアル。ただ、あまりに現象が完璧なため、「リングに仕掛けがあるのかそれともロープにあるのか、それとも・・・」、という消去法が適用されやすい恐れがあるかもしれません。



・Ace-Mbly
コイン・マトリックス。4枚のコインの上をそれぞれ4枚のAでカバーします。しかし、コインは1箇所に集まってしまいます。
次に観客に好きな位置にコインを置いてもらい、しかも集めたい位置まで決めてもらいます。この演技にもコロンビーニ・エッセンスを感じるオチが用意されています。


第一段の現象は本当に王道コインマトリクスです。スティール手法はちょっと特殊ですが、よく見るやり方よりアヤシさが少ない。いや、冷静に考えるとそうでもないですが、コロンビーニのやり方は指がカードの下に潜らないので"スティールするのは難しそうだな"という印象を与えることが出来ます(マニアっぽく言わないのであれば"なにもズルは出来なさそうだな"ですね)。マトリクスマニアは覚えておいても損は無いと思います。私はそうではないので多分練習はしませんけれど、これ自体は面白いアイディアだとは思いました。



第二段は面白い。私はこういうトリックが大好きなのです。コインが移ると見せかけて、想像だにしなかったものが移動します。ただ、オチのギミックを揃えるのはどうしたら良いものやら。作るにもちょっと・・・。




・Oil & Water
3段からなるオイル&ウォーター。

頑張って練習しました。ほぼ技法不要なのがありがたいところ。ただ、4枚を1枚ずつカウントして卓上に置いていく動作が頻繁なのでそこが少々鬱陶しい。なので、私は手元で4枚数えとってから卓に置くようにしています。「卓上に1枚ずつ置いていったほうが"公明正大"」というのは分かっているのですが、その公明正大さを多少スポイルしてでも、現象のスピーディーさの方を重視したいと思った次第。



やはりOWの宿命として、裏向きにした後でお客さんを混乱させないように、それでいて「ちゃんと混ぜているんだよ」というのを見せるのが難しそう。

・RB4枚ずつを示す→左右において1枚ずつ混ぜていく→分離*2
・表向きで混ぜる→裏向きに返して上の4枚をみると分離している→下も分離
・二つのパケットを重ねると一瞬で混ざっている

自分がこれをやるとおよそ1分半。
しかしOW現象って、マジシャンが思うほど、一般のお客さんにとってのアピールは大きくない気がします。「不思議ー、でも地味だねー」が偽らざる心情なのかも。オイルアンドクイーンなんかはかなり驚かれるんですけどね。精進精進。



・Italian Salad
こちらもオイル&ウォーターです。完全に赤裏4枚、青裏4枚だけを使っておこないます。

途中の黒4枚の示し方は好きですが、現象が中途半端なのは否めません。「RBRBにしたパケットが二つでき、それをケースの中に入れて振るとRだけが4枚飛び出してくる」、というものなのですが、OWというよりパケットチェンジのような。



・Spell-O-Roma
観客が選んだカードが、観客が自由に言った名前(家族や、知人など)のスペル分のカードを配った位置から出てきます。


完全に趣味の問題ですが、スペリング物は嫌いなのです。例外はエニエニこと、Any card at any number系のみ。原理は納得ですが、演技としてはイマイチ好みではありませんでした。



・Band-O-Roma
観客が選んだカードをデックに戻します。そしてデックを輪ゴムで2重に止め、手で覆い被します。すると輪ゴムが消えてしまいます。カードを広げると1枚のカードだけに輪ゴムが通っています。そのカードが観客のカードです。



つまらなくは無いが面白くも無い感じ。(多分)ビルマローンのやっていた、一瞬で手の甲に一枚だけ輪ゴムでくっつく奴の方がダイレクトでいいと思いました。もっとも、輪ゴムが消えて〜のくだりは不思議といえば不思議。ただ、輪ゴムが一瞬で消えるという部分、私は演技を見ていて普通に飛んでっちゃったんじゃないのかと思ったりしておりまして不思議に思えず。更に言うと、選ばれたカードの横方向に輪ゴムがはまった状態で出てくるのですが、ゆるいので見た目がイマイチしまらない。アイディアはいいが・・・といったところでしょうか。



・Snap Jack
2枚のAとJを使います。まずカードケースの中に2枚のAを入れます。そしてケースの上にJを置きます。軽くケースを弾いてやるとマジシャンの手にはなんと2枚のカードが。それらは2枚のAです。カードケースの中を確認すると中にはJがあります。


特に特筆すべき点はナシ。手品をそう頻繁に見ないお客さんに、「箱に、Aを2枚、確かに入れましたよ」、という確信をどれだけ与えられるかがポイントだと思いますが、眼が曇りまくっているワタクシには、その台詞を素直に信じることが出来なかったのです・・・。いけない傾向ですね。