教授の戯言

手品のお話とかね。

脱出系マジックその2


■Dixie Dooley 「Escapology with Dixie Dooley Volume 2: Handcuffs, Shackles, And Straight Jackets」



脱出シリーズその2です。
脱骨術とかそっち方面に行かれても困るのですが、概ね予想通り、"ギミックものとどう摩り替えるのか"と、"抜けそうにないのに実際は抜けるテク"の二つに大別されました。

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・Escape from any Handcuff
あらゆる手錠から抜けられてしまうと手錠の存在意義が無いので、当然各種手段による解法があります。その解説。イリーガル系のものは原則ありません。ギミック手錠の解説、というのが適切かもしれません。



・Kellar Rope Tie
2本のロープで首を縛りますが、結び目も無く首を通り抜けます。ステージでのロープアクトをやったことのある方はやられたご経験があるのではないでしょうか。ちなみに学生時代、これの1本版を習ったのですが、失敗してホントに首を絞めた経験を思い出しました。加えて現象が面白いため短期間に調子に乗って何度となくやっていたら、ロープで首周りがこすれて赤く腫れ、ちょっと危脳丸な性癖を持った人のようになってしまい、それを隠すためにハイネックの服を着ていた2・3日、という恥部も思い出しました。大学一年の頃にこんなことやってても、大人にはなれるのですね。で。何が言いたいかといいますと、クロースアップからステージまで分かりやすい、とてもいい手品です、と。


・Bamboo Torture Device
説明が難しいのですが、60センチ(Φ200mm)くらいのパイプを想像して頂いて、両端からそれぞれ10cmくらいの上半分のところにぎざぎざの穴が開いていると思ってください。で、本来はこのパイプにロープを通し、その二つの穴から手首が入るくらいずつロープを引き出し、その穴に被験者の手首を入れさせます。当然穴がぎざぎざですし、無理に脱出しようと思えば激甚な擦過傷・創傷を負うことになる拘束具 兼 拷問具なのですが、手品なので当然そこからするりと抜ける現象です。これは中々面白い。原理は上記のものと大差ないのですが、全然違った印象を受けました。


・Shanghai Shackles
抜けると思わなかった。解説聞けば確かにその通りなのですが、これは盲点でした(実際に使われるのは"あの部分"が固定だと思うので抜け様が無いとは思うのですが)。いや、意外でした。


・Straight Jacket Escape
・Suspended Straight Jacket Escape, and Generating Publicity
解説見たんですが、イマイチよく分かりません。"フーディーニなどは、仕掛けの無いジャケットを検めさせた後で仕掛けのあるジャケットと摩り替える事もあった"、というのは分かったのですが、要は"仕掛けの無い拘束衣からは当然抜けられないよ"という理解でいいのでしょうかw 



次の巻はより大規模な脱出を扱うそうです。…ますます私の中の実用性は薄まりそうですがw

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■ GW中に帰省先で「涼宮ハルヒの憂鬱」を全部見ました。オムニバス的な要素が強いため、そこまでストーリーに引き込まれることは無かったのですが、設定の妙やつくりの丁寧さなど、傑作とは言わないまでも良作・佳作だなあという感想でした。作り手の真摯な(それでいて遊び心の溢れる)姿勢が見えるものは好感が持てます。商品とはいえ、商業「作品」である以上、作り手側の色々な「これはどうだ!」的な投げかけと言うものが、今後の作品に関しても増えていってくれるといいなと思いました。なおこの作品のせいで、マーラー第8番を聴くたびにキスシーンが浮かぶと言う、実に厄介な事態に陥っています。メサイヤハレルヤコーラスと第九の第4楽章を聴くたびにエヴァンゲリオン思い出すのとちょっと似ているw


しかし「涼宮ハルヒの憂鬱6」がイマイチ腑に落ちない。やはりキョンのあれは"脱出するための手段"としての側面が強いのであって、(決して気にならない存在ではないが)"彼女への愛情の発露"、というのとはやっぱ少し違うのか。そうすると、翌日わざわざポニテにしてくるハルヒの健気さに泣けます。キョンめ、罪作りな男よ。いや、別にうがった見方だと思いますけど。そういや「孤島症候群(前編)」の回で、食事シーンのキョンの指が6本あったのは、同じく指の本数を間違えがちなコナンへの嫌味なんでしょうかw …しかしあらためて思いますが、話題が1年遅いですね。



■ 全く関係のない話。先述の祖父母の家に模造刀がありまして、それを見ながらふと"シグルイの「星流れ」って、やってみたらどんな感じなのかな"と思い実際に挑戦してみたんですが、結論としては「達人じゃないと無理」です。3キロくらいある太刀を二本の指で水平保持するだけですらダメでした。殺傷するだけであれば振り回した刀の自重だけで(首辺りにいけば)不可能ではないと思いますが、両断となると話は別です。まあともかく、奥義(…というか、フィクションの技ですがw)だけあって「星流れ」は虎眼流の達人じゃないと無理ということで。ちなみに脇差でも軌道が定まりませんでした。尋常じゃない指力が必須のようです。



■ 生来のチキン気質のため、思いもよらなかった場所で自分に言及することを発見すると、嬉しい一方でめちゃくちゃ心臓に悪いです。ということでineedadrinkさんに続き"マジックジェントルマン"ことHIGEさんにチェック頂いていたことに驚愕。お目汚しでスミマセン。パズルに興味はあるのですが全然詳しくないので、パズル方面の記事があると毎度ワクワクと拝読させていただいております。物欲が刺激されるのが、また。もっとも私が買うのは知恵の輪(キャストパズル?)程度ですが・・・。


HIGEさんのようにきちんと買ったものを練習・消化してきちんと演じてらっしゃる上に、更に工作までこなすと言うのは、私のような手品消費者としてはもはや驚嘆するしかないのですが、その1/10くらいはまじめに取り組みたいなあと常々痛感です。痛感してはいるのですが、5月上旬現在は、手品熱もとりたててはなく、いたって平熱のため、やるにしてものんべんだらりと取り組むのは間違いなさそうですけど…。そろそろ学生時代に練習して一度挫折した、90〜120秒のショートルーティーン(クロティエのボールトリック)を再び焼き直す時が来たのでしょうか・・・。